短編連作〜熟語編1−1〜
主人

それは春のある日の、くるみと二人っきりのお昼のこと…
「ご主人さま〜」
「何だい?くるみ」
ぽふっ
くるみはご主人さまの膝の上に頭を預けた。
「ん、どうしたんだい?くるみ」
「何でもないの…」
「???」
「ただご主人さまに…」
ぎゅっ すりすり
くるみはご主人さまの腿を抱き締めて頬擦りをした。
「く・くるみっ!?」
「くっついていたかっただけ…なの」
「…そっか…」
「ご主人さまは温かくって…」
「え?」
「安心出来る…の…くぅ…」
「ん?くるみ?まあいいか…」
サラサラサラ
ご主人さまはひざ枕されているくるみの髪を撫でながら、午後のひとときを過ごしていった…

人物

それは夏のある日の昼のこと…
「んー…?」
たまみは何やら考え事をしているようだ。
「ん、どうしたんだい?たまみ」
「あ、ご主人さま。ちょっと推理していたんです」
「え、何を?」
「それですっ」
と、たまみが指した先にあった物は…
「あれって…足跡のことかい?」
玄関から押し入れへと、一方通行に繋がっている足跡があった。
「はい、いったい誰が付けたのかです」
「んーと、今いるのは僕たち二人だけのはずだよね…」
「はい、そうです」
「この大きさの足跡で、押し入れに居るのって…」
「そこなんです、だから分からないんです」
「ん?ちょっと待てよ…さっき一瞬だけドアが開いて、誰か来たよな」
「はい、ゆきお姉ちゃんが来ましたけど…ってまさか…」
「そのまさかじゃないかな、だって蛇は元から夜行性だし、ゆきさん暑いの苦手だし…」
ガラガラガラ
開けてみれば押し入れの下段で、ゆきがスヤスヤと寝息を立てていたという…

物語

それはある冬の日の昼のこと…
「ご主人さま…」
「何だい?もも」
「このご本…読んでください…」
と、ももはとある本をご主人さまへと差し出した。
「ん…いいよ」
「え…あ…えっと…」
「どうしたの?もも」
「ご主人さまの…お膝の上に…乗ってもいいですか…?」
そのももの言葉に、ご主人さまは無言で…
ぎゅぅっ ぽふっ
「きゃっ!」
膝の上へとももを乗っけてあげた。
「これで…いいかな?」
「はい…」
ぽんっ
ももは少しだけ横を向いて、顔をご主人さまの胸へと乗せた。
「それじゃあ読むよ」
「はい」
二人は温かく寄り添いながら、午後のひと時を過ごしていった…
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あとがき
2ヶ月ぶりの短編連作、第3シーズンです。
久し振りの連作は…難しいですね、やっぱり。
今回は熟語しりとりです、主人からある言葉へと間を16個入れて繋きます。
夏休み中に…いけるかな?
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2004・07・21WED
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