※この話は別作品と話が少し繋がっていますが、特に読まなくても問題はありません。 |
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ここは宮城にあるとある隠れ家的な一軒宿のはなれの前… |
穂乃香 | 「美玲ちゃん、まゆちゃんおつかれさまでした」 |
忍 | 「今日はゲストに呼んでくれてありがとう」 |
まゆ | 「忍さんこそ急にゲストに来てもらってありがとうございます」 |
美玲 | 「また来年事務所でな!シノブ、ホノカ!」 |
穂乃香 | 「では皆さん良いお年を」 |
忍 | 「みんな元気でねー」 |
忍と穂乃香の二人は手を振って美玲とまゆ、そしてスタッフを見送った。 |
忍 | 「さて穂乃香ちゃん、今回の件はここに泊まれるてことでチャラにしてあげるけどさ」 |
穂乃香 | 「すみません、これは私とプロデューサーの思い付きで…」 |
忍 | 「えっ、これってプロデューサーも一枚噛んでたの!?」 |
穂乃香 | 「はい。そっちにこの日に帰省するなら途中下車くらいさせても構わないだろうって話でして…」 |
忍 | 「まあアタシも口車に乗せられちゃったのは悪かったけどね…」 |
穂乃香 | 「本当に今回の件は私も反省してます」 |
忍 | 「いいよもう、終わっちゃったことだしさ。寒いし一旦中に入ろうよ」 |
穂乃香 | 「そうですね…」 |
二人は宿の部屋へと入っていった。 |
忍 | 「まあでもプロデューサーには戻ったら一発喰らわすつもりだけどね」 |
穂乃香 | 「アハハ…それはもう忍ちゃんが好きなようにしてください…」 |
忍 | 「そういえばアタシ仙台から明日どうやって帰ればいいの?新幹線なんてたぶんもう取れないよ?」 |
穂乃香 | 「実は…」 |
穂乃香は鞄から一枚の封筒を取り出した。 |
穂乃香 | 「忍ちゃんのために明日の新青森までの座席指定特急券、もう用意してあったんです」 |
忍 | 「あ、そっか。乗車券だけは明日以降も有効だったっけ…ってもう全部仕組まれてたってこと?」 |
穂乃香 | 「プロデューサーが即行動してしまって、これを私に託して…」 |
忍 | 「…電話とL○NEで穂乃香ちゃんが必死だったの、やっと理由が分かったよ」 |
穂乃香 | 「すみません…忍ちゃんの家の方には私も謝りますから」 |
忍 | 「そこまで謝らなくたっていいからさ。そこは番組収録前に連絡してあるし、怒ってもないって」 |
穂乃香 | 「それなら良かったです…」 |
忍 | 「もうこれでこの話はお終いね。そこまで落ち込まないでよ穂乃香ちゃん」 |
穂乃香 | 「はい、今回は色々とありがとうございました」 |
忍 | 「うん。それにしてもさー、ここって本当に都会から離れた一軒宿って感じだなあ」 |
穂乃香 | 「仙台からだとかなり離れてますから。雪も相まって静かですね」 |
忍 | 「こういう温泉は久しぶりだなあ。もしかしたらあの温泉レポート以来かも」 |
穂乃香 | 「川島さん達とのですか?」 |
忍 | 「それそれ。あの時はワイワイみんなでレポートしたから、そんなにゆっくりできなかったな」 |
穂乃香 | 「そうだったんですか、でもそういうお仕事って憧れます」 |
忍 | 「あーそっか、穂乃香ちゃんまだなんだよね」 |
穂乃香 | 「プロデューサーが私だけまださせてくれなくて…あずきちゃんも柚ちゃんもしてるんですよね」 |
忍 | 「でもどうしてだろうね、穂乃香ちゃんって水着のお仕事も唯一まだでしょ?」 |
穂乃香 | 「そうなんです。今年忍ちゃんがお仕事しましたから」 |
忍 | 「穂乃香ちゃん、大切にされすぎなのかもしれないね。露出多い仕事がアタシ達に比べて少なすぎるもん」 |
穂乃香 | 「私はやる覚悟はもうできているつもりなんですけれど」 |
忍 | 「うーん、アタシにもその辺はよく分からないなー」 |
穂乃香 | 「そうですよね…プロデューサーにしか分からないことですから…あ、忍ちゃん浴衣着ます?」 |
忍 | 「そこに入ってたんだ。一応着とこうかな」 |
穂乃香 | 「着たら一度温泉に入りましょうか」 |
忍 | 「そうだね、服のまま行くのも何だし」 |
穂乃香 | 「では私も…」 |
忍 | 「こういう着替えも、アイドルやってて恥ずかしくなくなっちゃったよね」 |
穂乃香 | 「私はバレエの頃がありましたからそれほどでもでしたけど、忍ちゃんはそうだったんですね」 |
忍 | 「さすがに下着姿を見られるって体育くらいでしか経験ないもん」 |
穂乃香 | 「私とか真尋さんみたいに体育会系の部活や習い事が無い人はそうなりますよね」 |
忍 | 「みんなバッと脱いでバッと着替えちゃうんだもん、最初は結構驚いたなあ」 |
穂乃香 | 「今はもう普通に着替えてますからね」 |
忍 | 「慣れって本当に怖いって思ったよ。学校でも特に水泳とか全然気にしないで着替えちゃうし」 |
穂乃香 | 「そうなんですね…あ、もう大丈夫ですか?」 |
忍 | 「うん。替えのも持ったしいつでも行けるよ」 |
穂乃香 | 「では行きましょうか」 |
……… |
カポーン |
忍 | 「そんなに大きくないけど、ゆったり入れそうな浴槽だね」 |
穂乃香 | 「4人くらい入るといっぱいという感じでしょうか」 |
忍 | 「ここの宿泊の定員って確か6人だっけ」 |
穂乃香 | 「確かそうですね」 |
忍 | 「それだとこれくらいでちょうどだね、露天もあるしさ」 |
穂乃香 | 「6人なら今度はあずきちゃんと柚ちゃんも一緒に来たいですね」 |
忍 | 「今日の所はアタシ達二人だけで…いいんじゃないかな」 |
穂乃香 | 「…そうですね、このお湯を二人占めしましょう」 |
忍 | 「あ、そうだ。いいこと考えたんだけど」 |
穂乃香 | 「何でしょう?」 |
忍 | 「温泉レポートの練習してみる?アタシが見ててあげるからさ」 |
穂乃香 | 「ええーっ!忍ちゃん、それは…」 |
忍 | 「フリルドスクエアはみーんな通ってきた道だよ」 |
穂乃香 | 「それはそうですけれど…」 |
忍 | 「それとも自信がもうあるからやらなくても大丈夫ってこと?」 |
穂乃香 | 「う…それはさすがにまだ…」 |
忍 | 「じゃあやってみようよ、バスタオルは…二人だけだししなくていっか」 |
穂乃香 | 「分かりました、やってみますね………」 |
……… |
温泉に入り終わり部屋へと戻った二人… |
忍 | 「アハハハハハっ!今思い出しても笑える」 |
穂乃香 | 「もう笑わないでください忍ちゃんっ」 |
忍 | 「穂乃香ちゃんが転びそうになって前後開脚してそのまま喋っちゃうんだもんさー」 |
穂乃香 | 「だって言葉を止めないでって言ったじゃないですか」 |
忍 | 「あそこまでのアクシデントなのにさあ…さすがに普通の人は止めちゃうよ?」 |
穂乃香 | 「つい足が上手く伸びてしまって…」 |
忍 | 「だけど本当、身体柔らかいの羨ましいよ」 |
穂乃香 | 「昔からやっていましたからね、こればかりは昔取った杵柄です」 |
忍 | 「アタシも穂乃香ちゃんの指導で柔らかくはなってきたけどさ」 |
穂乃香 | 「あずきちゃんや柚ちゃんよりもすっかり柔らかくなりましたよね」 |
忍 | 「そこら辺の努力は惜しむつもりはないよ」 |
穂乃香 | 「良い心がけだと思いますよ」 |
忍 | 「ありがと、穂乃香ちゃん」 |
穂乃香 | 「さてそろそろ寝る時間ではありますけど…」 |
忍 | 「だよねえ…」 |
敷かれていた布団は二枚ではあるがくっつけられていた。 |
忍 | 「これって…そういうことだよね」 |
穂乃香 | 「たぶんそうかと思います…」 |
忍 | 「アタシ達、どういう風に見られてたんだろうね」 |
穂乃香 | 「それは…部屋の広さはありますし、同性二人でもこうはされないと思いますけど…」 |
忍 | 「別にいいんだけどさ、穂乃香が嫌じゃなければ」 |
穂乃香 | 「嫌だなんてそんなことあるわけないです」 |
忍 | 「…寝よっか、穂乃香」 |
穂乃香 | 「…そうですね、忍さん」 |
雪が少しずつ重なり行く宿の夜、二つの掛け布団の中では腕の橋が相手を繋いで離さないように固く結ばれていた… |