短編連作〜漢字編3−3〜
福
「あ、ご主人さま、あそこみたいです」
「本当だ、じゃあ行こっか」
それは秋のある日のこと、ご主人さまとたまみの二人はおつかいに出ていた。
ガラガラガラガラ
その商店街のとあるテントの下。そこでは福引が行なわれていた。
「えっと、福引券は…1枚だけだっけ?」
「はい、それじゃあ並びましょう」
………
「じゃあたまみが回すかい?」
「ご主人さま、それなら二人で回しましょう」
「んー、それもそうだね」
ガラガラガラガラ ポトっ
「あれ?この色って…」
カランカランカラン
「2等おめでとうございます、商品はどうぞこちらからお選びくださいっ!」
おじさんの威勢のいい声が商店街にこだました。
………
「何だか得しちゃったね、たまみ」
「そうですね、ご主人さま」
そんなたまみの手には、さっきの景品の「お米券30kg分」がしっかりと握られていた…
それは夏のある日のこと…
「ごちゅじんちゃま、ここにおねがいでちゅ」
「あ、うん」
ぺたぺたぺたぺた
海岸に幼き少女とそのご主人さまの水着姿があった。
「んー、随分大きいのができたね」
二人は砂でお城を作っていた。
「大きいでちゅ…」
「もう少し大きくする?」
「これくらいでいいでちゅ、ネネ…」
くぅぅ…
と、そこにお腹のなる音が
「あっ…」
「アハハっ、ネネ。お腹すいたんだね」
「はずかちいでちゅ…けどおなか…ちゅいたでちゅ」
と、そこに…
ぐぅぅぅぅ
「これでおあいこか…」
「ちょうでちゅね、ごちゅじんちゃま」
二人は笑いあいながらお昼を食べに行った…
「何だか涼しいですね…ご主人さま」
「うん、さすがに日の光もあんまり届いてないしね」
ご主人さまとももは一緒に晩夏の森の中にいた。
「もも…森って何だか好きです」
「どうしてだい?」
「前世がおサルさんだったから…落ち着くんです…」
「ああ、そうだったね」
「それにこの匂いも…大好きなんです」
「この土とか葉っぱの匂い?」
「はい…」
「そっか、確かにいい匂いだよね」
「はい…きゃっ!ご主人さま」
「どうしたんだい?もも」
「む…ムカデが近くに来てたんです…」
「ん?あ、本当だ」
ももの近くには小さなムカデがいた。
「でも殺しちゃうのはかわいそうです」
「じゃあ、こっからちょっと虫の少なそうなあっちに移動しようか」
「そうですね…ご主人さま…」
2人は手を繋いで森の中を移動していった…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
第4シーズン3作目です。
今回は全員小学生以下、前回とまたまた逆ですな。
今回のでやっと中間地点、あと2作ですね。
んー、ネネはすんなりいったけど…あとの二人は難しい…。
次は…テスト明けでしょう、今度こそ(何が今度こそなんだか…)。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2004・09・25SAT
雅