10 Years Later...[01](10周の先《1》)

「346プロアイドル部門10周年記念っ!あのアイドルは今?We're the ever friends!」
司会のアイドルがタイトルコールをすると、司会席の両側のひな壇に並んだアイドル達が映し出された。
「CS○○チャンネルを観ているみんな、今日のは永久保存版だからな☆この番組の司会進行をすることになったしゅがーはぁとこと佐藤心だぞ☆」
千鶴「はあ…相変わらずですね。あ、同じく司会進行の松尾千鶴です」
「そんなこと言うなよ千鶴ちゃん」
千鶴「大体なんで心さんの相方が私なんですか。菜々さんとか他にも適任の人はいたじゃないですか」
「むぅ…千鶴ちゃんははぁとと一緒じゃ嫌なんだ…」
千鶴「そ、そんなことは言ってないじゃないですか。むしろこうして久しぶりにコンビを組めてその…」
「このこのーっ。そういうとこも相変わらずカワイイんだから」
千鶴「もう、私も20代なんですからそういうこと言わないでくださいっ」
「はぁとにとっては永遠に10歳ちょっと年下の妹の一人と思ってるんだからな」
千鶴「分かりましたよ…って、スタッフさんが早く進行しろと書いてますよ」
「ああ、そうだな。じゃあ始めるか。この番組について軽く説明するぞ」
千鶴「はい。この番組は346プロのアイドル部門10周年を記念した生放送番組です。アイドル専門のCS○○チャンネルを8時間お借りして朝10時から夜6時までお送りします」
「それでアイドル部門に当時所属または現在も所属中の190人のアイドルの現在を、教えられる範囲で報告してもらおうという番組だな」
千鶴「こちらのスタジオをメインに、隣のスタジオではお食事を提供しております」
「食事をしたい人は適宜そっちに行ってもらってな。一応ひな壇は120以上の席があるけど、足りなくなったら困るからな」
千鶴「全員の紹介ができるかは分かりませんが、できる限りは報告できればと思います」
「とりあえずまずは、はぁと達かな?」
千鶴「そうですね。心さんは現在もアイドル部門でしたっけ?」
「まあアイドル部門つって言ってもバラエティ系の部門だけどな。いやー、この歳だと堪えるぞ」
千鶴「今は36歳でしたよね」
「干支4周目突入するとな、一気に現実が襲ってくるんだよ」
千鶴「そうなんですね。あ、この前の芽衣子さんとの温泉旅、観ましたよ」
「おー、あれか。あれも大変だったんだぞ。芽衣子ちゃんも30代だけど体力まだハンパなくてなー」
千鶴「旅行ライターにもなってあちこち行かれているって聞きましたからね」
「芽衣子ちゃんとかみたいに兼業してる子も多いんだよな」
千鶴「シャイニングトラベラーズの皆さん、椿さん以外みんな旅行ライター兼業になりましたからね」
ちょうどひな壇にいた椿の姿が映された。
「だから今ここにはいないんだけど、もしかしたら途中で中継入れてもらうかもだから」
千鶴「え?もう繋いで大丈夫ですか?というか今しか繋げないと。分かりました、では…ジャーニースターのお三方ー!」
と、二人の後ろのモニタにリモート通話の画面が表示された。
「日本は午前10時過ぎくらいだからおはようね。グッドモーニング、伊集院惠よ」
美里「司会は確か千鶴ちゃんとはぁとさんだったかなぁ?おはよぉ。間中美里ね」
千鶴「あれ?芽衣子さんはどうされましたか?」
「その話なんだけど…今、日本にいるはずよ」
「おい、どうしたんだ?」
美里「それなんだけど、番組をダブルブッキングしたみたいでそっちを撮ってからじゃないと絶対ダメってなってねぇ」
「それで泣く泣く私達二人だけになったわけよ」
千鶴「そうだったんですか。あ、今情報が来ました。はい、今繋げられるそうです」
「んじゃ、芽衣子ちゃんの方も呼ぶぞ。芽衣子ちゃん、どしたんだー?」
芽衣子「…はーい…並木芽衣子でーす…」
明らかに落ち込んでいる声を聴かせる芽衣子。
「まあ気持ちは分かるけど、番組中だからもう少し声張ってくれよ」
芽衣子「だって5ヶ月ぶりの海外の予定が吹っ飛んだんだから、そりゃ落ち込むでしょ」
千鶴「そうでしょうけど、今どちらですか?」
芽衣子「私?私は今むつみちゃんと…あ、氏家さんのことね。一緒に奄美大島だよ」
千鶴「むつみさんとご一緒でしたか」
芽衣子「むつみちゃんも出る?いいよっ」
むつみ「あ、おはようございます。氏家むつみです」
「おはよっす、むつみちゃん。今日は番組の撮影だよな?」
むつみ「はい。某局の世界遺産を巡る番組と某局のクイズ番組で、今は撮影前日入りのホテルです」
芽衣子「そういうことで私はこっちに来ざるをえなかったってこと」
美里「もしもーし、芽衣子ちゃん?」
「私もいるわよ」
芽衣子「あ、美里ちゃんに惠ちゃん。そっち任せちゃってゴメンっ」
「いいのよ、後でたっぷりと土産話を聞かせてあげるわ」
芽衣子「うう…羨ましい…」
千鶴「そういえば美里さんたちはどちらにおられるんですか?海外ですよね?」
美里「言ってなかったねぇ。私たちはニュージーランドに来てるの」
「日本からの時差は3時間で、今はお昼の1時を過ぎたところね」
美里「こっちも番組の撮影とルポの取材で、あと数日で日本に帰るんだよねぇ」
芽衣子「だから私はもうどう足掻いても間に合わないんだ。明日から番組撮影になるし」
「そっちもそっちでお仕事なんだから頑張りなさい。あ、椿ちゃんは確かスタジオにいるのよね?」
椿「はい、夏美さんも来てますよ」
「それなら話が早いわ。夏美さんに椿ちゃん、12月×日の夜を空けといてもらえる?」
夏美「たぶん大丈夫だと思うけど、どうしたのかしら?」
「いいのよね?美里さん」
美里「いいよぉ、詳細は後でメッセージ送っておくねぇ」
夏美「分かったわ。3人ともお土産期待してるわね」
加奈「あ、美里さーん」
美里「その声は…加奈ちゃん?」
加奈「はい、お久しぶりです。元気そうで何よりです」
美里「じゃあちょうどよかったぁ。12月×日の午後から加奈ちゃんもメロウの3人と一緒に空けておいて欲しいなぁって伝えてねぇ」
加奈「分かりましたー」
「何だかすっかり連絡のやりとりになってるぞ」
千鶴「でも良いんじゃないですか。今は部門も違う方もおられますから、折り入って話も色々あるでしょうし」
「ま、そうか。でもそろそろ他のアイドルについても進行しないとだし、この辺のメンバーについてはこの辺にしとこうか」
千鶴「そうですね、では惠さん、美里さん、芽衣子さん、むつみちゃん、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
芽衣子「またねー!」
二つの通話画面が同時に閉じられた。
「むつみちゃんは今何してるんだっけ?」
千鶴「むつみちゃんは今は大学も卒業してタレントですね。某局のクイズ番組での活躍をご覧の方も多いかと思います」
「最初から狙った通りに行けて役得だよな」
千鶴「当初からそんな感じでしたからね」
「そういえば千鶴ちゃんについて話したっけか」
千鶴「あ、まだでしたね。私は今は俳優部門に移りまして、俳優とあと書道の方も続けています」
「GBNSの子達は裕美ちゃん以外みんな俳優メインだっけ?」
千鶴「はい。裕美ちゃんは俳優もやりつつ、ファッションの方により興味が出たようでそっち方面で勉強されてます。来た時に話は聞きましょう」
「でもまだ仲良いよな。四人の劇団のこの前のヤツ、4日目の午後公演見に行ったぞ」
千鶴「え?本当ですか、ありがとうございます。ゲストはナレーションの乃々さんだけの久しぶりに四人だけの密室劇で、やっていて緊張感凄かったです」
「あの緊迫感なあ、こっちまで固唾を飲んで見守ってたな。ま、詳しい内容は今度ディスク化されるから、来れなかった視聴者の人はそれで確認してな」
千鶴「あ、宣伝ありがとうございます。でも心さん、お子さんはどうされてたんですか?」
「その日は夫に預けといた。まあもう5歳だし、大変だけど可愛いもんだぞ」
千鶴「そうなんですか、私にはまだ…」
「そんなこと言って、もう千鶴ちゃんもはぁとがアイドルやり始めた歳と同じくらいだよな?」
千鶴「そ、それはそれですっ。まあでも後でGBNSが揃った時にあらためて色々とお話しますね」
「確かに本人たちの口からの方がいいもんな」
千鶴「では、私たちのお話はそろそろこの辺で」
「そだな。んじゃ、ここからは元ユニット単位とかそういう感じの組で紹介していくぞ」
千鶴「では今からお呼びしますので、呼ばれた方はこちらにお越しください。まずは…」
 
第2話へつづく
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
飛神宮子です。
シンデレラガールズの10周年を記念して、アイドルの10年後それぞれを想像して書いてみました。
作品によっては登場アイドル数が多く、セリフが一言二言になる子もいますが3日に分けて18連作で全員登場予定です。
今回はちづしん&シャイニングトラベラーズ&むつみです。
椿は以前8周年の時にマキノ・椿で書いたので、旅行ライターではありません。
心はバラエティ系アイドル、千鶴は公演の主演とかもありましたし女優かなと。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2021・11・28SUN
飛神宮子
短編小説に戻る