Amber Color's Hair(琥珀色の髪)
それはまさしく必然的な出会いであった。
カランカラン
喫茶店のドアベルが鳴り響いた…そんな店の中に彼女はいた。
「ん?どこだろう…佐祐理さん」
「あ、祐一さんこっちです」
「あ…そこですか…」
………
「どうぞごゆっくり」
ウェイトレスは祐一にコーヒーを出して去っていった。
「今日はいきなり呼び付けてしまってすみません、祐一さん」
「えっと…どうしたんですか?佐祐理さん。急に呼び出すなんて」
「あははー、ちょっと佐祐理に似ている人を見つけたんです」
「えっ!?」
「ほら来ました、あの人です」
「うっ…本当だ…」
………
「琥珀さん、なかなかいい店ですね」
「そーでしょ、志貴さん。お誘いしたかいがありました」
「でもどうして今日はこんな所に?」
「それは後で話します、志貴さん」
「はぁ…」
………
「何だか佐祐理さんが髪を短くして、髪の色を変えたらあの人になっちゃいますね」
「それなら、今度やってみましょうか?祐一さん」
「え…いえ、いいですよ。佐祐理さんのその髪の毛を傷つけて欲しくはないですから」
「そう言ってもらえると、嬉しいです」
「でも、佐祐理さんの髪の毛って綺麗ですよね、本当に」
サラサラサラサラ
祐一は佐祐理の髪に指を絡めた。
「何だかくすぐったいです、祐一さん」
「あ、すみません。でも本当に触り心地もいいですし、気持ちいいですよ」
「あははー、そう言われると何だか照れちゃいますー」
そう言って佐祐理は少しだけ頬を紅くした。
………
「でも琥珀さん、洋服持ってたんですね」
「はいー、部屋のクローゼットの中に何着か入ってるんです」
「へー…そうだったんですか」
「でもこれ…もう何年も前の服ですから…」
と、琥珀は白いワンピースの端を少し摘んだ。
「似合ってると思いますよ、琥珀さん」
「そ・そうですか?」
「うん、とても清楚なお嬢様って感じですよ」
「何だか志貴さんに言われると、少し照れてしまいます…」
そう言って琥珀は少しだけ頬を紅くした。
………
「でも佐祐理さん、それだけの用事だったんですか?」
「あはは、実はそうだったんです」
「………(まあ佐祐理さんらしいけど…)」
ごくっ
コーヒーを一口飲む祐一。
「そう言えば佐祐理さん」
「はい?何でしょう」
「佐祐理さんは、あの人の名前は知ってるんですか?」
「はい、知ってますよ」
「ふーん…一回話しでもしたんですか?」
「はいー、とってもいい方でした」
「(んー…確かに佐祐理さんと気が合いそうだな。)」
「お呼びしましょうか?祐一さん」
「えっ・あっ…んー…」
と、祐一が答えを言うより早く…
「琥珀さーん!」
佐祐理は琥珀の名を呼んでしまった。
「えっ!?」
………
『琥珀さーん!』
「ん?誰か琥珀さん呼んでませんか?」
「あ、そうです。今日はある方を紹介しようと思ったんです」
「ん?何か琥珀さんに似てる気が…」
「あ、今行きます佐祐理さーん。それじゃあ行きましょ、志貴さん」
「あ、はい」
………
そして4人が同じテーブルに揃った。それぞれ隣と向かいに異性がいる形だ。
「佐祐理さん、居たのなら教えてくださいな」
「いえ、そちらが雰囲気を作られてたんで呼びにくくって…」
「佐祐理さん、この方々の紹介をお願いしますよ」
「はい、祐一さん。えっと…琥珀さんと志貴さんでよろしかったですよね?」
「はい、佐祐理さん」
「えっと、琥珀さん…」
「分かってます、志貴さん。佐祐理さんと祐一さんですよね」
「あ、はい」
「んーと、琥珀さんは何をされて居られるんですか?」
「私ですか?えっと…」
「琥珀さんはうちでメイドとして働いてもらってるんだ」
「ふーん…メイドなんですか…」
「はいー、志貴さんの妹さんの秋葉さまお付きのメイドをしています」
「…っと、佐祐理さん…でしたっけ?」
「はい」
「えっと佐祐理さんと祐一さんはどういう関係なんですか?」
「ふえぇ…どんな関係って…」
何故かこの質問に顔を紅らめる佐祐理。
「そんな顔を赤らめるほどの質問でもないのに、佐祐理さん。えっと佐祐理さんは俺の一年先輩なんです」
「あはは、その程度で良かったんですかー?」
どうやら佐祐理の頭の中は「恋人」という言葉でいっぱいのようだ。
「ウフフ…佐祐理さん、すっかり顔を紅くしてますね」
「あうんっ…そんな事言わない下さい、琥珀さん」
「…アハハハハハ…」 「…ハハハハハハ…」
そんな中、男性陣の2人はどちらからともなく笑い始めた。
「どうしたんです?志貴さん」
「いや、やっぱり似てるなって、琥珀さんと佐祐理さん」
「祐一さんもですか?」
「うん、俺もそう思った。やっぱり似てるなって」
4人はその後ずっと談笑をし続けていたという…。
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あとがき
突発的なクロスオーバー作品です。
書いた切欠は唯一つ、二人の髪型が似ている事でした。
共通点がある人たちのクロスオーバーって、書きやすいですね。
こういう関係ならいくらでもいけそうです。
では、次は「色髪」か「関西系」ですかね。。
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2004・02・21SAT
琴瑞