短編連作〜漢字編5−1〜

ある夏の日のこと…
「ふう、暑いですわ」
この暑い日の最中、ゆきは買い物などに負われていた。
「さすがにこれでは私の体が…持ちませんわ」
次の瞬間
「んっ…」
………
「あ・あれ?ここは…」
「気が付いたみたいだね、ゆきさん」
「ご・ご主人さま!?どうされたのですか?」
「ゆきさんが道で倒れてたって、あかねから連絡が来たから帰ってきたんだよ」
「え?あ、あの時…」
「そんなに無理しちゃダメだよ、ただでさえゆきさんは暑さに弱いんだしさ」
「はい…忙しいことで自分の身体を酷にしてしまったのかもしれません」
「ゆきさんは一番の年長なんだから、もっと下のみんなにも手伝ってもらえばいいじゃない」
「そうですわね、これからはそうしようと思います」
「よし、じゃあこれは元気になれるおまじないね」
チュッ
「ご主人さま…」
ゆきは安心しながら再び眠りへと就いた…


ある夏の日のこと…
「今年こそ…うん、今年こそあれをするっ!」
「何をしたいんだい?ジュン」
「えっと…ご主人さまも協力してくれるなら、言うんだけど」
「協力か…内容によるんだけどさ」
「それじゃあ秘密にするよ」
「気になるけど…まあいっか」
「うん。じゃあご主人さま、ちょっと行ってくるね」
「え?どこに行くんだい?」
「ホームセンターに行ってきたいの、買いたい物があるんだ」
「それだったら僕も行くよ、ちょうど買いたいものがあるしさ」
「じゃあ一緒に行こ、ご主人さま」
「そうだね…ってだからもう僕の財布持ってたんだね」
「あはは、うん」
………
「そういうことか、ジュン」
「うん、だから協力してくれる?」
「いいよ、それくらいならさ」
「ありがとっ、ご主人さま」
ホームセンターからの帰り道、二人の笑顔が輝いていた…


ある夏の日のこと…
「うー、あついお…ご主人たま」
「確かにこれは暑すぎるな、るる」
部屋の中でじっとしているのも暑い日であった。
「るる、何か飲むかい?飲み物持ってくるよ」
「いらないお、もうみんなあきてしまったお」
「そうだよなぁ、ずっと同じのしか飲んでないし…」
「ご主人たま、るるたんアイスが食べたいお」
「アイスか…あ、そうだ。るる、ちょっと手伝ってくれるかな?」
「ご主人たま、何らお?」
「ある物を作るからさ、割り箸を洗ってくれるかな?」
「何を作るんらお?」
「アイスキャンディでも作ろうかなってさ、芯になる棒が欲しいからさ」
「アイスキャンディらお!?食べる」
「だから割り箸を洗ってきてね、るる」
「はいらおっ!」
「僕は準備してるからさ、出来たら一緒に食べようね」
………
「「いっただっきまーす」」
いつもとは違う飲み物の形に、二人の笑顔が最良の答となって表れていた…
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あとがき
短編連作の第7シーズン、今回も19連作です。
一度扱ってみたかった同一系統の漢字の連作です。
テーマは「心」、意外と深いです。こんな漢字もあったのかって感じで。
次作はゆきさんBSS2005年度版の予定です。
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2006・01・05THU
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