POWDER SNOW(粉雪)
「はあ…どうしましょう、ご主人さま」
「んー、確かに…」
その日の空は突然のみぞれ模様、商店街に来ていた二人は帰りに立ち往生となってしまっていた。
「このまま濡れて帰ったら…風邪をひいてしまいますね…」
「そうなるけど…余分なお金はないしなぁ…」
「ですよね…」
冬のこの日…気温は1度か2度しかない…こんな日のみぞれなぞ、当たったら一発でアウトだ。
「もう少し待ってみようか」
「そうですね、ご主人さま」
………
それでも強くなっていく一方のみぞれ…
「ん…はぁっ…」
「あれ、どうしたんだい?らん」
「ちょっと…身体が冷えてきてしまって…」
「大丈夫かい?らん」
「ん…何とか…」
「あぁ…どうしようか…しょうがないっ」
ぱちんぱちんぱちんっ
ご主人さまはコートのボタンを外していった。
「えっ!?ご主人さま」
「入りなよ、らん」
「えっ・えっ…ええっ!?」
らんの顔は、すっかりと紅くなってしまっていた。
「ほら、早く」
「…は・はい」
ぽふっ ふぁさっ
らんはご主人さまのコートに入った。
ぱちんぱちんぱちんっ
そして閉じられていくコートのボタン…。
「あ…温かいです…ご主人さま…」
「ん…らんも…温かいよ…」
二人はコートの中で抱き合うような形をとった。
「はぁ…ご主人さまの匂い…です…」
「ん?何か言った?らん」
「いえ…何でもないです…」
「ちょっと気になるけど…まあいいか」
「(う…何だかドキドキしてしまいます…)」
「(あ…何だかドキドキしてきちゃったなぁ…)」
「………」
「………」
お互いにもうすっかり顔が紅くなってしまっていた。
「何だか落ち着く…な…こうしていると」
「えっ!?」
「こうして同じ温もりを感じていられるから…」
「…はい…ご主人さまの温もり…とても温かいです…」
次第に同期していく心の鼓動(パルス)…
「でも…こうしてると…恋人みたいだね」
「え…あ…はい…」
少しずつ更けていく空…あたりはもうほとんど暗くなってしまった。
「ご主人さま」
「ん、何だい?」
「雪…です…」
「本当だ…」
みぞれが、気温も下がって雪になってしまったようだ。
「これなら…当たっても大丈夫かな」
「そうですね…」
「じゃあ帰ろうか」
「はい」
帰ろうとらんがコートから出て、荷物を持ち上げたその時…凍っていた路面にらんは足を取られてしまい…
つるっ
「きゃっ!?」
ぎゅっ
ご主人さまはその身体を思い切り抱きしめた。
「大丈夫かい?らん」
「は…はい」
また顔を紅くしたらん。
「ん、大丈夫そうだね。今度こそ帰るよ、らん」
チュッ
「ご・ご主人さまっ!?」
「早く帰らないと、みんな待ってるよ」
「あ、は・はいっ!」
二人は少し雪に降られながらも、家路へと歩んでいった。
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あとがき
ううっ…誕生日小説シリーズを書き終わって書くネタがなくなったぁ…
誰か…ネタ下さい…。切望です。
こうなったら、私が知っている作品なら何でもいいです。(管理人からのお知らせ2の作品なら大体OK)
何だかネタがなくて、いつものテスト期間みたいに筆が進みません…。
これで日常光景のSSとしては3本目ですが…何だかなぁ…。
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2004・02・08SUN
雅