短編連作〜熟語編2−5〜
水中眼鏡
それはある夏の日のこと…
「ぷはぁっ!」
「ぷあっ…きもちいいでちゅね、ごちゅじんちゃま」
「うん、やっぱり夏はプールだね」
ご主人さまとネネは涼を求めに、二人でプールへと来ていた。
「ごちゅじんちゃま、もっとおよぎまちょう」
「そうだね、っとその前に…あれ?」
「どうちたんでちゅか?」
「いや、水中眼鏡がどこか行っちゃってさ」
「たいへんでちゅ、ごちゅじんちゃまちょっとうごかないででちゅ」
「え、うん」
ジャプンっ
ネネは元はと言えばイルカ、水中はお手の物だ。
ザプンっ
と、ネネが何かを持って浮上してきた。
「はい、ごちゅじんちゃま。あちのちゅぐよこにおちてまちた」
「あ・ありがとう、ネネ」
「それじゃあおよぎまちょ、ごちゅじんちゃま」
「うん、行こうか」
二人の涼は日が暮れるまでまだまだ続きそうだ…
それはある夏の日のこと…
「ご主人さまとこうして来るのも久しぶりやな」
「そうだね、最近は全部ピピに任せっきりだったしね」
ご主人さまとピピは二人でスーパーに買い物にきていた。
「今日は何にしたいん?」
「最近暑いしなあ…ピピは何が食べたい?」
「ご主人さまが決めてや、ウチは何でもええからさ」
「んー、じゃあ冷しゃぶにでもしよ」
「せやな、今日は肉が安いしな」
………
買い物も順調に進んで…とある陳列棚でピピの歩みが止まった。
「ご主人さま、これ買ってええか?」
「うーん、家に着くまで溶けちゃうんじゃない?」
ピピが手に取ったのはそう、冷凍食品であった。
「ええやん、最近はパウダードライアイス言うのもあるんやし」
「ま、いいか。でも僕のお弁当になるやつね」
「ん、分かっとる。何が食べたいんや?」
「そうだなぁ…これはダメかな?」
「少し高いけど…ま、ええかな」
二人の買い物はまだまだ続きそうだ…
それはある夏の日のこと…
「いっちにっ!さんしっ!」
「ごーろっく!しちはちっ!」
ある公園に響き渡る二人の声。
「準備体操ってまだあるの?ジュン」
「そうだよご主人さま、あと2つだよ」
「そんなに必要なの?これで10個目だけど」
「ご主人さま、準備体操をバカにしちゃいけないよ。こうやって体を温めないで運動すると、あとあと困るんだよ」
運動と言う分野、やっぱり主導権はジュンにあるようだ。
「うーん、普段運動してないからなぁ…」
「ご主人さま、最近…」
「わー!言わないでって、分かってるんだからさ」
「じゃあきちんとやってね、今日のメニューが終わったら美味しい料理を作ってあげるよ」
「え?うん、じゃあちゃんとやるか」
「その意気だよ、ご主人さま。えっと、あとは腕の筋肉を伸ばすのと首を回すのだね」
「よし、じゃあ続きやろっか」
「うんっ!」
「いっちにっ!さんしっ!」
「ごーろっく!しちはちっ!」
青空の下、二人の運動はまだまだ続きそうだ…
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あとがき
短編連作の第6シーズン、5本目です。
一週間開けないように出来るだけ心がける事にしました。
今回の三本は書き出しと終わりを一緒にしてみました。何か面白そうだったんで。
でも全然違和感が無いのに自分でもびっくりです。いや、本当にです。
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2005・10・18TUE
雅