The Flow Of Water(水の流れ)
ザーーーー
「うー、雨が降っててつまんないよぉ」
「確かに…これじゃつまらないな…洗濯も干せないし…」
「梅雨ですから、しょうがないですけど…困りましたね、連日だと」
私の守護天使3人はこの梅雨時期にうんざりしている。
「ただいまー、みんな」
「「「おかえりなさーい、ご主人さま」」」
「みんな、いいものを貰ってきたよ」
「え?なになに〜?ご主人さま」
「ほら、これさ」
ぴらっ
と、私が取り出したのはアクアランドの券が4枚である。
「その券は…どうしたんだい?ご主人さま…」
「友達から貰ったんだ、家で余ったから兄妹で使ってってね」
「それなら、お礼をしに行かないといけませんね」
「いいよ、そんなお礼をするような仲の友達でもないしさ」
「それでっ、いつ行くの〜?」
「う〜ん、今度の土曜日にでも行こうか」
「そうだね…いいと思う」
そして当日。
「みんな、準備はできたかい?」
「うんっ!」「はい」「いいよ…」
「それじゃあ行こう」
私たちは薄曇り空の街へと歩みを進めていった。
「それじゃあプールでね、みんな」
「「「はい」」」
アクアランドに着いた私と守護天使は、着替えのために取り敢えず分かれた。
「うわぁ、広いぃ」
そこのプールは全天候型で、ウォータースライダーや競泳用のプールや流れるプールもある、広いプールであった。
たったった
杏珠はもう待ち切れないのか、飛び出していった。
「待って、杏珠」
「うー、どうして〜?お兄ちゃん」
「まずは準備運動をしてからね」
「そうだよ…あんず…」
「うん、わかったよー」
「いっちにっ、さんしっ!」
「「「ごーろっく、しっちはち」」」
………
「よし、じゃあいいよ」
「わーい、泳ごう泳ごうっ!」
「それでは私も」
「なら…あたしも行こうかな…。雅兄は泳がないのかい?」
「うん、私はしばらくいいかな。ま、しばらくゆっくりしてるさ、プールサイドで」
「それなら…いいけど…」
2時間後…
ユサユサ
「起きてください、雅裕兄さん」
「んーっ!もしかして私、寝てた?」
「うん…とても気持ち良さそうに…」
「それでどうしたんだい?」
「そろそろ、お昼にしませんか?杏珠がお腹すいてるみたいで」
「あ、もうそんな時間か」
「お兄ちゃん、お腹すいたよぉ」
「うん、そうだね。そういえばここに休憩所とかってあったっけ?」
「確か…あったはず…」
「じゃあそこで食べようか」
「そうですね」
「「「「いただきまーす」」」」
休憩所に集まった4人、もちろんタオルをかけているとはいえ水着のままである。
「愛緒美お姉ちゃん、美味しい〜」
「うん…美味し…」
「美味しいよ、愛緒美。また腕をあげたね」
「そんな…照れちゃいます、雅裕兄さん」
「照れることなんかないじゃない、ホントのことなんだしさ」
「愛緒美も雅兄も…食べようよ…」
「そうですね、紅玲菜姉さん」
「うん、食べよ」
4人で弁当はあっという間に無くなった。
「じゃあもう少し休んだら、プールに戻ろうか」
「あ、お兄ちゃん」
「ん、何だい?杏珠」
「一緒にスライダーすべろうよ〜」
「あ、ずるいよ杏珠。それなら私も、いいですか?雅裕兄さん」
「あたしも…雅兄と滑りたいな…」
「うん、いいよ。一人ずつ一緒に滑ってあげるよ」
「「「やったぁっ!」」」
3人は手を取り合って喜んだ。そして…
「「「ありがとっ」」」
ちゅっちゅっちゅっ
私は3方からのキス攻撃を受けた。
「ど…どういたしまして、じゃあそろそろ行こっか」
「「「はーい」」」
「お姉ちゃんたちー、いっくよーっ!」
ぎゅうっ
私は杏珠の体を後ろから抱き締める形になった。
シャーーーー
「うわぁぁぁ、楽しいよぉっ!」
そのスライダーはカーブも多く、スピードもなかなかのものであった。
バシャーーン
二人はあっという間にプールへと飛び出していった。
「ふー、楽しかったね〜、お兄ちゃん」
「うん、なかなかね」
するとプールサイドから
「雅裕兄さーん、早く私も滑りたいですー」
「あ、じゃあちょっと行ってくるね、杏珠。それと早目にこの辺から逃げてね、滑ってくる人の邪魔にならないように」
「うん分かったよ、お兄ちゃん」
………
「心の準備はいいかい?」
「はい、雅裕兄さん」
「じゃあいこうっ!」
さすがに胸を抱き締めるのは倫理上良くないので、私は腰の辺りに手をかけた。
シャーーーー
「きゃっ!雅裕兄さん、恐いですっ!」
「大丈夫さ、私がついてるからさ」
そのスライダーは途中から自動的に経路が変わるらしく、さっきとは違う経路で降りていった。
ジャブーーン
「ふー、楽しかったね愛緒美」
「は、はい。少しだけ恐かったですけど、楽しかったです」
そんなことを話しているとその近くの水面から…
バシャ
「雅兄…」
「うわあっ!ビックリしたよ、紅玲菜」
「フフ…だって驚かそうと思ってたから…」
「じゃあ行こうか、スライダーに」
「うん…」
私は紅玲菜と一緒に3回目のスライダーへと向かっていった。
………
「いい?紅玲菜」
「はい…雅兄…」
「じゃ、行こっ!」
「うん…」
さっきと同じように紅玲菜を抱き締める私。
シャーーー
「…面白い…」
スライダーはさっきとはさらに違う方向へと進んでいった。
ザバーーン
「はー、なかなか良かったね、紅玲菜」
「うん…」
するとプールサイドから…
「お兄ちゃーん」
「雅裕兄さーん」
杏珠と愛緒美の声。
「何だい?二人とも」
「もう一回滑りたいよー」
「私ももう一度、雅裕兄さんと一緒に滑りたいです」
「う…ちょっと勘弁して…これ以上はちょっと…」
「杏珠…愛緒美…ご主人さまも疲れているんだから…休ませてあげようよ…」
「「は〜い」」
「サンキュ、紅玲菜。じゃあ私は、プールサイドで休んでるから」
「うん…分かった…」
「雅兄…雅兄…」
ゆさゆさゆさ
「あ、紅玲菜。また私、寝ちゃったのか。それでどうしたの?」
「そろそろ帰ろ…何だか二人とも…疲れているみたい…」
と、紅玲菜が指差す方向には、プールサイドで二人が寄り添って寝ている姿があった。
「うん、そうだね。じゃあそろそろ帰ろっか」
こうして4人は少し疲れは見せながらも、笑顔で家へと帰っていった…
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あとがき
3本目となりましたオリジナル守護天使のSS、いかがだったでしょうか?
梅雨時なので…あえてプールの話といたしました。
この作品、もう少し早く出す予定だったんですけどね。
愛緒美のトラウマがあるんでこの先、結構難しそう…
ま、頑張りますよ。
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2003・06・23MON
雅