New Year's Rear Gift(おとしりだま)

ここは元日の事務所…
貴音「あけましておめでとうございます、あなた様」
「おめでとう貴音。でもゴメンな」
貴音「どうしてででしょう?謝られることは…」
「いや、俺のミスで元日から働かせることになってさ」
貴音「いいのです。あなた様と一緒に居られるのならば、それくらいのことなど…」
「貴音…ありがとな」
………
時は仕事納めの先月28日に遡る…
小鳥「プロデューサーさーん」
「何ですか?小鳥さん」
小鳥「CSの○○テレビから頼まれてた奴、今日までですけど…どうします?」
「頼まれてたのって…何でしたっけ?」
小鳥「元日生放送のコスプレ歌合戦にどの曲で誰を出すかですよ」
「…!あっ!忘れてた!!」
小鳥「ええっ!?ど、どうするんですか!?」
「どうするもこうするも、年末年始は休みにするってみんなに伝えちゃってるし…」
小鳥「でもこれはもう受けちゃってるんで、今さらキャンセルなんてできませんよ」
「ヤバいなあ…どうしよう…」
小鳥「とりあえず手分けしてみんなに連絡してみましょう、まずはやるだけやるしか…」
「はい、すみません小鳥さんの手まで患わせちゃって…」
小鳥「もう、言葉は良いですから手を動かして下さい」
 
小鳥「…そうよね、ゴメンなさい無理言っちゃって。じゃ、良いお年を」
ピッ
「…ダメか?まあそうだよな、無理に来ようなんていいから。じゃあな、良いお年を」
ピッ
次々と断りが続く事務所の電話。
小鳥「プロデューサーさん、春香ちゃんはどうでした?」
「やっぱりダメでした。そっちのやよいはどうでしたか?」
小鳥「こっちも無理みたいね、あと残すは…」
「これに賭けますか。ダメだったら…律子を無理言って呼びますよ。全員ダメだったら空けるって言ったんで」
ピポパポピポパポピポパ Trrrrr...Trrrrr... カチャッ
「もしもし貴音、俺だ。今、大丈夫か?」
貴音『もしもし、あなた様ですか。どうされたんでしょう?』
「あのさ、急で悪いんだけど1月1日ってフリーか?」
貴音『元日でしょうか…3日にこちらを発つ予定ですので、空いてはおりますが』
「それなら、今から事務所に来てくれないか?」
貴音『何でしょう?電話ではいけないことでしょうか?』
「ああ、ちょっと長くなるからさ」
貴音『それならば、迎えに来ていただけるのならば構いません』
「…分かった、すぐ行くから。今は家か?」
貴音『いえ、○○町の駅の近くになります』
「了解。今から行くから待っててくれ」
ピッ
小鳥「どうでした?貴音ちゃんは」
「もしかしたらいけるかもしれません。ちょっと本人を迎えに行ってきます」
小鳥「分かりました。私はどうしましょう?」
「ちょっと資料を整理しておいて貰えますか?あと、あの衣装を出しておいてください」
小鳥「貴音ちゃんというと…アレですね、分かりました」
………
貴音「それでわたくしがですか…」
「ああ、ダメか?」
貴音「そう急に言われましても、こちらとしてはどうすれば良いのか分かりません」
「この前の忘年会でやったじゃないか」
貴音「あれは…忘れていただけないでしょうか」
「いや、貴音があの衣装でアレを歌うなんて思わなかったなあ」
貴音「それは…あの、美希と亜美が用意をしていまして…」
「なるほど、納得した。でも似合ってたじゃないか」
小鳥「そうよね、似合ってたわ。お尻が小さなってところは違うけれどね」
貴音「こ、小鳥嬢まで!」
「頼む、お願いだ!この埋め合わせはいつか必ずするから!」
ついに貴音へ土下座までし始めたプロデューサー。
貴音「あ、あなた様、そこまでなさらなくても…」
「いや、俺が悪いんだからここは頭を下げさせてくれ」
貴音「あなた様にそこまでさせてしまうなどとは申し訳ありませぬ」
「だけどここまでやらなきゃ俺の気が済まない」
貴音「顔を上げてください…あなた様」
「えっ…」
貴音「そこまであなた様がされるほどのご覚悟ならば…わたくしとしても共に散り行こうかと思います」
「やって…くれるのか?」
貴音「やりましょう…レッスンは付けていただけましょう?」
「3日間だけど他に誰も居ないからマンツーマンで付けてやるさ」
貴音「ならばお願いいたします」
「良かった…小鳥さん、律子と局に連絡等をお願いできますか?」
小鳥「分かりました。あ、衣裳とか資料はどうしましょう?」
「こっちに置いておいてください。しかしあいつらはこれどこで見つけてきたんだか…」
貴音「お聞きしましたが、確か秋葉原で見つけたと言っておられましたよ」
「なるほどな…よし、決まったことだし今日は時間はどうだ?」
貴音「向こうへのお土産を考えていただけで、特に何も予定はありませんが」
「ならちょっとだけうちでやっていくか?」
貴音「はい…しかしその準備は?」
「迎えに行った間に小鳥さんが資料から音源まで全部揃えてくれてるよ」
貴音「ならば行ないましょうか」
………
そして当日の放送も無事に終わり、ここは楽屋…
貴音「約束通り今回のビデオは戴けるのですよね?」
「大丈夫だ。明日中には俺が家に届けるから」
貴音「ありがとうございます。一番新しい仕事ですので、良いお土産になるかと」
「それにしてもこの衣装は艶めかしいな」
貴音「そ、そうでしょうか?」
「特にこの部分の…」
ポンポンっ 
何やらその衣装の貴音のとある場所を叩いたプロデューサー。
貴音「キャッ!」
「スパッツのラインに男の眼は釘付けだっただろうな」
貴音「あなた様のだらしない眼は、そういうことだったのですね…」
ん?何だか貴音の眼が少し怒り模様に変わったぞ?
「ん?どうした?貴音」
貴音「今叩いたのをセクハラ、否、パワハラとして訴えてもよろしいのですが…」
「わ、わーっ!ゴメン!謝るから許してくれ!」
貴音「確かに私のチャームポイントはそこになりますが、それを何も無しに触るというのはどうかと…」
「いや、あまりにも見ていたら触りたくなってしまって…」
貴音「はあ…折角気持ち良く仕事が終えられるかと思いましたが、それも叶わぬことと…」
「何でもするから、本当にスマン!」
貴音「それならば、相応の罰を受けて戴きましょうか」
「えっ…?」
貴音「正月ですから正月らしい罰を…あなた様、少ししゃがんで戴きましょう」
「こ、これでいいのか?」
プロデューサーは貴音の横にしゃがんだ。
貴音「では…」
トッ
軽やかにプロデューサーに向かってジャンプして…。
貴音「これがわたくしからの『おとしだま』です!」
ドスッ
そのままプロデューサーの顔にヒップアタックを繰り出した。
貴音「そんなにわたくしのお尻に興味がおありでしたら、どうぞ存分にご堪能ください」
プロデューサーの顔を完全に尻に敷いて座ってしまった貴音。
「うう…苦しい…けど…」
貴音「どうかなされましたか?」
「貴音の…薫りが気持ち良くて…」
貴音「なっ!」
バッ
貴音は思わぬその言葉にプロデューサーの顔から身体を離した。
貴音「何ということ…わたくしにそのような辱めを受けさせるとは…」
「痛いけどこれだと何だか自分には本当のお年玉って感じだな」
貴音「…っ、しかしこれでわたくしの気も晴れましたので、何とも言い難く存じますが…」
「でもさっきの関しては謝る。本当に済まなかった」
貴音「もうよろしいです。少し複雑な気持ちではありますが…」
「ま、とにかく今日は疲れただろ?そろそろ帰ったほうがいいかな」
貴音「そう…ですわね、明後日には発たねばなりませんから」
「ああ。明日は何時くらいなら大丈夫だ?」
貴音「荷物の準備をしておりますので、いつ来ていただいても構いません」
「じゃあそれはそっちに行く時に電話するから」
貴音「はい、了解いたしました」
「今日のところは帰るとするか。俺は外に出てるからまずは着替えてくれ…」
結局帰るまで少し顔を紅く染めたままになってしまった貴音なのであった…
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あとがき
ども飛神宮子です。明けました、おめでとうございました。
これが前作の貴音の答えと言うことです。
一応今年もリンクはありませんがAllNight Nicom@sカレンダーによるSSは製作していく予定です。
というわけで1月。あの場面をどう表現しろと…こうでもしないとそんな状況にはならないでしょうね。
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2010・01・01FES/FRI
飛神宮子
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