Blowin' in Okinawa wind '16(沖縄の風に吹かれて 2016)

7日目《予定〈撮影〉…午前 プール/午後 親水公園→午後+夜 海(予定変更)での撮影》

夏樹「えっ、撮影予定変更!?」
撮影のためにホテルのロビーに集合した四人はプロデューサーに衝撃の言葉を伝えられた。
「四人とも今伝えることになってすまない。台風がこっちに進んでるとのことで予定を変更して繰り上げることになった」
みく「…仕方ないにゃ。この時期なら沖縄の方に来るのは当たり前だモン」
「みんなの予定と安全の確保も重要だからな」
菜々「それでどうなったんですか?プロデューサー」
「今日の午後の親水公園がキャンセルで午後から夜まで海の撮影が繰り上がりになった」
李衣菜「親水公園の方は撮らないんですか?」
「水辺は水着を撮るから特別撮らなくてもいいとのことだ。向こう戻ってから別日で別のを撮る方向で話し合ってる」
夏樹「別の?それってもう決まってるのか?」
「候補に挙がってたけどここでは撮れなかったサイクリングと新体操な」
李衣菜「でも体育館使ってましたよね、新体操は撮れてたんじゃ…」
「新体操はこっちで撮る予定がギリギリ衣装が間に合わなくて、もう向こうには届いてるんだ」
みく「しょうがない、天候には逆らえないにゃ」
菜々「それで今日はプールと海ですけど、明日はどうなりますか?」
「もし今日の海で撮影し切れなかったら明日追加で撮る。基本は繰り上げて明日が休養日、明後日昼の便で帰る予定になった」
夏樹「明日の休養日が無くなる可能性も考慮しろってことか…」
「そこは台風のスピード次第だな、こっちに迫るようなら明日でも帰る可能性があるのは念頭に入れておいてもらいたい」
四人『はいっ』
夏樹「あっ、それなら…」
夏樹はスマホである場所へ電話し始めた。
夏樹「もしもし、おはようございます木村です。先日はありがとうございました」
みく「夏樹チャンどこに掛けてるんだろね」
夏樹「はい、明後日のを…明日でも大丈夫ですか?はい…明日も状況によってはキャンセルになるかもですが…」
李衣菜「あー…なつきちがどこに掛けたか分かった」
夏樹「ありがとうございます、では明日キャンセルの場合は今日の夜には連絡しますのでお願いします」
菜々「明後日のですか?夏樹さん」
夏樹「ああ、予約を明日に変えてもらった」
李衣菜「また二人してどっか行くのー?」
夏樹「いいだろ、だりー達はプロデューサーに連れてってもらえよ」
みく「そうだにゃ李衣菜チャン。明日大丈夫なら大丈夫だよね?Pチャン」
「荷物の発送とか手続きとか全部終わったらいいよ。昨日のうちに前半分は終わらせたから何とか午前中には片付くと思うけど」
李衣菜「明日はお土産とかも買わないとね」
みく「アーニャチャンとかが待ってるにゃ」
菜々「ナナの方も…あの、プロデューサーさん」
「ん?」
菜々「今日の夜にリストとお金をお渡しするので、李衣菜ちゃん達と一緒の時に購入と配送お願いできますか?」
「もしかして…泡盛とか?」
菜々「その…一応は17歳ってことで通ってますから…買う時に何か言われたら困りますし…」
「菜々のところはアイドルが成人してる人多いからね…」
菜々「ナナのプロデューサーにも送り先として頼んでますからよろしくお願いします」
「イメージも大事だもんな…それは承った」
夏樹「よしっ、そろそろ更衣室で着替えてくるとするか。着替えたらまずは屋外だな」
「今日は撮影で貸し切ってあるけど貴重品はちゃんと撮影前に持ってきてな」
………
李衣菜「なつきちの黒地に水色の文字だけってシンプルなビキニだねー」
夏樹「結構思った以上に露出多いな…日焼け止めしっかりしてもらわないとだぜ」
みく「ナナチャンは薄いピンクのタンキニだったんだにゃ」
菜々「お腹が割と隠れそうなので良かったです。昨日見た時に安心しました」
ガバッ
夏樹は菜々のそのお腹部分を捲り上げた。
菜々「キャッ!もー、何するんですか夏樹さん!」
夏樹「アハハッ、午後からはビキニだってのに何恥ずかしがってるんだよ」
菜々「それとこれとは話が別ですー」
みく「え?ナナチャンビキニなの!?」
菜々「まあ…はい、夏樹さんがそれにしろって。でもナナも夏樹さんの選びましたから」
夏樹「ホント楽しそうに選んでくれてなあ…コイツも」
菜々「そういうの楽しいじゃないですか!」
夏樹「ま、いいけどよ。そんでだりーがワンピースだったか。そのラインの入れ方は面白いな」
李衣菜「みくみたいのが良かったなー。これはこれで目立つもん」
菜々「いいじゃないですか。お腹晒すのに比べたらそっちの方が…」
李衣菜「それなら菜々ちゃん交換する?」
菜々「もう着ちゃってるのに今更遅いですよー」
夏樹「それにだりーみたいなのが着ると、それはそれでセクシーに見えるだろ」
李衣菜「え?ホント?そこまでなつきちが言うなら…いっかな」
菜々「(何とか納得したみたいですね)」
夏樹「(ああ、面倒なヤツだよ本当にさ)」
菜々「そしてみくちゃんはロングパレオ付きですね」
みく「綺麗な夕陽みたいなグラデーションにゃ、このデザイン結構好きだよー」
菜々「いいですねえ。少し大人なみくちゃんが撮ってもらえそうな感じで」
夏樹「この二人の対比ってのも面白そうだな」
李衣菜「…そうかな…そうだね!うん吹っ切れたっ!」
みく「あれ?そういえば李衣菜チャンそれってパンツもセットじゃなかったかにゃ?」
李衣菜「あっ…何か忘れてたと思ったらそれだよっ!」
………
カメラマンA「前川さん、多田さん、次はスライダーを2回くらいお願いできるかしら?」
みく「はいなのにゃ。李衣菜チャーン」
李衣菜「なーにー、みくちゃーん」
みく「カメラマンサンが次はスライダー行ってきてほしいってー」
李衣菜「よーし、行っちゃお行っちゃおうっ!…よっと」
ザパッ
李衣菜は流れるプールからプールサイドへと上がった。
みく「李衣菜チャン、行くにゃ!」
李衣菜「うんっ!」
二人は手を繋いでスライダー入り口へと向かっていった。その一方、菜々と夏樹は…
カメラマンB「ああ、うん、その背中合わせで…木村さん顔だけこっちに…いいわー」
プールサイドで撮影が行なわれていた。
夏樹「…温かいな、菜々」
菜々「夏樹さんの鼓動、伝わってますよ…」
カメラマンB「木村さん右膝立てて右腕はその上に、そうそう。そこで安部さん顔だけ木村さんの肩に…」
夏樹「何かアタシ達とだりー達、全く違う写真になりそうだぜ」
菜々「それも良いんじゃないですかね」
カメラマンB「…よしっ、ここではこれくらいでいいかしら。次は流れるプールで撮影だからちょっと準備待ちお願いね」
菜々「先入っててもいいですか?」
カメラマンB「ああ、暑かったものね。ええ、ちょっとの間だけれども」
夏樹「それなら行こうか菜々」
菜々「はい、夏樹さん」
ザブンっ ジャバンッ
水にようやく入れた二人がはしゃぎ始めるのにそう時間は掛からなかったという…
………
菜々「んしょっ…んっ…」
夏樹「普段アップにしてるからそうでもないけど…これでどうだ?」
菜々「うんっ、髪の毛全部入りました。ありがとうございます夏樹さん」
李衣菜「今度はキャップ必須なんだね」
みく「この恰好だからっていうのもあるけど、屋内プールはそう決まってるってことにゃ」
四人は着替えのために更衣室にいた。
李衣菜「あー、この恰好だからってだけじゃなかったんだね」
夏樹「しかしなあこの歳でまたこういうのを着るなんて思わなかったぜ」
李衣菜「このタイプのスクール水着はいつ以来かなー」
菜々「えっ、今はこういうのじゃ無いんですか?」
みく「ナナチャン、17歳17歳…」
菜々「あー、そうでしたそうですね」
みく「李衣菜チャンのとこはここまである形の?」
李衣菜「そうだよ。だからこのタイプは小学校までだったかな」
みく「みくもそうだったよ。高校入ってからは競泳水着みたいなのになったにゃ」
菜々「そうなんですねぇ…」
みく「ナナチャンは唯一お仕事で着たことあるんだよね?」
菜々「はい…どうしてもお腹出すのが嫌って言っちゃったら、お腹出すかこれ着るかで迫られちゃってですね…」
夏樹「どうしても嫌だと言ってそれにしたんだな」
菜々「その時はもう恥ずかしさとかよりも勝っちゃったんです」
李衣菜「それでどうだったの?」
菜々「覚悟を決めて一発OKをもらえるように頑張りましたよ。会心のカットが早めに撮れましたけど」
みく「ナナチャン頑張ったんだね…」
菜々「だから恥ずかしがってたらいつまで経っても終わりませんから、撮られると決まったら覚悟を決めてください」
夏樹「これはそれほどのものなんだな」
菜々「ブルマとの違いは学生の皆さんにとって、実際に他の人が着ていることを見た経験があるってことですから」
みく「昨日李衣菜チャンと話してたことと一緒にゃ…」
李衣菜「うん…」
菜々「気持ちを吹っ切っちゃえばさっきまで着てた水着と変わりませんよっ」
夏樹「まあそうだな。よし、着替えたんだし屋内プールの方に行こうぜ」
………
李衣菜・みく「海だーーー!」 「海にゃーー!」
その日の午後、4人とプロデューサー、そして撮影隊の姿は宿近くのビーチにあった。
菜々「綺麗ですね、夏樹さん」
夏樹「これが地元と繋がってる同じ海とは思えないな」
「みくー!李衣菜ー!説明がまだだー!戻ってこーい!」
みく「ゴメンなさい、忘れてたにゃ」
李衣菜「いやー、海見たらテンション上がっちゃって」
「総指揮の○○さんから話を聞いてからな。お願いします」
撮影総指揮「では、これから4時までは休憩も含めて自由にどうぞ。その光景をこちらも自由に撮影いたします」
夏樹「ここに用意されたものは自由に使って良いんですか?」
撮影総指揮「はい。ビーチボールやウォーターガンなど、使いたいものがありましたら持って行っていただいて構いません」
菜々「休憩はあの施設でしょうか?」
撮影総指揮「はい。そちらの一部を借りていて、撮影班の一隊もいますのでそちらでどうぞ。メーク直しもそちらです」
李衣菜「4時からは何をするんですか?」
撮影総指揮「西瓜割りとビーチバレーの光景の撮影を行ないます。それが終わり次第、日暮れ頃まではまた自由です」
みく「その休憩なども撮影するんですかにゃ?」
撮影総指揮「そうなりますね。そして日暮れから宵の間の皆さんを撮影してこの沖縄での撮影は全て終了の予定です」
夏樹「最後だけど結構気楽な感じでやれそうだな」
菜々「そうですね。撮影の時の指示が特には無いみたいですし」
撮影総指揮「はい。ではこちらでの最後の撮影場所になりますがよろしくお願いします」
四人『よろしくお願いしまーす』
 
4人での小休憩中…
李衣菜「なつきちってそのTバック付きの好きだねー」
夏樹「前の水着の撮影の時がこういうのでさ、それからアタシの中でしっくり来てるんだよ」
みく「上の方は…ナナチャンが選んだんだよね?」
菜々「下がどうしてもそのタイプが良いって言われて、それで上は悩んだんですけど…」
夏樹「このクロスホルターが試着しててアタシに一番しっくりくるって」
みく「全部で凄くセクシーにきまってるにゃ」
李衣菜「シンプルな普通のよりこうやってちょっと違うところがあるのもロックだね」
夏樹「そうロックロック言うなよだりー」
菜々「そんな李衣菜ちゃんは…デザインは割と普通のタイプのビキニですね」
李衣菜「あんまりゴテゴテ付けたくなかったからそういうので選んでもらったんだ」
夏樹「ん?誰にだ?…って聞かなくても分かるか」
菜々「さあみくちゃん、この李衣菜ちゃんの水着のコンセプトはなんでしょう?」
みく「んー、店員さんにも相談したんだけど…そのね、そのシリーズなら胸が綺麗に盛れるって言われたの」
李衣菜「えっ…その話、私初耳なんだけどみくちゃん」
みく「もちろん李衣菜チャンが気に入ってくれるのは大前提だよ。横が紐なのも李衣菜チャンの希望だし」
李衣菜「紐なのは…うん。シンプル過ぎるのも違うから何かそういうのがキメるのにいいかなって思ったし」
夏樹「でもだりー、パッドは入れてないよな」
李衣菜「うん。その話自体初耳だったもん」
菜々「まあまあ、李衣菜ちゃんも落ち着いてください」
みく「後で…罰としてみくが買ってプレゼントするから…」
李衣菜「いいよみく、別に私怒ってないもん。この話はこれで終わりにしよ」
みく「李衣菜チャン…」
李衣菜「それで菜々ちゃんのはって思ったけど、これこそまさかだったねみく」
みく「うん。オフショルダーは夏樹チャンが決めたんでしょ?」
夏樹「菜々もそこまで露出嫌うほどじゃないと俺は思ってるんだけどな」
菜々「嫌なんですー。みんなほどピチピチじゃないこの歳の肌を露出させるなんて地獄ですよぉ…永遠の17歳ですけど…」
夏樹「だからワンピースとパレオ付きは選ばせないことにしてさ、どうせならってオフショルダーにさせた」
李衣菜「だけどフレアたっぷりで菜々ちゃんらしいなあ」
みく「中の方のデザインはシンプルだけど、それがいい味出してるにゃ」
菜々「そうですか?そう言ってもらえると…いい気分になれます」
夏樹「だろ?アタシの見立てが間違ってなくて良かったぜ」
菜々「それでみくちゃんのは…」
みく「みくのは短めだけどビスチェタイプだにゃ!」
夏樹「最初菜々のはこれと迷ったんだよな」
菜々「そういえばそうでした。露出減らしたいって言ったのに夏樹さん聞かないんですもん」
夏樹「これはだりーだな?」
李衣菜「みくだったらどんな水着でも着こなせそうだから困っちゃったんだよ」
菜々「あー…確かに分かります」
李衣菜「だからそういうので露出減らしたらどうなるかなって思ってね」
菜々「だったらワンピースタイプにすれば良かったんじゃないですか?」
みく「それはみくが拒否したのにゃ。せっかくの沖縄なのに満喫できない気がするんだもん」
夏樹「ハハハ、菜々と真逆だな」
菜々「笑わないでくださいよぉ、もう必死なんですから」
李衣菜「柄はこのタイプはこういうのしかなくて、またそれで悩んだよー」
みく「どうかにゃ?」
夏樹「似合ってるぜ。その柄でみくの身体が引き立ってる気がする………」
その後も水着談義に花を咲かせたという…
 
7日目夜/8日目へつづく
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2016・07・31SUN
飛神宮子
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