短編連作〜熟語編2−1〜
天気予報

梅雨時のある日のこと…
「ん?何を見てるんだい?るる」
「あ、ご主人たま。るるたん、天気予報を見てるんらお」
「天気予報か、明日の天気はどうだって?」
「ここはまだみたいらお」
「じゃ、僕も一緒に見よっかな」
「はいらおっ」
と、るるの横へと座るご主人さま。
「あ、やったー!明日は雨らおっ」
「え?嬉しいのかい?るる」
「もちろんらお、るるたんは雨大好きらおっ」
「そっか。明日はお休みだし、雨も悪くないかな」
「ご主人たまぁ」
「何だい?るる」
「明日はるるたんとお散歩に行くお〜」
「えっと…まあいっか、そうだね」
「わーい、やったおーっ!」
「明日は朝から出かけよっか」
「うんっ」
梅雨の雨も悪くないかなと思ったご主人さまであった…

方向音痴

時は夕刻になりつつある頃…
「わーい、おさんぽおさんぽっ」
タタタタタ
と、駆け出す一人の少女…と、その子を追いかける一人の青年がいた。
トトトトト ぎゅぅっ
「こーらっ、ダメだろなな」
「うー…ごめんなさい」
「ただでさえ、ななは方向音痴なんだからさ」
「あー、ひどいよご主人さま」
「うっ…ごめんごめん、言い過ぎたよなな。ほらっ」
「ご主人さま…うん」
ぎゅっ
「ご主人さまの手、温かいよ…」
「そうかい?なな」
「うん、とってもっ」
「それじゃあ家までこのまま帰ろうね」
「うんっ」
「ご主人さま、今日のご飯は何かなぁ?」
「うーん、何だろね?」
そんな他愛の無い話をしながら、仲良く手を繋いで家路を帰っていった…

北斗七星

「寒いですね…ご主人さま…」
「うん、もも…」
冬のとある晴れた夜、ももとご主人さまはベランダで星を眺めていた。
「でも…とっても綺麗です…」
「そうだね、冬は空気が澄むからね」
「ご主人さま、あの7つの星は…?」
「あれかい?あれは、北斗七星だね」
「北斗七星…?」
「うん、確か大熊座の一部だったかな。あの北斗七星がちょうどしっぽの部分だったと思うけど」
「そうなんですか…」
「確か近くに北極星もあるはずだよ。ほら、あの星だよ」
「あ、ほんとだ…綺麗です…」
「北極星は確か、小熊座だったな。近くに寄り添うように、親子の熊が居るんだっけ」
「本当に…親子みたいです…ご主人さま…」
くちゅんっ
ももは小さくくしゃみをした。
「そろそろ中に戻ろっか」
「はい…」
ガラガラガラ
二人が居なくなったベランダを星々は照らし続けていた…
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あとがき
短編連作の第6シーズン、今回は19連作です(最終のみ4本掲載になります)。
今回のテーマは四字熟語。19個の四字熟語が出てきます。
出てくる順番はるる→ゆき/ネネ→ジュン/奏歌→紅玲菜となります。
約4ヶ月ぶりの連作、お楽しみ下さい。
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2005・07・13WED
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