短編連作〜漢字編1−3〜

「ご主人さまー、投げて投げてっ」
「分かったー、いくよーっ」
シュッ
と、ご主人さまが投げた泥玉を…
ピューッ トンっ
水鉄砲で狙い撃ちしようとしていたなな、しかし球は速くて命中しない。
「うー、当たらないよぉ」
「うーん、ちょっとタイミングが遅いみたいだね」
「んー、もう一回投げてー」
「ん、分かったよなな」
ポーン
と、もう一回泥玉を投げるご主人さま。
ピュンッ パンッ
「やったあっご主人さま、当たったぁっ!」
水鉄砲が当たった泥玉は見事に砕け散った。
たたたっ ぎゅうっ
ななはご主人さまに抱き着いた。
「なな…顔が泥だらけだし、帰って風呂にしようか」
「う…うんっ」
二人は少し顔に泥を付けながら、夏の昼の道を帰っていった…


「ご主人さま…」
「何だい?あかね」
「ちょっとおやつの仕上げを手伝って欲しいんだけど」
「え…いいけど」
台所へと向かう二人。
「今日はあかねが当番なのかい?」
「うん…」
「で、何を作っているんだい?」
「えっと…心太なんだけど」
「あー、涼しげでいいね」
「だから、一個一個を押し出していって欲しいんだけど…」
「うん、いいよ」
にゅるるるるる
綺麗に切られて硝子の器へと入っていく心太。
「綺麗だね、あかね」
「うん、黒蜜をかけるのが勿体ないくらい…」
とろーー
黒蜜が心太にかけられていった。
「持っていこう…ご主人さま」
そんな夏の暑い午後の二人であった…。


「ご主人さま…」
「ん、どうしたんだい?らん」
ぴとっ
「ら・らんっ!?」
らんは座っていたご主人さまの背中に頬を寄せた。
「温かいです…とても…」
「ん、そうかい?」
ぎゅうっ
らんはそのままご主人さまの背中へと抱き着いた。
「温かくて…気持ち良くて…でもがっちりしてて…。家の大黒柱という感じです…」
「気持ちいいかい?らん」
「はい…とても…」
すー
らんはご主人さまの薫りを嗅いだ。
「それに…とても落ち着く、いい薫りです…」
「ん…そうかい?」
「はい…もう少しこうしていていいですか…?」
「…いいよ…」
「ご主人さま…」
そんな感じで過ぎていく春の昼間であった…
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あとがき
折り返し、7〜9作目です。
誰がこんな風に漢字が変化していくと思ったでしょうか?
ちなみにあと9個で、みなさんが予想しえるある漢字に収束します。
次回は…オリジナル守護天使が出てきます。
てなわけで、あともう少しお付き合いください。
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2004・03・10WED
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