短編連作〜熟語編1−6〜
火炎

それは冬のある日の夕方のこと…
「ご主人さま、少しよろしいでしょうか」
「ん、何だい?ゆきさん」
「夕食を作るのを少し手伝っていただきたいのですが…」
「えっ?そんなのは僕がいない方が…」
「いえ、今日はお鍋にしようかと思っていたのですが、他の皆さんが買い物に行かれてしまって…」
「ん?でも…ゆきさん、足手まといの僕がいるよりは、一人でやった方がいいんじゃないの?」
「それが…」
「まあ、そこまで言うなら手伝ってあげるけど?」
「ありがとうございます、ご主人さま」
………
「それで、僕は何をすればいいのかな?」
「その…火の関係をお願いできますでしょうか」
「そっか、ゆきさん火が苦手だったんだっけか」
「はい…いつもは他の方にお願いしているのですが…」
「うん、分かったよ。それじゃあダシは?」
「あ、そちらの昆布でお願いします」
「うん」
チチチチチ ボッ
鍋に火が入れられ、二人の料理が始まった…

炎天

それは、夏の盛りのある日の昼のこと…
「あー、暑いねーご主人さま」
「うん、さすがに毎日この暑さは参っちゃうよ」
二人はちょっと急な買い物に出ていた。
「こんな日はプールで一泳ぎしたいよ、ボク」
「まったくだね、つばさ」
「今度の休みはみんなでプールに行きたいな、ご主人さま」
「そうだね、今度の休みに行こうか」
「じゃあ決まりだねっ」
「うん、それじゃあ買い物を早く済ませて、みんなに報告しないとだな」
「それもそうだね、それじゃあ早く行こっ!」
「うん、早くしないとみんなに怨まれるかもしれないし」
………
「いっぱい買っちゃったね、ご主人さま」
「まあでも、みんなにかかったら一溜まりもないけどさ」
「ご主人さま、これだけあればバレないと思うし、一つ食べてもいいかな?アイス」
「そうだね、つばさは買い物に付き合ってくれたしね、一つずつ食べちゃお」
「んーと、ボクはレモンのにしよっ!」
「じゃあ僕は…チョコのやつにしようかな」
二人はアイスを美味しそうに頬張りながら、帰路についたという…

天使

それは秋のある日の夜のこと…
「ご主人さま…」
「何だい?紅玲菜」
「ご主人さまは…アタシ達が守護天使になって…こうして戻ってくると…思ってた…?」
「どうしたんだい?いきなりそんなことを聞くなんて」
「何となく…聞きたかったんだ…」
「正直な話、思ってはいなかったかな。でもさ…」
「でも?」
ぎゅぅっ
私は紅玲菜のことを抱き締めた。
「ご・ご主人さまっ…!?」
「思ってはいなかったけど、嬉しかった」
「えっ…!?」
「だって、大切に想っていた3人が帰ってきてくれたんだからさ」
「ご主人さまが想っていてくれたから…アタシ達…帰ってこれたのだから…」
「そうなのかい?」
「うん…」
ぎゅっ
「ご主人…さま…」
私は自然に紅玲菜を離さないように、さらに腕の力を強めて抱き締めていた…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
第3シーズン最終回です。
夏休みギリギリになってしまいました。
これとあと1本くらいで夏休み更新は終了かな。
ま、夏休み終わったからって書かなくなるわけでもありませんけどね。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2004・08・28SAT
短編小説に戻る