I Believe in the Immense Possibilities(可能性は計れないからっ)

「次のメールはフリネーム新潟の寒ブリさん、ありがとね。」
穂乃香「ありがとうございます、寒ブリさん」
「『忍さん、穂乃香さんこんにちは』」
穂乃香「こんにちは」
私は忍ちゃんと来週分のラジオの収録をしていました。
「『……そこでですが将来、フリルドスクエアはどんな感じになってると思いますか?』…だって」
穂乃香「将来の私たちですか…どうなんでしょう」
「将来って言われても具体的じゃないと分かんないよね。例えば…10年だと遠いかな?」
穂乃香「10年後だと私は27歳ですね、私の事務所だと確か兵藤さんや篠原さんと同じになります」
「27ってそっかー。アタシだと26だから…三船さんとか沢田さんだからやっぱり結構お姉さんってイメージになるね」
穂乃香「これだとイメージが固まってしまうので、5年後くらいならどうでしょうか」
「5年後だと穂乃香ちゃんが22、アタシが21、柚ちゃんやあずきちゃんがハタチかー」
穂乃香「それくらいでもうあずきちゃん達までお酒が飲める歳になるんですね」
「うんうん。その頃何やってるかなー?」
穂乃香「まず大学に行っているかで違うかもしれません……」
………
穂乃香「それでは今週もお別れの時間です。お相手はフリルドスクエアの綾瀬穂乃香と」
「工藤忍でした。また来週も…」
穂乃香・忍『6つの場所を丸く繋げてフリネット!』
♪〜
「んーっ!おつかれっ穂乃香ちゃん」
穂乃香「おつかれさまです、忍ちゃん。これでやっと帰れますね」
「4月まで2本録りが無いからしばらく楽でいいけどー。よし、スタッフさんに挨拶して駅行こっか」
穂乃香「寒いですし新幹線までそれほど時間もありませんから早めに行きましょう」
 
東京へ戻る新幹線、忍ちゃんは私の隣の座席です。
穂乃香「忍ちゃんは宿題ですか?」
「うん、帰るまでに片付けちゃおうかなって。穂乃香ちゃんは…ここでできないやつだっけ」
穂乃香「はい。あとはどうしても寮に戻ってからじゃないとできなくて…」
「それなら穂乃香ちゃんは寝ててもいいよ。東京近くなったらアタシが起こすからさ」
穂乃香「そうですか?それならお言葉に甘えさせてもらいます」
………
私は夢を見ました。夢だって分かったのは絶対に今の歳の私では無かったからです。
5人『カンパーイ!』
ここは…たぶんお酒の飲める場所。私の他には忍ちゃんと柚ちゃん、あずきちゃんとプロデューサーさん。
「穂乃香チャン、久しぶりでも変わってなくて安心したよ」
えっ、私もしかして…
あずき「忍ちゃんはラジオやってるから会ってたでしょっ?」
「うん、それだけは続けてたからね。まあ柚も12月に飲める歳になったし、久しぶりに4人で集まるのはどうかなって」
良かった…ラジオだけは続けていたみたいです…ってあれ?何か…
「アタシの誕生日の頃は穂乃香チャン忙しくて来れなかったもんねー」
穂乃香「本当は誕生日会に行きたかったんですけど、研究がもう佳境に差し掛かってまして…」
「この1年は結構穂乃香が欠けることが多くて大変だったなあ。でも穂乃香の将来のためだからそこは仕方なかったさ」
穂乃香「はい…おかげさまで卒業論文も無事に提出できました」
「えっと何だっけ、世界の舞踊における関節と筋肉の…よく分かんないッ!」
あずき「穂乃香ちゃんこういう自分に必要な物の時は本当にのめり込んじゃうもんねー」
「上手くいかない時はラジオ終わりによく愚痴を聞かされてたなあ」
穂乃香「研究をしていると色々とあってつい…ゴメンなさい忍さん」
あれっ…私も何だか違うような…?
あずき「アハハっ!忍ちゃん大変だったねっ」
「いいんだけどさー、あの誤動作で大変だった話とか面白かったし」
穂乃香「あ、プロデューサーさん。346プロの方々のご協力、本当に感謝してます」
「ああ、今回の研究内容からして頼りになる子多かったからな」
穂乃香「小早川さんにナターリアさん、篠原さん、キャシーさん、あと小松さんと若林さんにも協力いただきました」
「ほう、確かにみんなダンスとか趣味の人達ダネ」
あずき「でもやっぱり寂しかったなぁ…穂乃香ちゃんがいない3人の活動って」
「アタシは月2回会ってたからそうでもないけど、柚やあずきは声だけだったからねー」
そっか、忍ちゃんがみんなにちゃん付けしてないんですね…
穂乃香「あ、そろそろ次の注文します?」
「アタシはピーチハイにしようかなっ」
あずき「あずきは柚サワーもらおうっと」
「俺は烏龍茶もらえる?」
「あれ?プロデューサー飲まないの?」
「深夜にマキノ達の収録があるんだよ。それにお前たちを送らないといけないかもしれないし」
「そっかあ…あの時みたいに…」
「忍、それ以上は言わないでくれ…」
「やっぱり?あ、私は枝豆と日本酒…あ、この秋田のにしようかなっ」
穂乃香「私は明日もありますのでリンゴジュースを頂きます」
「アレっ?穂乃香チャン明日何かあるの?」
穂乃香「明日が卒研発表会で、それが終われば卒業式までやっと本格的な空き期間になるんです」
あずき「もしかしてあずき達、とんでもないタイミングで誘っちゃったのかなっ?」
穂乃香「いえ、もう心の準備は整えていますし教授にはOKを頂いてますから大丈夫ですよ」
「こういうところが穂乃香の凄いところだよねっ。アタシも来年はそうなるのかなー」
穂乃香「忍さんなら大丈夫かと思いますよ。その分私が代わりに頑張りますから」
あっ…私もさん付けに…そうなってるのでしょうか…?
「今度は穂乃香に愚痴を聞いてもらう番になりそうだよ」
穂乃香「忍さんには1年やってもらいましたから、それくらいのことならいくらでもいいですよ」
「ありがと、穂乃香。あ、そういえばあずきは来週からどこ行くんだっけ?」
あずき「来週の水曜から金曜までグアムの撮影大作戦に行ってくるよっ。アルコール飲めるのは今日だけかなー」
あずきちゃんは今や売れっ子のグラビアアイドルの一人。
「いいなあーっ、アタシも一緒に行きたかったー!アタシはスポーツ大会の取材とかだもんっ。忍チャンは来週から舞台だよねーっ?」
そういう柚ちゃんはバラエティやスポーツ系をこなす人気アイドル。一番今と変わっていないかもしれません。
「うん。総監督さんが結構厳しい人で大変っ、毎日稽古でヘトヘトだよ。まずは水曜のゲネプロ乗り切らないとかな」
忍ちゃんは最近は演技の方に取り組んでいるみたいです。この前の単発のドラマでも準主役級でした。
穂乃香「プロデューサーさん、私のこともまたよろしくお願いします」
そんな私は大学卒業まで学業やアイドルと並行して…
「ああ。でもこれからは兼任になるけど大丈夫だな?」
プロデューサーさんは相変わらず…でも昔と比べて白髪が何本か出始めたでしょうか。
穂乃香「はい。しばらくはプロデューサーさんが担当するアイドルの方を中心に担当させてもらいますね」
私はみんなのために何が出来るかを突き詰めた先にやっと見えた夢…
「おっ、ついに穂乃香チャンが教えてくれるようになるんだネっ」
穂乃香「しばらくは覚えることもありますけど、これからはみんなもダンスに磨きを掛けていきましょう」
ダンスのトレーナーになるために必要なスキルや資格などを取得しました。
あずき「うんっ、でも穂乃香ちゃんだとレッスン甘くはならなそうだねっ」
穂乃香「もちろんですよ、フフフ。ところで柚さんもあずきさんも柔軟体操の自主レッスンだけは守ってくれていますよ…ね?」
柚・あずき『あっ…』
あずきちゃんと柚ちゃん、顔を見合わせちゃってます。
「で、でもアタシはそれをしなくてもセクシーボデーだからっ!」
あずき「あずきも大丈夫だよっ、身体は魅せるお仕事だからねっ!」
穂乃香「これはあずきさんと柚さんには特にみっちり指導しましょうか…」
「うへぇ…助けてよー忍チャーン」
「自業自得じゃないかな。アタシはラジオの時に穂乃香に見られてたからねー」
「いやでも助かるよ。歌もだけどダンスのトレーナーさんは、時期によって獲り合いになることが多くてな」
「でも穂乃香がそこまでやるならアタシも何か身に付けようかな」
「忍も無理はするなよ。穂乃香は自分が好きなことを目指してそうなったんだからさ」
穂乃香「そうですね。忍さんは特にこれから大切な時期ですから」
「そうだね、4月からアタシも頑張らないとだなー……」
………
「……寮戻ってから誰かに教えてもらってもう少し頑張らないとだなー…」
私は何か隣に動くものを感じました。
「…ってもう大宮だからそろそろ穂乃香ちゃん起こさないと」
ユサユサユサユサ
私の身体が誰かに揺さぶられているみたいです。
「穂乃香ちゃーん、もう大宮だよー」
穂乃香「ん?え?忍さん?あれ?」
「え?ちょ、ちょっとアタシのこと忍さんって…どうしたの?穂乃香ちゃん」
穂乃香「あ、そっか…夢だったんですね」
「何だ…良かったー。どんな夢見てたの?」
穂乃香「ラジオでの将来の話をしたのが印象に残ったままだったみたいです」
「あー、将来の夢を見てたの?夢の中のみんなはどうだった?」
穂乃香「それは秘密にしておきます。将来がそうなるとは限らないですから」
「そっか…でもアタシがどんな感じになるかは知りたかったけどなぁ」
穂乃香「ただ私の想像の中の忍ちゃんはまだアイドルしてましたよ……」
私達の未来…本当にこうなるんでしょうか?それは誰にも分かりませんよね!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
飛神宮子です。
月刊フリルドスクエアの9本目。
ふと「5年後ならメンバー全員が20歳超えるよなあ」という思い付きからです。
これはあくまで私の想った未来を穂乃香を借りて代弁させているだけです。
本当のことなんて運営のみぞ知ることばかりですからね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2016・02・01MON
飛神宮子
短編小説に戻る