10 Years Later...[11](10周の先《11》)

泰葉「ではお呼びします。穂乃香さん、忍さん、柚さん、あずきさん」
裕美「フリルドスクエアの皆さん、前の方にお越しください」
「え?アタシ達だけ?」
穂乃香「泰葉さん、私達だけで良いんでしょうか?」
泰葉「はい。私達と同じ4人組でずっと活動されている皆さんに、このセクションをお任せしようかなと」
裕美「こういう機会で4人のリズムが見てみたいなって」
「そう裕美チャンに言われちゃったらしょうがないネ」
あずき「ここはあずき達に任せてね」
「VTR振りだけはお願いするよ」
泰葉「分かりました、忍さん」
穂乃香「それではあらためまして、綾瀬穂乃香です」
「工藤忍だよ」
「喜多見柚とー」
あずき「桃井あずきっ」
穂乃香「私達…」
四人『フリルドスクエアですっ』
「というわけで始まりましたフリルドネットワーク、工藤忍だよ。今週もフリルドクロッシングとの合同放送だからね」
穂乃香「今日は公開放送ということで東京の○○スタジオより、全国に向けて放送いたします。綾瀬穂乃香です」
「フリネットをご視聴のみんなこんにちはー、喜多見柚ダヨ」
あずき「桃井あずきだよっ。今日は公開放送ってことで楽しいことになりそうだねっ」
「…こんな感じでいいカナ?」
裕美「さすがの息だね柚さん達…」
あずき「みんな今のお仕事になってもラジオだけはずっと続けてたからねっ」
泰葉「ではそんなフリルドスクエアの皆さんの過去映像です。どうぞ」
………
その映像が終わり…
「どうしようか泰葉さん、ラジオみたいに雑談しちゃいたいなって思うんだけど」
泰葉「それでも構いませんよ。このパートは皆さんの生の声を聴きたいと思いますから」
裕美「そうだね。柚さん達のお話、興味深いなって」
「それならそうしよっか。それなら…ちょっと椅子とテーブルが欲しいナー」
泰葉「椅子って用意できますか?はい、私達は司会席にあるので四つで良いです」
四人の前に椅子とテーブルが用意された。
「これならいつものラジオみたいな感じだね。じゃ、誰か振りできる?CM明けみたいなヤツでさ」
あずき「はいはーいっ、あずきがやるよ。んんっ!……はい、今日は公開放送でお送りしてるフリクロネットだよっ」
「皆さんにはアタシ達の昔の映像を見てもらったんだケド、どうだったカナ?」
「結構色々やってきたね」
穂乃香「そうですね、忍さんは特に何が印象に残ってます?」
「アタシはそうだなあ…やっぱりあのファッションショーかな」
あずき「あったねー、でもあずき的には忍ちゃんの一番はアレかなっ」
「あずきチャン、たぶんアタシも一緒かもー」
穂乃香「私も一緒かもしれません」
「えっ?えっ!?」
「せーのっ!」
穂・柚・あ『ドリームLIVEフェスティバル!』
あずき「だよねーっ。本編には関係ないけど、あの写真はね」
穂乃香「そうですね。忍さんはもちろん憶えてますよね?」
「うう…あれは恥ずかしいから忘れてたのにー」
穂乃香「あの、泰葉さん。司会席の方にたぶんスマホとかを繋ぐ線があると思うんですが…あいさんの時に見たので」
泰葉「あ、これかな?」
穂乃香「それです。それ、こっちに伸ばせますか?」
裕美「スタッフさん、これ大丈夫かな?あ、もう一本あるって、穂乃香さん」
穂乃香「ありがとうございます。裕美さん、スタッフさん」
穂乃香はスマホを操作し始めた。
「え?もしかして穂乃香…あの写真まだ持ってるの!?」
穂乃香「せっかくですからね。確かこのフォルダに…あ、ありました」
「穂乃香チャン、さっすがー!」
あずき「あずきはたぶん家の方のドライブの中かなー」
「穂乃香…後生だからそのね…」
穂乃香「恨むならそこにいる柚さんと、スマホを不用意に渡した当時のプロデューサーを恨んでくださいね」
あずき「そういえば急にLIOEで送られて来たんだったねっ」
「よく覚えていたネ、穂乃香チャン」
穂乃香「ではこちらが、梅雨の時期に行われたドリフェスの打ち合わせ前の、忍さんとプロデューサーの雨宿りの様子です」
穂乃香がスマホを接続すると、画面には夏の制服がびしょ濡れで透けてしまい、ボタンも少し外した忍の姿があった。
「ああ…黒歴史…」
「ここまで透けてたんだネー」
あずき「あずきもあらためて見てこれはダメだって思ったもん」
「それなら…と言っても穂乃香はプライベートで恥ずかしい写真が無いからなあ…穂乃香、次はケーブルこっちに回して」
今度は忍がスマホを操作し始めた。
穂乃香「はい、いいですよ」
「それじゃあアタシからは…ここにいる人でも知っている人がいる写真だけど、これ出しとこうかな」
あずき「何人か…モシカシテソレハアズキノシャシンジャナイデスカ?」
「まあそうなるよ…ねっ」
忍がスマホを接続すると、紫のミニチャイナを着てセクシーポーズをしているあずきの姿があった。
あずき「あーーーーっ!やっぱりあずきのーーーっ!」
「だってアタシだけあんなのやられるだけじゃ癪だもん」
「あずきチャン、あったね。ミニチャイナでプロデューサーサンを落城大作戦だっけ?」
穂乃香「悩殺しようとして、プロデューサーが来る前に私達に見つかって…」
あずき「それはあずきだって…女の子だったし…」
「確かに似合う体型だったからね。身長は当時一番低かったけど、スタイルはアタシとか柚より良かったしさ」
「うんうん。あずきチャンって忍チャンより大きかったよネ」
「身長はアタシの方があったのに胸負けてたんだよね…まあもう過去の事だけど」
あずき「もうあずきだってじゃあ…今度はあずきにケーブルをちょうだいっ」
次はあずきがスマホを操作し始めた。
あずき「はい、あずき。そうなると次は…」
「もしかして、アタシがターゲットなのカナ?」
穂乃香「そう…でしょうかね」
あずき「んー…あ、ここにあったっ!これ、プロデューサーからもらった写真なんだけどっ」
あずきがスマホを接続すると、夕陽の射す階段で頬を少し赤らめて何かを渡そうと後ろ手に持っている柚の姿があった。
「……誰?」
「忍ちゃん、誰だってアタシーーっ!」
穂乃香「柚さんのこういう乙女な部分、なかなか私達も見られなかったんですよね」
「何でこの写真あずきちゃんに渡してるノ、プロデューサー!」
あずき「あずきが観て、欲しいって言ったらくれたよ。こんな乙女している柚ちゃんなかなか見られなかったしっ」
「もー…アタシはじゃあ穂乃香チャンの…って良い写真あるカナ…」
「そうなんだよね、穂乃香はそういう写真見つからなくてねー」
あずき「分かるっ。穂乃香ちゃんだけ探しても出てこないんだよねっ」
「しょーがない、奥の手だ。スライドショーで行くヨー」
柚がスマホを接続すると、柚がぴにゃこら太にぐさーした瞬間の穂乃香の表情百面相が流れていった。
穂乃香「ぴにゃこら太―ーーーー!!」
「あ、久しぶりに穂乃香のそれ聞いたかも」
「色々と穂乃香チャンの前でやってたからネー」
あずき「あの頃は何かとやってたよねっ。柚ちゃんも結構面白がってたし」
「からかうの結構面白かったんだモン」
あずき「そういえば何の話だったんだっけ?」
「アタシの印象に残ったイベントの話からいつの間にか変な流れになったんだけど?」
穂乃香「あっ…そうでした」
「でもこの4人だと一番はアレなのカナ?」
あずき「アレだねっ」
四人『アイドルLIVEロワイヤルっ』
穂乃香「四人でメインを張らせてもらって、あの時のリーダーがあずきさんでしたよね」
あずき「うんっ。楽しかったなぁ。この四人の大舞台のリーダー…時間があっという間だった気がするっ」
「四人で合宿もしたりしたね」
「修学旅行みたいで楽しかったナー」
穂乃香「私達、実際の歳は違いますけど…あの時からより一層同級生みたいに活動できた気がします」
「そうだね。今はこうして一人一人別々の道を歩んでいるけど、根底はやっぱりこのフリスクかなって思うよ」
「1か月に2回くらいラジオで話す時も安心するモンね」
あずき「うんうんっ。ここがあずき達が帰ってくるもう一つの『家』なんだなって思うよっ」
穂乃香「さて、今日のラジオいかがでしたでしょうか?」
「まー、本当はラジオじゃないんだけどね。だけどあの頃を少し思い出せて良かったよ」
「途中から暴露合戦になっちゃったケド、それもアタシ達らしいよネ?」
あずき「楽しく仲良く過ごしていたから、だからこうやってバカし合えるんだよっ」
穂乃香「フフッそうですね。では今週はこの辺でお別れです。フリネット&フリクロ同時公開生放送。お相手は綾瀬穂乃香と…」
「工藤忍と…」
「喜多見柚と…」
あずき「桃井あずきでしたっ!」
\パチパチパチパチパチパチ/
あずき「何か本当にラジオみたいに喋ってたねっ」
「こんな感じになっちゃったケド、良かったのカナ?」
裕美「あ、ありがとうございました…すっかり雰囲気に飲まれちゃったね泰葉さん」
泰葉「そうだね裕美ちゃん。息の合い方はさすがかも…」
「もう長い付き合いだからね」
穂乃香「はい。私たちの原点であり故郷ですから」
「みんな現職は違うけど、そこだけは忘れないでいたいよね」
泰葉「そういえば穂乃香さん達は今、何をされてるんですか?」
穂乃香「あ、私は今は舞台女優とダンス系のトレーナーです」
「アタシは女優だよ。ドラマと舞台半々くらいかな」
あずき「あずきはグラビアアイドルだけど、身長もう少し欲しかったなっ」
「アタシはタレントだよ。アタシがアイドル時代に一番近い感じかもネ」
裕美「本当に様々なんだ…」
「それでもこうしていると、いつでもあの頃のように戻れるからアイドル時代は大切だったって思うよ」
穂・柚・あ『そうですね/そうだよね/もちろんっ』
裕美「良い雰囲気なのでこのまま終わりにしましょう」
「あれ?アタシ達は特別な写真とか無いのカナ?」
泰葉「それがですね…さっきの写真の衝撃度が大きすぎて、用意した写真が負けたそうです」
あずき「あずき達、やり過ぎちゃったねっ」
穂乃香「それはそれで良いんじゃないでしょうか。それ以上に恥ずかしい思いをした気もしますし」
「確かにね。じゃあそろそろ本当に出番終わりで良いかな?」
泰葉「はい、フリルドスクエアの皆さんありがとうございました」
\パチパチパチパチパチパチ/
泰葉「それでは次は…と言いたいのですが、皆さんお時間ありますか?」
「穂乃香はどう?」
穂乃香「私は今日のレッスン担当に入っていませんから大丈夫ですが」
あずき「ゴメン、あずきはこれから海外なんだっ。今日夜の便で行かなくちゃだからっ」
「アタシもー。あずきちゃんと一緒に久々のグラビアで健康美魅せちゃうのとネー」
穂乃香「他にも何かあるんですか?」
「向こうで取材と、ラジオも一緒に収録するんだー。10周年記念に託けて、行ってくるならついでに収録してきてってネー」
「あ、いいなー」
穂乃香「私達も何かお願いすれば良かったでしょうか、忍さん」
「まあこれはいいんじゃないかな。あずき達だってついでだって話だしさ」
穂乃香「そうですね。忍さんはこの後どうなんですか?」
「アタシは次の舞台までまだしばらく休めるから…ってもしかして?」
裕美「はい。ここから千鶴ちゃん達が帰ってくるまでの司会、お願いできないかなって」
「まあこれくらいならやってあげよっか、穂乃香」
穂乃香「そうですね、分かりました。泰葉さん、裕美さん、交代しましょう」
泰葉「良かった…はぁとさんが登場できそうなところまだあるから、そこで司会を返してあげてください」
「ん、了解。それじゃこっちに移動してっと…次は時間的にはこの辺なのかな?」
泰葉「そう…ですね。あの…その前にお呼び出しです。川島瑞樹さんいらっしゃいますか?」
瑞樹「どうしたの?」
泰葉「あのですね……で、……なんですが、良かったらお願いできますか?」
瑞樹「ええ、良いわよ。向こうでちゃんと説明しておくわね」
瑞樹はそのまま別室へと向かった。
「ありがとうございます。それじゃあ次はこちらの方々だよ」
穂乃香「ではお呼びしましょう…」
 
第12話へつづく
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あとがき
飛神宮子です。
10周年記念10年後SS、第11弾です。
フリルドスクエアはやっぱりフリルドスクエアだけで出したかったのでこんな形にしました。
4人の現職ですが、過去に穂乃香が5年後の4人を夢に見る作品で書いた内容をそのまま持ってきました。
上の作品の世界観ですので、忍は全員ちゃん付けから呼び捨て、穂乃香はちゃん付けからさん付けに変わっています。
さて次から3作品は司会進行が泰葉・裕美→穂乃香・忍に代わります。
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2021・11・29MON
飛神宮子
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