短編連作〜熟語編1−2〜
語源

それはある春の昼のこと…
「そういえばあゆみ」
「はい、何でしょう?ご主人さま」
「トリコロールカラーって何のことだっけ?」
「そうですね…あまりその言い方は正しいとはいえませんわね」
「え、どうしてだい?」
「トリコロールと言うのは、フランスの国旗のことなのですわ」
「ふーん、それで正しくないっていうのは?」
「それはトリコロールという言葉に、『色』という意味が入っているからですの」
「えっ!?」
と、あゆみはここで紙に何やら単語を書いた。
「ご主人さま、トリコロールは英語で“tricolor”と書くのですわ」
「へえ、そうなんだ」
「この〈トリ〉がトリオとかトリプルとかの『3』のことです」
「あー、言われてみれば…」
「それでカラーが変化して後ろに附いて、この言葉になったのですわ」
「そういや、フランスの国旗は3色だったっけか」
「そうですわね。んーっ、ちょっと長くなってしまいましたわね、お茶を入れてまいりますね」
「あ、ありがとうあゆみ」
その後も色々と話し合っていた、二人であった…。

源流

それは暑い夏の昼のこと…
「うー、暑いんに何でこんな山なんか登らなあかんのや?ご主人さま」
「もうすぐいい所に着くから、そんなこと言わないで頑張ってさ」
「…分かったわ…」
と、二人で山をさらに分け入ると…
ドーーーー
「ん?何の音や?」
「滝の音だよ、近くに源流があるからね。あとでそっちまで行くからね」
「ちょっと寄ろうや、ご主人さま」
………
と、滝に着いた二人。
「一緒に滝に入ろうや、ご主人さま」
「え…あ、うん」
荷物だけを近くに置いて、服のまま滝へと入る二人。そこでご主人さまは、あることに気付いてしまった。
「ん、何や?ご主人さま」
「ピピ…Tシャツが透けてる…」
Tシャツのまま滝に入ったピピの上半身は、これ以上無い程に透けていたのだ。
「えっ!?あーっ!ご主人さまのエロガッパーっ!」
「わーっ!ぬれぎぬだーっ!」
そんな二人の声が山に響き渡ったという…

流水

それは夏のある日の昼間のこと…
ちゃぷっ
ご主人さまの足は、既に川の流れに浸かっていた。
「ほら、らん」
「こ…恐いです、ご主人さま…」
「大丈夫だって、らん」
「でも…」
その川を前に足が竦んでしまったらん。
「しょうがないな…らん、ちょっとゴメンね」
「えっ!?」
チュッ
次の瞬間にはご主人さまの唇は、らんの唇へと重ねられていた。
「これで、大丈夫かな?」
「…はい…」
ちゃぷんっ
らんの足が水へと浸けられた。
「んっ!ご主人さまぁっ!」
「うわっ!そんなに抱きつかないでっ、らん」
とは言いつつも、いつまでもそのまま抱き合っていた二人であった。
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あとがき
第3シーズン2本目です。
しかしながら今回のは難しかった…。
あゆみがまたちょっと微妙…。
ま、もう少しリハビリ期間とさせて下さい。
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2004・07・24SAT
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