In the Lingering heat of Summer...(残暑の中で…)

以前の頃からは色々と部屋変更があり、今は寮で同室になった二人。
菜帆「美由紀ちゃん、朝ですよ〜」
美由紀「ふわぁ…ん、んんーっ…」
今日は日曜日。ベッドから身体を起こして伸びをする美由紀。
菜帆「おはようございます〜美由紀ちゃん」
美由紀「おはよっ菜帆ちゃん、んーーっ!今何時ー?」
菜帆「7時ですよ〜。今日はお部屋の掃除と洗濯と色々としますから〜」
美由紀「そうだったねー、じゃあ起きよっと」
美由紀はベッドから立ち上がった。
美由紀「あらためておはよっ、菜帆ちゃん」
チュッ
美由紀は隣のベッドに座っていた菜帆の頬にそっと口付けた。
菜帆「おはようございます、美由紀ちゃん」
チュッ
菜帆もそっと美由紀の頬へと口付けを返した。
美由紀「朝ご飯食べたらまず何するの?」
菜帆「まずはお布団とか屋上に干しちゃいましょう〜」
美由紀「早くしないと干すとこベランダになっちゃうもんね」
菜帆「今日はお洗濯もありますからせっかくだから乾燥機じゃなくて干したいですからね〜」
美由紀「うんっ!ベランダでもいいけど午前中こっちに太陽あんまり当たらないしっ」
菜帆「今日はいいお天気ですからあまり長い時間だと熱くなっちゃいますけどね〜」
美由紀「それからお洗濯かな」
菜帆「三日くらい洗濯できなかったですから色々と溜まっちゃってますね〜」
美由紀「昨日の収録も大変だったもんっ」
菜帆「楽しかったですけどね〜、だから洗濯掛けたらお部屋の掃除をしてゴミも捨てて〜」
美由紀「お買い物はどうする?」
菜帆「それは朝食で決めましょう〜」
美由紀「そうだねっ!食堂行こっ」
菜帆「その前にちゃんと着替えてからですよ〜」
美由紀「そっか…うん」
二人は立ち上がって、部屋にあるクローゼットへと向かった。
菜帆「今日はどれを着ます〜?」
美由紀「んー…掃除するから、みゆきは汚れてもいいこれにしよっかなっ」
菜帆「そうですね〜、それなら私はこれですね〜」
美由紀「それじゃあ着替えて…」
ススススス ススススス ジジジジジ ツツツツツ
衣擦れの音が朝の部屋へと響いていく…
美由紀「菜帆ちゃん、今脱いだのも一緒に洗うよね?」
菜帆「今着替える服以外は全部洗っちゃいましょ〜」
美由紀「じゃあその籠に入れていいかなっ」
菜帆「はい〜」
 
そして食堂…
菜帆「美由紀ちゃんはお昼ご飯を頼んでました〜?」
美由紀「今日は、えーっと…菜帆ちゃんと一緒にしたと思うんだけど…」
菜帆「それなら頼んではないですね〜」
美由紀「それじゃあお昼どうしよう」
菜帆「だったらお買い物行きましょう。美由紀ちゃんに合わせるつもりでした〜」
美由紀「外で食べるの?」
菜帆「それは気分で決めましょ〜。帰ってから作っても大丈夫ですから」
美由紀「そうだね、部屋戻って冷蔵庫の中身を見て決めよっ」
菜帆「早めに片付けたい食材もありますからね〜」
美由紀「うんっ。うーん、やっぱりこの時間は人がまだ少ないね」
菜帆「まだ食堂が開いてからそんなに時間が経ってないですから〜」
時刻は7時20分。食堂が開くのが7時なので人の姿もまばらである。
美由紀「お休みだしみんなまだ寝ちゃってたりするのかな」
菜帆「ライブに出ている人とお手伝いの人は元から居ないですからね〜」
美由紀「みゆき達は来月だもんっ」
菜帆「もう1ヶ月ちょっとですね〜」
美由紀「そっかあ、でもきっとあっという間だぁ」
菜帆「特訓してると時間が過ぎるのが速いくらいですし〜」
美由紀「頑張ろうねっ菜帆ちゃん」
菜帆「はい〜」
 
居室へと戻った二人。
美由紀「こっちのシーツも剥がしたよー」
菜帆「こっちの籠に入れちゃってください〜」
美由紀「はーいっ。じゃあこの布団から屋上に持ってくねっ」
菜帆「お願いします〜」
………
美由紀「んしょ…んしょ…えいやっ!」
屋上の布団干しへと自身の布団一式を掛けた美由紀。
美由紀「あとはこのはさみで止めてっと、これでよしっ!残りも持ってこよー」
 
美由紀「よーし、これで完了だっ」
菜帆の布団一式も布団干しへとセットをした。
美由紀「あっ…でも…ちょっとだけならいいかな…」
ぼふっ
美由紀は干している菜帆の敷布団へと顔を埋めた。
美由紀「菜帆ちゃんの薫りだぁ…」
思わず顔が蕩けてしまった美由紀なのであった…
………
そんな事とは露知らず、その頃菜帆は部屋で掃除機を掛け始めていた。
♪〜
思わず鼻歌も零れ出している様子だ。
菜帆「あっとこのタオルは掛けておかないと〜」
ふと目に留まったのは洗濯に入れ忘れてしまったお風呂用のバスタオルが2枚。
菜帆「今日は掃除しますし、いい天気ですから外に干しちゃいましょ〜」
ガラガラガラガラ
菜帆はベランダに出てバスタオルを洗濯用ロープに留めた。
菜帆「こっちのは私ので〜」
もう一枚を手にとって手を止めてしまった菜帆。キョロキョロと周りを見回し…
菜帆「ちょっとだけ…ちょっとだけですから〜…」
ベランダや向かいで誰も見ていないのを確認して
ぎゅうっ
そのバスタオルへと顔を埋めてしまった。
菜帆「美由紀ちゃんの…薫り…」
自分でも顔が紅くなっていくのが分かった菜帆なのであった…
………
そして掃除、買い物、布団の取り込みを終えてお昼を迎えた二人。
美由紀「菜帆ちゃんのお料理美味しいっ!」
菜帆「ありがとうございます〜美由紀ちゃん」
結局外では食べずにお昼は寮で料理をすることにした。
美由紀「今日使ったのでジャガイモってあとどれくらいある?」
菜帆「あと箱の3分の1くらいですよ〜」
美由紀「今度またフェイフェイちゃんに料理してもらおうよっ」
菜帆「そうですね〜、中華の味付けはフェイフェイちゃんが一番だから〜」
美由紀「あ、今度また何か送って来るってお母さんから連絡あったんだっ」
菜帆「そうなんですか〜、いつも美味しい食材を送ってもらって助かります」
美由紀「みゆきからお礼を言っておくねっ」
菜帆「お願いします〜」
美由紀「これ食べ終わって片付けたら…」
菜帆「もう開いてますからお風呂に行きましょう。汚れたままじゃ洗濯物が干せないですし〜」
美由紀「お掃除で身体も汚れちゃってるし、買い物で汗もかいちゃったもんねっ」
菜帆「今日も背中流しっこしましょ〜ね」
美由紀「うんっ!」
菜帆「それが終わったら洗濯物を干して…そうなったらまた汗かいちゃいますね〜」
美由紀「まだ暑いし仕方ないよ。汗かいちゃったらまたお風呂で汗流そうっ」
菜帆「美由紀ちゃんがそれでも良ければそうしましょう〜」
その後、寮の大浴場で仲睦まじそうにお風呂で隣り合っていた二人を、何人かの寮生が目撃したとのことである…
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あとがき
飛神宮子です。
今月の百合百合枠はエビカニコンビの2話目。そしてまさかのこれが当サイト15周年記念です。
菜帆と美由紀の休日の一風景。内容的には明日の話だったりしますが。
二人とも恋心が薄いように見えて、やっぱりお互いのことを意識はしているわけですね…。
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2016・09・03SAT
飛神宮子
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