短編連作〜熟語編1−5〜
末端

それはある夏の夜のこと…
ツルルルル
「んー、この時期はやっぱり素麺だね、ジュン」
チュルルルル
「うんっ、ご主人さま」
二人は夕食に素麺を食べていた。そして一本だけ残りし素麺…
「あ、ジュン」
「何ですか?ご主人さま」
「ほら、こっち側」
「えっ…」
最後の素麺の片側を口に含み、もう片側をジュンに差し出したご主人さま。
「はい…」
二人の唇は素麺にて繋がった。そして…
「あむっ…」
「んっ…」
少しずつ近付いていく二人の唇、そして…
チュッ
「ジュン…」
「ご主人さま…」
やっぱりいつまでも、ラブラブな二人であった…

端点

それは秋のある昼の事…
「んー、難しいお…」
るるがある紙を前にして悩んでいた。
「どうしたんだい?るる」
「あ、ご主人たま。るるたんこれを考えていたんらお」
るるが見せたものは、絵と文字を線で結んでいくものであった。
「えっと、何が分からないの?」
「1と2と3は分かったんらお、でも4からが分からないお…」
「なるほどね、これはね…」
と、ご主人さまがこれを説明すると…。
「あー、そうらったんらー」
「うん、4からはちょっと形が変わるからね」
「じゃあ、やってみるお」
「うん。それにしてもこれ、誰が作ったんだい?」
「んーと、あゆみ姉たんらお」
「なるほどね、どおりで…」
「ん、何らお?ご主人さま」
「どおりで、こんな綺麗な字なんだなって」
「あー、ほんとらお」
ご主人さまとるるは、仲良く一緒に勉強を続けていった…

点火

それは春のある日の夕方の事…
チチチチチ ボッ
愛緒美がコンロに火を入れていた。
「何を作るんだい?愛緒美」
「あ、ご主人さま。まだ肌寒いですし、今日はお鍋にしようかと」
「そっか、まだ寒いしね」
「お鍋と一緒に、何かを飲まれます?」
「んー、どうしようかな…」
と、少し考えて…
「今日はいいや、普通にご飯にするよ」
「そうして戴けると助かります」
「え、どうしてだい?」
「ちょっとお昼の時に…飲み物がわりにそっちで寝てる二人が…」
「飲んじゃったの…ね」
「はい…」
ガラガラガラ
襖の奥には、少し顔を紅くした杏珠と紅玲菜の姿があった。
「二人には後で、よーく灸を据えておかないとだね」
「そうですね」
少しだけ愛緒美の顔も紅いのには気付いたものの、結局注意はしなかった私であった…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
第3シーズン5本目です。
本当はお盆期間の更新は無しの予定でしたけど…。
気が変わったので更新いたしました。
今回の連作も残り3つ、気合いを入れていきます。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2004・08・12THU
短編小説に戻る