Three Color's Spa Diary [6](三色の温泉日記〔6〕)
浴衣に着替え終わったご主人さま。
「みんな、もう行けるかい?」
障子の向こう側から声を掛けた。
「ちょっと待ってほしいのれす。くるみ姉さん、そっちれすよ」
「えっと、こっちが前なの?」
「そうだよ…それで帯を回して…」
「ここで縛って、後ろに回して…できたの!」
「ご主人さま、入ってきていいれすよ」
ご主人さまが障子を開けると…
「ご主人さま…どうかな?」
「3人の浴衣姿っていうのも新鮮だね。みんな似合っているよ」
「ご主人さま、タオルどうぞなの。早く温泉入りに行くのー」
「ありがとうくるみ。みんな行ける準備は…できてるね。じゃあ行こうか」
………
家族風呂へと向かう四人。
「そういえばどれくらいの広さなのかな…」
「家族風呂っていうくらいだから、そんなに広くはないだろうね」
「広くなかったら交代れ入ることになるれすか?」
「そうだなあ。無理そうだったらそうしようか」
「あ…」
「どうしたんだい?くるみ」
「ご主人さまも一緒なの、あかねちゃんもみどりちゃんも大丈夫なの?」
「「あっ…」」
二人ともようやくその事実に気付いたようだ。
「ど、どうする?やっぱり僕だけ普通のお風呂にしようか?」
「…みどりさんはご主人さまが一緒れいいれすよ」
「みどり…」
「ご主人さまが一緒にここまれ来たんれすから、ここれご主人さまと離れるのは何か違うれすよ」
「そうだねみどり。少し恥ずかしいけれど…ご主人さまがいてくれたからこその私たちだからね…」
「くるみ姉さんはどうれすか?」
「くるみは…連れてきてもらったから構わないの」
「3人とも本当にいいのかい?」
「ご主人さま…そんなに私たちと一緒に入るのは嫌なのかい…?」
「そうじゃないけど…君たちがいいなら、うんいいよ」
「家族風呂にしようって言ったのはご主人さまなの」
「いや、あの時は4人だけでゆっくりしたかったからだよ」
「女の子がいいって言ったんれすよ」
「そうだよ…ご主人さま」
「あとはご主人さまなの」
「そっか…そうだよね」
「あ、着いたの」
くるみが指差した先には「鈴の湯」の文字があった。
ガラガラガラガラ
引き戸を開けるご主人さま。そこで思い出したようにあかねが口を開いた。
「ご主人さま、一緒に脱ぐ…?」
「あっ…ど、どうする?」
「くるみ姉さんとみどりはどう…?」
「みどりさんは一緒れいいれすよ」
「くるみも構わないの」
「私も構わないよ…フフフ、恥ずかしがってるのはご主人さまの方みたいだね…」
「そうか、僕が恥ずかしがってちゃダメかな。貧相に見えても驚かないでね」
「ご主人さまの脱いだところは私たち結構見てるんだよ…だから大丈夫さ」
「えっ?そうだっけ」
「ご主人さま、みどりさんたちの前でも暑いからって脱ぐことがあるれすよ」
「そうなの。みかちゃんよりだらしないこともあるの」
「そっか、それは反省しないとかな」
「だから…ほら、一緒に行こう」
「うん」
ガラガラガラガラ
引き戸を閉めて鍵を掛け、4人は浴衣を脱ぎ始めた。
「あれ?じゃあどうしてさっきは…?」
「着替えるのは…恥ずかしいよ」
「そうなの。こことはちょっと話が違うの」
「ここは脱ぐって決まってる場所れすから」
「そういうものか…うん」
「じゃあ寒いってわけじゃないけど、早めにお風呂場に移ろう」
「そうだね…」
ガラガラガラガラ
いち早く脱いだご主人さまは、前を隠して家族風呂の方へと入っていった。
「うーん…ちょっとこれはみんなで入るにはギリギリかな?」
「詰めて入れば大丈夫かもなの」
「確かに一辺に入ったらお湯が無くなりそうかな…」
「れも…一回は一緒にみんなれ入りたいれすよ」
ガラガラガラバタンっ
3人もどうやら入ってきたようだ。
「じゃあちょっと身体を流してから入ろう」
ザバンッザバッ ザバンッザバッ
「どう入ればいいかな…?」
「横方向に沿って2人並びで向かい合って使おうか」
「じゃあみどりさんはこっち側に行くれす」
「くるみもみどりちゃんの方でいいの」
「え…じゃあご主人さまの隣は…私でいいの…?」
「これはあかねさんが当てたのれす。あかねさんが一番いい場所れいいのれすよ」
「そうなの。くるみ達はあかねちゃん達をゆっくり眺めてるの」
「ご主人さま…隣、よろしくね…」
「あー、あかねさん顔真っ赤なのれす!」
「お、温泉のせいだから…」
「でもまだ入ってないの」
「もう…入るよ、ご主人さま」
「え、あ…うん」
ジャプンッ ザブン ザパンッ ザパン
4人はそんな一悶着もありながら温泉へと浸かり始めた。
「ふえー、気持ちいいれすぅ…」
「日頃の疲れが取れる気がするよ」
「ちょっととろけちゃいそうなの…」
「染みる感じがするよ…」
「みんなすっかり気持ち良さそう顔だね」
「そうなるよ…疲れてたのもあったけど…」
「家のみんなには悪いかもしれないけどせっかくの温泉だし、今日のところはゆっくりさせてもらおうよ」
「そうだね…」
「やんっ!」
「どうしたんだい?みどり」
「くるみ姉さん、いきなり突かないれなのれすー」
「みどりちゃんのお肌、瑞々しそうでとても美味しそうなのー」
「もう、こうなったらえいっ!れす」
「ひゃんっ!みどりちゃんやったなーなの……」
「みどりもくるみ姉さんも…」
「いいんじゃないかな、誰にも邪魔されないこういうゆっくりした時間なんだしさ」
「それもそうか…うん」
くるみとみどりの光景を見て、二人の顔も自然と笑顔になっていった…
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あとがき
お久しぶりです、雅です。
3年越え振りですね。仁後さんの入籍記念に、未完結だったこの作品を久々に書くことにしました。
ようやく温泉…温泉でもしかしたらもう1回くらいいくかもしれません。
アイマス以外を書いたのも実は2年ぶりくらいなんですよね…まあサボりです、はい。
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2014・04・07MON
雅