Uncrushable mind(磐石の心)
今日は5月2日の火曜日。やっと明日からゴールデンウィークに入るそんな時期の朝のこと…
「おはよう、愛緒美」
「おはようございます、ご主人さま」
「あれ?今日は愛緒美だけかい?他のみんなはどうしたの?」
「えっと…昨日ちょっと夜更かししてしまいまして…私は早く寝たのですが…」
「どうりで、昨日みんなの部屋が騒がしいと思ったら…」
「すみませんご主人さま。昨日はもしかして眠れませんでした?」
「いや、それは大丈夫。でも近所迷惑になっちゃうからほどほどにね」
「はい、本当にすみませんでした」
「あ、そろそろ朝ご飯をもらえるかな?早く行かなくちゃいけないし」
「はい、分かりました。すぐに持ってきますね」
………
「ごちそうさま、愛緒美」
「お粗末さまでした、ご主人さま。今日はどれくらいで帰ってこられますか?」
「えっと…1限だけ行ってくるだけかな。今日は卒研をやらないで帰ってくるよ」
「そうですか…」
「ん?やっぱりこれじゃあ都合悪いかな?もしだったら時間潰してくるよ」
「できればそうしていただけるとありがたいのですが…」
「うん、分かった。研究室で多少作業しなくちゃいけないこともあるしさ」
「ありがとうございます、それでは楽しみにしていてくださいね」
「楽しみにしているよ、愛緒美。それじゃあ起きている愛緒美にだけ特別に…」
チュッ
私は愛緒美の頬にそっと唇を付けてあげた。
「ご…ご主人さま…ありがとうございます…」
「どういたしまして。それじゃあ行く準備してくるから、鍵とか出しといてくれる?」
「はい…(ご主人さまの唇…気持ちよかったな…)」
「それじゃあ行ってくるね、帰ってくるのは何時くらいがいい?」
「はい、行ってらっしゃいご主人さま。えっと、3時くらいでお願いできますか?」
「うん、それで構わないよ。何か買ってくるものはある?」
「いえ、特に今は無いです。それでは行ってらっしゃいませご主人さま」
「うん、行ってくるね愛緒美」
と、私は大学へ向かうための車へと向かった…
カチャッ
「お先に失礼しまーす」
「「「おつかれさまです」」」
翌日から5連休のためか、幾分人数が少ない研究室を出る私。心の中は既に今日のことでいっぱいだ。
「さて、どうしようかな。あ、そうだ…」
ちょっと寄るところを思い出して、車に向かう間にどう行くか思案している私であった…
「ただいまー、みんな」
「「「「おかえりなさーい、ご主人さま」」」」
「ご主人さま、カバン持つね」
「あ、うん杏珠。私の部屋に置いておいてくれる?」
「ご主人さま、お風呂入ってきいや。着替え持ってくるで」
「そうだね、奏歌。私の部屋に行く前にこれ、置いてきてね」
と、ポケットから色々と取り出す私。
「分かったで。杏珠姉やん、一緒にご主人さまの部屋行こうで」
「うん、行こっ奏歌」
「紅玲菜、あとどれくらいで出来そう?」
「多分あと1時間もしないうちに…出来ると思う…」
「はい、これ渡しておくけど手をつけないでね」
「う…うん。(今年こそ誘惑に勝たないと…ご主人さまもそう思って渡してるんだろうし…)」
「愛緒美、楽しみにしてるからね」
「はい。ご主人さま、ゆっくり入ってきてくださいね」
と、めいめいがパーティーまでの残り時間、必要な仕事に入った…
結局、誘惑に負けた約3名はいつもの如く床に寝ているわけで…
「結局いつも通りになっちゃいましたね」
「うん…もう少し大人になってくれたらいいんだけどね…」
「そうですね…あ、ご主人さま。プレゼントをまだ渡してなかったです」
「そういえば…そうだ、ちょっとついてきてくれるかな?」
「え?あ、はい」
と、ちょっと部屋を出て2階のベランダへと出た私と愛緒美。
「それで、いったい何でしょう?ご主人さま」
「いや、あの場でも良かったんだけどさ、ちょっとね」
「はい…」
「でも、いっつも苦労かけちゃってるかな、愛緒美には」
「いえ、そんなことないです…だってご主人さまのほうが…」
「いや、でもさ。本当は愛緒美だって飲みたいのに、我慢してるんだろ?」
「えっと…実は…」
「はい、愛緒美。1缶くらいなら今日は許すよ」
「あ…ありがとうございます、ご主人さま」
カチャッ カチャッ
「じゃあ、カンパイ愛緒美」
「カンパイです、ご主人さま」
カンッ こくんこくっ ごくんごくんっ
「美味しいです…久し振りに飲んだ気がします…」
「そうだよね、あれから一回も飲んでないからね」
「あ、そうです。私たちからのプレゼントです」
「開けてみていいかな?」
「はい、ご主人さまのサイズに多分あっているはずです」
と、その箱には小さな翡翠の付いた指輪が入っていた。
「ありがとう、愛緒美。あ…そうだ、私からも愛緒美にだけ…特別にこれをね」
と、小さな紙袋には今日寄り道をして買ってきたチョーカーが入っていた。
「えっと…ありがとうございます、ご主人さま。あ、それじゃあ私から追加のプレゼントです」
「ん?まだ何かあるの?」
「ちょっと待ってくださいね」
愛緒美の口を満たすレモン味のチューハイ、そして私は何も言わずにその唇へと自分の唇を持っていった。
チュウウウゥゥッッ コクンゴクッゴクンッ
愛緒美の口に入っていた液体を嚥下する私、いつもの味に愛緒美の味が加わっていた。
「…これにはお返ししてあげないとかな」
私の口を満たしていくライチ味のチューハイ、そして愛緒美も何も言わずにその唇を自分の唇へとくっ付けた。
チュゥゥゥゥゥッッ コクッコクッゴクンッ
私の口に入っていた液体を嚥下する愛緒美、その唇を通してどことなく思いも伝え伝わっていた。
「ご主人さま、大好きです…」
「私もだよ、愛緒美…」
ギュッ
二人ともどちらかともなく抱き合った…空の星々はそんな私たちを見守るように空に輝き続けていた…
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あとがき
Happy Birthday to meです。
誕生日SSの2本目は自分のになりました。
今回のタイトル共通点のヒントは、日本語の1文字目。それだけです。
これでもう22歳。年を取ったなあ…と実感するようになってきましたよ。
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2006・04・23SUN
雅