Blowin' in Okinawa wind '16(沖縄の風に吹かれて 2016)

2日目夜

ライブの練習と打ち合わせも終えてそれぞれの部屋に戻った四人。
李衣菜とみくの部屋では…
李衣菜「サトウキビって初めて見たけど凄かったね」
みく「あれでも収穫する頃にはまだ伸びるんだっていうのが驚きにゃ」
李衣菜「今日は驚きの連続だったなー」
みく「うんうん」
そう言いながら二人は同じベッドに座りながら隣の部屋の壁の方を見ていた。
李衣菜「みくちゃんは前から知ってたの?」
みく「怪しいなって前から思ってたんだ。李衣菜チャンも感じてなかった?」
李衣菜「えっ…」
みく「最近あんまり李衣菜チャンと夏樹チャンが一緒のとこ見てなかったよ」
李衣菜「最近お互い別々のお仕事だったのもあったけど、そうかなあ?」
みく「夏樹チャン一人でカフェに居るのとか結構見てたし」
李衣菜「そういえば誘ってもらうのも少なくなってたかも」
みく「ナナチャンと楽しそうに話してるのもみくは見掛けてたにゃ」
李衣菜「へー、知らなかったなー」
みく「あと童話公演の時のこと覚えてる?」
李衣菜「私達が出てたのってアリスの方だよね」
みく「それのみく達だけの打ち上げの時、夏樹チャンがメイドの恰好してたのあったでしょ」
李衣菜「あー、あったあった。いきなりでビックリしたよ」
みく「あの時、ナナチャンにだけ秘密の相談してたにゃ。その時のナナチャン、とっても嬉しそうな顔してたモン」
李衣菜「あっ!そういえばこの前二人だけでプール行ってたって誰かから…そうだ、洋子さんから聞いたんだー」
みく「えっ…あのナナチャンが!?」
李衣菜「この前、事務所で撮影のために何日かレジャープール借り切ってた時あったでしょ」
みく「あったにゃ。事務所の人は邪魔にならなければ自由に使って良いって…夏休みでもないのに平日なんか無理にゃ」
李衣菜「その時はライグリのなつきち以外で撮影だったんだって」
みく「夏樹チャンは?」
李衣菜「ほらライグリってなつきち以外みんな成人じゃん。あとは洋子さんといつきさんと麻理菜さんでしょ」
みく「夏樹チャンが一番年下って違和感凄いにゃ」
李衣菜「なつきちは少し前に炎陣もやってたし平日だから学校だってことで、なつきち以外の3人でグラビアだったんだって」
みく「ふーん…」
李衣菜「そこで撮影始めようとしてたら、なつきちが菜々ちゃんと一緒にプールで遊んでたのを見たんだって」
みく「夏樹チャンはその日はどうしたの?」
李衣菜「授業参観の代休だったって言ってたよ」
みく「でもナナチャンあんなにお腹見せるの嫌がってたのに…」
李衣菜「そこはよく分かんないんだよねー。でも楽しそうっていうか仲睦まじそうだったんだってさ」
みく「その後はどうなったの?」
李衣菜「それでいつきさんに見つかって撮影に巻き込まれたらしいよ」
みく「Pチャン、何でスケジュール把握してなかったんだろうね…」
李衣菜「プロデューサーも見た瞬間に頭抱えてたって」
みく「それは確認してなかったPチャンの自業自得にゃ…」
李衣菜「でもそうなるとあの二人はいつからだったんだろう…」
みく「あのナナチャンが夏樹チャンと一緒にレッスンしてたのももしかして…」
李衣菜「私達が風邪で隔離された時?」
みく「うん、一緒に生放送のラジオ出てもらった時にゃ」
李衣菜「何だか思い当たるフシが多すぎて分かんないよー」
みく「でも今そういう関係だってちゃんと分かっただけでもいいにゃ」
李衣菜「…そだね。これ以上詮索するのは悪いもん」
みく「明日は特に準備しなくていいよね?」
李衣菜「リハだけだから…ジャージっているかな?」
みく「本番の衣装も着ないとだからいらないと思うけど、一応持って行くかにゃ」
李衣菜「じゃあ今日もお風呂の前に洗っておこう」
みく「明後日はいよいよ沖縄でのライブだにゃ…」
李衣菜「楽しみだね、最高のパフォーマンス見せられればいいな」
みく「うんっ…」
チュッ
みくは微笑みながら李衣菜の頬へとキスをした。
みく「できるにゃ、李衣菜チャンとみくと夏樹チャンとナナチャンなら」
李衣菜「そうだね…」
チュッ
李衣菜もみくの頬へとキスを返した。
李衣菜「でも…もっと私のこと応援して欲しいな」
みく「…もっと?」
李衣菜「せっかくだしさ…今日の衣装で、エール送りあおうよ…」
みく「それって…また昨日みたいに衣装でシたいだけなんでしょー」
李衣菜「だってあのみくちゃん可愛かったんだもん…」
みく「またすぐそういうこと言うー。そんなこと言われたら…引き下がれなくなっちゃうにゃ…」
李衣菜「ねぇ…ダメかな?」
みく「李衣菜チャンも…着替えてくれる?」
李衣菜「もちろんするっ!みくちゃんだけにさせないから!」
みく「その衣装でもう一回可愛いあのポーズ見せてくれるなら…ね」
李衣菜「それならみくちゃんにもやってもらうもん…」
みく「…いいよ、だってみくはキュートだモン」
みくと李衣菜による夜の【応援】。そのボルテージは夜が深まるごとに熱を増していったという…
 
一方の夏樹と菜々の部屋では…
菜々「今日は何とか湿布だけでも大丈夫そうです…」
夏樹「マッサージはいいのか?」
菜々「はい。午後の撮影が幸い動かなくても良かったでしたから」
夏樹「菜々がそう言うならそれでいいな」
菜々「夏樹さんはどうです?」
夏樹「アタシは今日も脚と腕だけかな」
菜々「それならやりますから横になってください」
夏樹「悪い、頼むぜ」
ボフッ
夏樹はベッドへと横になった。
菜々「それにしても…みくちゃん達にバレちゃいましたね」
夏樹「いつまでも隠してたって仕方ないから、今日はいい機会だったさ」
菜々「でもナナのこと守ってくれるって…嬉しかったです」
夏樹「バドミントンでやって昨日の今日だったからな。つい口から滑っちまった」
菜々「フフっ、そういうところも好きですから夏樹さんっ」
夏樹「んっ…そこらへんもうちょっと強く…ま、これで彼奴等の前でも気兼ねしなくて良くなったな」
菜々「そうです…んんー…ねっ!と。もう夏樹さんのこと二人の前でも言い分けしなくて良くなりましたし」
夏樹「だけど隣の話聞いてる限り、アタシ達がいつからかってのは分かってないみたいだな」
菜々「原因を作った本人たちなんですけどね…」
夏樹「アハハハっ!確かにそうだったな。あ、そうだ」
菜々「何です?」
夏樹「例のヤツ、何とかなりそうだぜ。宿の人に話聞いたら、那覇まで行くけど予算内で貸してくれるとこがあるってさ」
菜々「本当ですか!持ってきたのが無駄にならなくて良かったです」
夏樹「さっき電話したら予約取れたから、ライブの次の日の休みは楽しもうぜ菜々」
菜々「よろしくお願いします、夏樹さん」
夏樹「あ、その同じとこの反対側もお願いな」
菜々「はい…あの、やっぱりナナにもマッサージお願いできますか?ちょっと痛いところがやっぱり…」
夏樹「了解。それやり終わったらちゃんと寝とこうぜ。明日はリハだからゆっくり休んどいた方が良さそうだ」
菜々「はい…隣の部屋はまた騒がしいことになりそうですけどね…」
ほとほと呆れ顔になった夏樹と菜々であった…
 
6日目/6日目夜へつづく
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
←2日目へ 6日目へ→ 6日目夜へ→ あとがきへ→
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2016・07・31SUN
飛神宮子
短編小説に戻る