短編連作〜熟語編1−3〜
水深
それは夏のある日のこと…
「ん…気持ちいいでちゅ…」
「そうかい?ネネ」
ネネとご主人さまの二人は、ちょっと遠くの大きなプール施設に来ていた。
「ごちゅじんちゃま〜」
「ん、何だ…」
ぱしゃんっ
プールサイドに寝ていたご主人さまは、ネネの突然の攻撃に…
「ぷはぁっ…ネネっ…!」
「んっ…成功でちゅ…」
「やったなぁネネ、じゃあ仕返ししてあげる」
どぼんっ ぎゅうっ
ご主人さまはその浅いプールに転がり込んで、ネネの身体を抱き締めた。そしてそのまま…
じゃぶんっ
二人とも頭まで浸かるくらいに身体を沈めた。しばらくして…
「…ぷはぁっ、ネネ」
「…はぁっ、ごちゅじんちゃまぁ…」
「どうだった?」
「ん…ちょっとこわかったでちゅけど…気持ち良かったでちゅ…」
やっぱりイルカだったネネには敵わないなと思ったご主人さまであった…
それは夏のある日の昼間のこと…
「ご主人さまぁ」
「ん、何だい?みどり」
「みどりさん、海に行きたいのれす」
「え、どうしてだい?」
「海の動物さんたちを観察したいのれす」
「お魚さんとか、ヤドカリさんとかぁ…」
「それから?」
「海の下の方にいる動物さんを見てみたいのれす」
「んー、海の下の方はそう簡単には見れないよ」
「ほえ?どうしてれすか?」
「そこに行けるのは特別な人だけなんだ」
「そうなんれすか?」
「うん、きちんと訓練して合格しないとダメなんだ」
「そうれすか…残念れす…」
「んーとじゃあ、ちょっと出掛けようか?」
「どこへれすか?」
「ビデオを借りに行こうかなって、海の生物のやつもあると思うよ」
「あ、みどりさんも行くれす〜」
真夏の日が照りつける中、二人はビデオ屋へ向けて歩いていったという…
それは夏のある日のこと…
「ご主人さまー、お昼ご飯だよー」
「あ、杏珠ありがとう。今日は何だい?」
「今日は冷やし中華だよ」
「杏珠一人で出来たんだね」
「うんっ、ちょっと失敗もしちゃったけどね」
「まあ少しぐらいならいいさ」
………
食卓に着いた二人。
「「いただきまーす」」
つるるるるる
「うん、美味しいよ杏珠」
「ありがと〜、ご主人さま」
「あれ?このコリコリしてるのって…」
「冷蔵庫にあった中華くらげだよ、もうすぐダメになりそうだったから使っちゃった」
「そっか、ありがと」
くしゃくしゃくしゃ
私はそんな杏珠の頭を撫でてあげた。
「く…くすぐったいよ、ご主人さま」
そんな風に昼食の時間が過ぎていく私と杏珠であった…
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あとがき
第3シーズン3本目です。
意外な漢字が来ましたけど、この後もう一捻りがあります。
もう少し速く書きたかったなぁ…
7月最後、夏休みもあと一ヶ月ですっ!
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2004・07・31SAT
雅