10 Years Later...[15](10周の先《15》)

千鶴「この方々ですね、それではお呼びします。速水さん、城ヶ崎美嘉さん、鷺沢さん」
「ありすちゃん、伊吹ちゃん以上だな…ってだいぶもう少なくなったんだな」
千鶴「それから中継をお願いします。大阪の方です」
「結構遅くなったけれど大丈夫かしら…速水奏よ」
美嘉「アタシ達はこっちでまだ撮影残ってたからね☆ま、紗枝ちゃんが居れば大丈夫じゃない?城ヶ崎美嘉だよ★」
文香「もうこんばんは…でしょうか。秋の夜長は読書ばかりで…鷺沢文香です」
ありす「さっきからずいぶん時間が経っちゃってますね、橘ありすです」
伊吹「呼ばれないから忘れられてたと思ってたっ、小松伊吹だよ」
千鶴「それで中継は大丈夫でしょうか、小早川さーん」
紗枝『おばんどすー』
「お、紗枝ちゃん。ライブ会場ってことは、そっちも明日がライブか?」
紗枝『はいー、明日大阪でさせてもらいますー』
周子『やっほー、シューコちゃんだよー』
紗枝『周子はん、急に出てくるなんてお行儀悪いどす』
周子『いいじゃん紗枝はん、固いこと言わないでー。あ、そっちに奏ちゃんいるんだよね?』
「ええ、そっちは任せたけれど大丈夫だったかしら?」
周子『何回か志希ちゃんが失踪しかけたこと以外は何とかねー』
美嘉「やっぱり…ま、予想の範疇だったからいいんじゃない?」
周子『お、美嘉ちゃんもいたん?てっきり莉嘉ちゃんの応援行ってると思ってたわ』
美嘉「紗枝ちゃん、悪いけれど3人の御守りを頼むね。アタシたちも明日の早いうちにはそっちに向かうから」
紗枝『ええ、待っとりますえ』
フレデリカ『あれ?シューコちゃん、もしかして番組中ー?』
周子『そうだけど、志希ちゃんは?』
志希『にゃはっ!フレちゃんの後ろに隠れてたのでしたー』
「フレデリカも志希もその調子なら大丈夫そうね」
フレデリカ『カナデちゃーん、早く来てねー。早く来ないとこのシューコちゃんをどうしてやりましょうかねぇ、一ノ瀬さん』
志希『煮るなり焼くなり好きにしちゃいましょう、宮本さん』
周子『こら、あたしでそういうことしない。するなら紗枝はんにしなさい』
紗枝『ウチでもダメに決まってはります、周子はん』
美嘉「本当に早く行けなくてゴメンね…紗枝ちゃん…」
「美嘉、今日の夜の新幹線にする?」
美嘉「そっちの方が良さそうかな…ホテルは私達の分も取ってあるはずだし」
「このセクション明けで抜けて急いで行きましょ」
「あ、もしならセクション途中で抜けてもいいからな☆」
美嘉「そうだね、そうさせてもらおっか」
フレデリカ『それなら紗枝ちゃんと周子ちゃんを取り戻したくば、お土産をたんまり持ってやってきてねー』
志希『薬の餌食にさせたくなければにゃー☆』
紗枝『あーれー』
周子『紗枝はん、こういう時意外と楽しむんやからなー』
モニタが消えて元の番組ロゴ画面へと戻った。
美嘉「はあ…まったくねえ」
「でもお互いに変わっていないところを見せられて良かったのかもしれないわ」
美嘉「そういう考えもあるけどね」
「そろそろ当時の映像いいか?まずはLiPPS関係とここにはいないけど羽衣小町な」
千鶴「それでは準備が出来たそうなのでどうぞ…」
………
その映像が終わり…
「私達も若かったわね」
美嘉「さすがにみんな十代だったから」
千鶴「それでも皆さん変わってないと思いますが…」
「そうね…今の仕事がそうだから、努力は惜しまないわ」
美嘉「体型を変えたら大変だからね」
「この次はどこのブランド担当なの?」
美嘉「アタシはイギリスとオランダと…あとはスペインのだったはず。奏は?」
「私はフランスとイタリアよ」
美嘉「こうしてファッションモデルもさせてもらえるの、本当に刺激になるしね★」
「ええ、着られるより着てみせたいもの」
美嘉「その意気じゃないとやられちゃうから」
「今度のはフレデリカも出るんだったかしら?」
美嘉「確か出るんだったんじゃない?この前、日本のブランドの人と相談してたはずだし」
「周子はあれで女優なのよね」
美嘉「専ら紗枝ちゃんがその世界に引きずり込んだって噂だけど」
「それ本当らしいわよ。ドラマの話が来た時に『周子はんと一緒やないといやや』って聞かなかったって」
美嘉「あ、やっぱりそういう話だったんだ」
「それで周子があっさり『いいよー』なんて言ったって」
美嘉「そこが周子ちゃんらしいトコだろうけどね」
「志希はあいかわらずというか…ねえ」
美嘉「大学院まで行った…んだよね?」
「本人が言ってるだけかもしれないから分からないのよね…」
美嘉「でもそれは信じてあげよっか」
「それくらいはね。それで今はフレデリカと一緒にタレントを…それ以外では見ないわよね」
美嘉「本人がそれが良いって思ってるならいいんじゃない?」
「本人たちがそれで良いならね」
美嘉「アタシ達はそんな感じなんだけど…」
「LiPPSも大概だなって思ったぞ…」
千鶴「そこまで深く干渉しないのも続くのに大切なんですね…きっと」
「そういうこったな。それじゃ奏ちゃんだけ残ってもらってBRIGHT:LIGHTSとルミナスボーダーの映像だな」
千鶴「あ、はい。それでは準備が出来たそうなのでどうぞ…」
………
その映像が終わり…
文香「ありすちゃん、凄く成長されましたね」
ありす「文香さんと同じくらいの身長にはなったと思います。165cmありますから」
文香「あんなに小さかったのに…10年という長さを感じます」
「そうね、私達と並んでも変わらないもの」
ありす「ありがとうございます」
「今は大学生よね?」
ありす「はい。L.M.B.Gの際もお話ししましたが、女優の方向に進もうかなと考えています」
文香「綺麗に成長されましたからね。応援してますありすちゃん」
ありす「文香さんにそう言ってもらえると嬉しいです。文香さんは今は歌手ですよね?」
文香「はい…それとこの事務所の図書スペースの司書もさせていただいてます」
「基本的には入り浸ってるわよね。帰るのを忘れるくらい読書に没頭しちゃってね」
文香「お恥ずかしいですが…つい読み耽ってしまいまして…」
「たまにはちゃんと日の光りも浴びなさいね。運動もしなくちゃよ」
文香「フフッ、そうですね奏さん」
「まあそっちのダンスバカはもうちょっと落ち着いたら良いと思うけれど」
伊吹「アタシはそういう職業なんだからいいでしょ」
「結局伊吹もあの頃から変わらないわね」
伊吹「まあダンスはずっと続けてたってカンジかな」
「そうね。今は教える立場よね?」
伊吹「うん。今はトレーナーとしても指導してたりするし、昔の延長線上で楽しくさせてもらってるってとこ」
「私や美嘉も明日のライブのためにお世話にはなったものね」
伊吹「あの頃のダンスは特にみっちり身体に叩き込んでたし、音楽聞いたら一発で思い出せたな」
「本当にあらためて、身体がなまってたことを思い知らされたわ」
伊吹「ま、またこういう機会があったらいつでも待ってるからさ」
「ええ、よろしくね」
「んじゃ、そろそろこのグループはいいかな?」
千鶴「その前に城ヶ崎さんと速水さんはもう一つ映像があるそうですが…」
「あら…何かしら」
そこに映し出されたのは、LiPPSの事務所風景のようではあるのだが…
「美嘉、これいつぐらいのかしらね?」
美嘉「んー…みんな20歳越えてそうだから最高でも7年前?一番下はアタシ達だし★」
「これ全員二日酔いしてない?みんな焦点合ってないわ」
美嘉「…思い出したかも。これ、アタシの誕生日の翌日じゃ…」
「その日って確かこれで全員が飲めるようになったからって、カラオケの後に私の家で朝まで飲んで…」
美嘉「でもその日打ち合わせがあるからって必死に事務所に行った結果が…これだったっけ」
「確か志希はネコ語になりっぱなしで、フレデリカはフレデリカソングと笑い続けてて聞く耳持たないし」
美嘉「周子ちゃんは泣き上戸とかコロコロ変わって、奏がキス魔になってたんじゃないかな」
「美嘉が弱くてすぐ寝たのが幸いしてまともだったのが救いだったわね」
美嘉「ここまでの状態だったら連絡してアタシだけ事務所行けば良かったのかも」
「そうもいかなかったんじゃなかったかしら」
美嘉「うん。確か重要なミーティングって言われてたから、無理矢理引っ張ってきたんだよね」
「それでこの惨状と…お見苦しい物を見せてしまったわ」
美嘉「酒は飲んでも飲まれるな…ね★」
「本当に気をつけとけ☆いざという時自分を守れるのは自分だけだかんな」
奏・美「「はーい」」
「そんじゃこれでこのグループは〆させてもらおうか」
千鶴「そうですね。では皆さんありがとうございましたー」
\パチパチパチパチパチパチ/
「んじゃ、次は…ここか。両方奇跡的に揃ったんだな」
千鶴「そうですね。ではお呼びします………」
 
第16話へつづく
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あとがき
飛神宮子です。
10周年記念10年後SS、第15弾です。
今回はLiPPS+羽衣小町+奏関係+ありすです。
周子は紗枝と運命を共にするものだと何となく思いました。
美嘉や奏はそのままトップモデルとして走り続けるかなと。志希フレはそのままコンビではっちゃけそうですよね。
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2021・11・30TUE
飛神宮子
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