Midnight Chocolate(深夜のチョコレート)

2月14日のAM1:00…台所に3人の影が…
「う〜…眠いよぉお姉ちゃん」
「しょうがないだろ杏珠…ご主人さまのためなんだし…」
「杏珠、大丈夫?」
「んー…だめかもぉ…」
そんな杏珠の目は既に一本線になりかけている。
「えっと…どうしましょう?紅玲菜姉さん」
「…どうしようか…杏珠がこの状態だし…」
「………」
「杏珠…起きて!」
「あ、ごめんなさい紅玲菜お姉ちゃん」
3人の目の前には3人分のチョコレートの材料…もちろんバレンタイン用のものだ。
しかしそのチョコレートを作ろうとした途端に、授業が早く終わってしまった私が帰ってきてしまったのだ。
「じゃあ、3人分で一つの大きなチョコにしましょうか?紅玲菜姉さん」
「…そうだな…その上に3人のメッセージを書けばいいかな…」
「んー…そうするぅ…」
「頑張って起きててね、杏珠」
「は〜い」
「それじゃあ原型を作りましょ紅玲菜姉さん、杏珠」
「…そうだな」
………
ざくんざくんざくんざくんざくんざくん
台所にチョコレートを刻む音が響く。
「愛緒美お姉ちゃん、これくらいの大きさでいい?」
「うん、そうね。紅玲菜姉さん、お湯の方は大丈夫ですか?」
「ああ…大丈夫だよ」
「紅玲菜姉さん、これをお湯の入ったボウルにお願いします」
「…ん…分かった」
ぽちゃん
チョコレートの入ったステンレスのボウルがお湯の入ったボウルに浸かる。
とろ〜〜
少しずつボウルの中で溶けていくチョコレート…甘い香りが台所を包む…。
「ん〜…美味しそう…」
「だめよ、杏珠」
「う〜分かってるけどぉ…」
とろん とろんっ
どんどん溶けていくチョコレートをヘラで掻き混ぜていく…。
つつつ
「あじみ〜」
そんな隙をついて、杏珠がボウルの中身を指で一掬いした。
あむっ
「あ〜…美味しい〜」
「こらっ杏珠…」
ぺちっ
「う〜」
「まあまあ、二人とも。もうそれくらいでいいですよ、紅玲菜姉さん」
「ん…そうか…」
「杏珠、もう一つのボウルにお水を入れておいて」
「は〜い」
じゃーーー きゅっきゅっ
「これくらいでいい?」
「うん、いいわよ」
「じゃあ…そっちに持っていくから…」
「はい、紅玲菜姉さん」
ばしゃっ じゃぷんっ
熱いお湯に浸かっていたボウルが水の入ったボウルへと場所が移された。
「杏珠、もう一つ…えっと…その丼にお水を張っておいて」
「うん、分かったぁ」
「紅玲菜姉さん、タオルを用意してくれませんか?」
「あ…うん…」
ととととと ととととと
「はい…愛緒美」
「ありがとうございます」
「愛緒美お姉ちゃん、これくらいでいいの?」
「うん、ありがと」
ばしゃっ じゃぷんっ
中のボウルがさらに、水の入った丼へと移される。
「こうして少しずつ冷やさないといけないからね」
「…手伝おうか?愛緒美…」
「それじゃあ混ぜるのをお願いできます?」
「ああ…分かった…」
「さて、お湯の用意っと」
「え、またお湯なの?愛緒美お姉ちゃん」
「そうなのよ。こうすると出来上がりが綺麗に仕上がるの」
「う〜ん…難しいね、チョコ作りって」
「じゃあ、あのお湯を捨ててっと」
ジャーー
「改めて張りなおさないと」
ジャーーーーー
「愛緒美、これくらいでいいのかい?」
つんっ
愛緒美はボウルの中のチョコレートを一掬いした。
「もう少しですから、あとは私がやります。さっきのタオルはどこでしょうか?」
「えっと…はい…愛緒美」
「ありがとうございます、紅玲菜姉さん」
じゃぶんっ きゅっきゅっきゅっ
愛緒美はボウルを丼から取り出して、タオルで拭いた。
つつつつ つつつつ とんとんとん
「こうやってたまに取らないと、ボウルにくっついてしまうからね」
「へぇ〜、愛緒美お姉ちゃんって物知りだねっ!」
「そうでもないわよ、んーここまで冷えればいいかな」
じゃぷん ざぷん
2・3秒だけさっきのボウルを熱い湯に浸けて、チョコレートを溶かした。
「さて、どんな形にしましょうか?」
「ん〜と…」
「そうだなぁ…」
………
「「「できたっ!」」」
台所に3人の声が響く、どうやらチョコレートが出来上がったようだ。
「ん〜…眠いよぉ…」
「あらあら、もう眠ってもいいわよ杏珠」
「う〜ん…おやふみなはい…」
紅玲菜に背を預けてすっかり眠ってしまった杏珠、もう時計は3:00を過ぎていた。
「じゃあ、ラッピングをして後片付けをしたら私たちも寝ましょうか」
「そうだな…」
2人は用意しておいた箱に3人分の想いの詰まったチョコレートを入れた。
ぱこっ がさがさがさっ きゅっきゅっ
綺麗にリボンで結ばれた箱…でも包まれているのはチョコレートだけじゃない…甘い甘い3人の想いも…。
 
翌朝…
「んー、朝だ朝だっと」
私の部屋の机の上にそれは置いてあった。
「ん?何だろう…あっ…」
それを持って3人の部屋に行くと…
「く〜」 「すー」 「ふー」
まだ夢の中な3人がいた。
「ま、今日の朝ご飯はこれでいいか。今日の朝だけは寝かせておいてあげるか」
ちゅっ ちゅっ ちゅっ
私は3人の頬へとそっとキスをしてあげた…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
テスト2日前、雅です。
今月は本当にスランプですよ…久々の。
今回のSSもギリギリでしたね、やっぱり。
BSSという切り札が使えなくなって、ネタに苦しむ毎日です。
テストが終了したら何とかします。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2004・02・14SAT
短編小説に戻る