The Tie witch Angel and Me(天使と私とを結ぶもの)

「これが着てから、もう6年か…」
ゴールデンウィークの序盤の休み、私はある物を眺めていた。
「ご主人さま、何を見てるんです…あ、タリスマンですね」
と、そこにやってきたのは愛緒美であった。
「あ、愛緒美。うん…何だか懐かしいなって。紅玲菜の誕生日の時に色々と思い出してからさ」
「そうなんですか…私も何だか懐かしいです」
「これがいきなり投函されてるんだもん、何だか分からなかったしさ」
「でも、それならなぜ持ってたんですか?」
「捨てられないさ、後ろの文字を調べてみたら自分の名前になってたし」
「これってそうだったんですか?」
「うん。それにアメシストが入ってたから何かあるのかなって思ったからね」
「それがもし捨てられてたりしたら、私がここに来ることもなかったと思います」
「そうだと思うよ。これは私とみんなを繋ぐ橋みたいな物なんだろうな」
「そう思います。でもご主人さまのところに来れて良かったです…本当に」
「私みたいなご主人さまで良かったのかい?」
「いえ、ご主人さまがご主人さまだからこそ良かったんです」
「そうなのか…まあいいか」
「あ、そうです。ご主人さま、誕生日の日のご予定はどうなってるんですか?」
「あー、言っとかなきゃダメか。えっと、午前だけは確実に出てるかな」
「そうですか、お帰りは何時頃になります?」
「そうだな…何時くらいなら都合がいいの?」
「ご主人さまが良い時間ならば、何時でも構わないのですが」
「それじゃあ2時くらいにしようか?」
「それくらいなら助かります、それまでに準備しておきますね」
「うん、よろしく」
「それで…あれはどうしましょう?」
「…あれか…ま、飲みたかったら自分で買って帰るよ」
「毎年のことですが、今年こそお願いしますね」
「毎年毎年、愛緒美には迷惑をかけちゃってるからなあ」
「いえ、私は迷惑だなんて…あとで良いことも何度かありましたから」
「そうかな、そういえば…色々あったっけ」
「はい…特にクリスマスの時は…」
お互い少し顔を赤らめてしまった。
「じゃ、じゃあ今年は…」
「ご主人さまのお好きでお願いします」
「そうだね(まあ今年も愛緒美の寝顔を見たいし…)」
「ご主人さま、何か変なことを考えてはいませんか?」
「そんなことはないよ、そんなことはさ」
「…ご主人さまがそうおっしゃるなら…それでは水曜日はそういう方向でいきましょう」
「そうだね、2時過ぎくらいに帰ってくるね」
「はい、分かりました」
 
そして当日…
「お先に失礼しまーす!」
「お疲れー」 「お疲れさまでーす」
いつもより早めに研究室を立ち去った私、そのまま車の置き場へと向かう。
「さて、どこで仕入れてくかな…んー…」
車を発進させつつ考えた末、とある場所へと向かうこととなった…
………
「よし。やっぱり安くて助かるな、ここは」
ここは家の前の道を通り過ぎて少しした場所にあるスーパー。
「これは自分の分、あと3本は一応用意しておかないとだな」
色々な味のチューハイを選択しレジを通した。
「さて、これでよしと」
私はそのまま店を出て車へと乗り込んだ…
………
「愛緒美はこうなるのが嫌だったの?」
「少しだけ…」
まあ毎年のことで、もう気にしなくなった私と愛緒美。
周りには奏歌と杏珠と紅玲菜の撃沈した姿があった。
「あのさ、今年は愛緒美にも飲んでもらおうかなって思ったんだけどさ」
「えっ…!?」
「一応用意してあるんだけど、飲むかい?」
「それは強制でしょうか?」
「強制はしないさ、嫌なら嫌で後日飲むから」
「それでは…片付けてからなら頂きます」
「良かった…あ、それともう一つあるんだけど」
「何でしょう?」
「今日はみんな一緒の蒲団で寝ようか、久しぶりにさ」
「久しぶりに…ですか?」
「みんなのことも心配だしね、愛緒美に判断を委ねるよ」
「そうですね、たまにはいいかもしれません」
「それじゃあみんなの蒲団を敷いて、三人を寝かせてくるよ」
「分かりました、こちらの片付けはお任せください」
私と愛緒美の二人は行動へと移っていった…
………
「どうだい?久しぶりに飲んだ感想は」
「何だか…久しぶりの感覚でちょっと…でも気持ちが良いのかもしれません」
「そっか…よし、飲みきったことだし私たちもそろそろ寝ようよ」
「そうですね、ご主人さまは枕を持ってお出でください」
「そっか、枕は無いんだっけ…分かった」
「隣を空けてお待ちしてます…ね」
「う…うん」
………
「それじゃあ入ってもいい?」
「はい、少し恥ずかしいですが…」
ススススス
私は愛緒美の隣へと入っていった。
「お疲れさま、いっつもごめんね愛緒美」
「いえ、そんな…手伝っただけなのに私が特別にこうして隣に寝かせてもらえるだなんて、それだけで…」
「そっか…愛緒美がそう言うならかまわないけどさ」
「そろそろ寝ましょうか?」
「そうだね、あ…愛緒美、こっち向いて」
「え?あ、はい」
パチッ チュゥゥッ
私は照明を落として愛緒美の唇へと口づけをした。
「ご・ご主人さま!?」
「今日のお礼だよ、愛緒美だけにね。じゃあおやすみ、みんな…そして愛緒美」
「おやすみなさい、ご主人さま」
私は四人と一緒の蒲団の中、眠りへと落ちていった…
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あとがき
Happy Birthday to meです。
誕生日SSの2本目は自分のになりました。てか、これじゃあ愛緒美SSですね、反省。
今回のタイトル共通点のヒントは、英単語の一つ。それだけです。
これでもう23歳。年を取ったなあ…と実感するようになってきましたよ。
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2007・05・02WED
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