Tomorrow Smile(明日 Smile〜愛緒美BSS〜)
ジャーーー きゅきゅきゅっ
4人でのクリスマスパーティも終わり、私と愛緒美は、(誤ってお酒が入ってしまって)酔い潰れてしまった杏珠と紅玲菜の代わりにパーティの後片付けをしていた。
「手伝ってもらってしまってすみません、ご主人さま」
「いや、しょうがないさ。だって、私が飲ませちゃったわけだしさ」
いつもの如く、私が飲んでいた所を二人に取られてしまったわけである。
「まあ、まさか全部空けちゃうとは思わなかったけどさ」
「そうですね、シャンパンをまるまる一本ですからね」
「まあ、この寝顔を見ると怒るに怒れないんだけどね」
「フフっ、そうですか?」
「まあ、これだけ可愛い寝顔を見せられるとね」
「確かに…でもたまには怒らないと…」
と、二人が洗い物をしているキッチンの向こう側の部屋では…
ぐー くー すー ふー
二人の天使の少し紅くなった寝顔があった。
「それもそうだね。でも私の誕生日の時の、愛緒美の寝顔も可愛かったよ」
「あ…それは…(ぽっ)」
ちょっとだけお酒で紅くなった顔が、さらに少し紅くなった愛緒美。
「今の紅くなった顔もね」
「ご・ご主人さま…」
「あ、今の誕生日で思い出したけど…明日って愛緒美の…」
「はい、私の…」
「どこか行きたい所はある?」
「行きたい場所ですか?」
「うん、明日は日曜日だしさ。どこでも連れて行ってあげるよ」
「そうですね…明日の朝まで待ってもらえませんか?」
「え?うん、いいよ」
「ありがとうございます、ご主人さま」
チュッ
私が横を向いた刹那の口キス、その口撃に今度は私の方が顔を紅くしてしまった。
「め・愛緒美…」
「ご主人さま、今のでおあいこですからね」
「あ、うん…」
「ご主人さま、洗い物も終わりましたし、そろそろ二人を寝室に運びますか?」
「うん、もういい時間だしね」
「それじゃあご主人さまは、紅玲菜姉さんをお願いしますね」
「うん、じゃあ愛緒美は杏珠をお願いね」
「はい…あ、やっぱりご主人さま杏珠もお願いできます?」
「え?どうしてだい?」
「先に行って、二人の蒲団を敷いてきますから」
「あ、うん分かったよ」
ひょいっ
私は紅玲菜をお姫様だっこで持ち上げた。
「それじゃあ行こうか」
「………」
「ん?愛緒美?」
「え?あ、はい」
………
「ご主人さま、こちらにお願いします」
「うん」
ぽふっ
私は愛緒美が敷いた蒲団へと紅玲菜を降ろした。
「それじゃあ、杏珠も連れてくるね」
「はい」
………
「ご主人さま、杏珠はこちらにお願いしますね」
「あ、うん」
言われるままに杏珠を蒲団へ降ろす私。
「それじゃあ、明日も早いしそろそろ私たちも寝ようか」
「あっ…」
「どうしたんだい?愛緒美」
「ちょっと…廊下で待っていてもらえますか?」
「え?いいけど…」
…数分後
「ご主人さま、いいですよ」
「うん」
すすすすす
と、襖を開ける私。するとそこには…
「ん?枕なんか持ってどうしたんだい?」
パジャマ姿で枕を持った愛緒美の姿があった。
「ずるいです」
「え?」
「姉さんたちばっかりずるいです」
「どういう…」
「姉さんたちばっかり、お姫様だっこで運んでもらうなんて」
「つまり…」
「私を悲しませた罰です、ご主人さま」
「…分かったよ、愛緒美」
ひょいっ
私はそのまま愛緒美をお姫様だっこで持ち上げ、天使の部屋から出ていった。
パチッ すすすすす
そのまま愛緒美が電気を消して襖を閉じて、私の部屋へと向かった。
………
「襖、開けてくれる?」
「はい…」
すすすすす パチッ
抱かれた状態のまま襖を開け、電気をつける愛緒美。
「よっと」
ぽふっ
私は蒲団へと愛緒美を降ろした。
「つまり…一緒に寝たかったんでしょ?」
「はい…」
「いいよ、ちょっと向こう向いててね」
と、愛緒美が反対側を向いたことを確認して、私はパジャマへと着替えた。
「よし、じゃあ寝よっか」
「はい…」
パチッ ふぁさっ
その日の夜はそのまま更けていった…。
翌朝…
「行ってきまーす」
「行ってくるからね」
その声に「いってらっしゃい」の声は無い。何故なら…
ぐーくーすー ふーすーぐー
こんな寝息が未だに天使の部屋から聞こえるのだから…
「それで、どこに行きたいんだい?愛緒美」
「えっとですね…ご主人さまと一緒にショッピングをしたいな…なんて…」
「うん、いいよ。じゃあ行こうか」
「はいっ!」
愛緒美は満面の笑みで答えてくれた。
ブルン ブルン ブロロロロロロ…
私の車は、街の方へと向けて走り出していった…
ちょうどその頃、家の中では…
「んっ…んー…あれ?愛緒美は…?」
紅玲菜がやっと起きたようだ。
「あれ…?これは書き置き…」
と、愛緒美の残した書き置きを見つけた紅玲菜。
「なになに…?『ご主人さまと…誕生日のデートに…行ってきます…愛緒美』…か。そういえば…そうだったか…」
紅玲菜は書き置きを置いて…
「それなら…もう少し寝てるか…」
紅玲菜は再び床へと就いた。
そしてここは帰りの駐車場の車の中……
「今日はありがとうございました、ご主人さま」
「いいんだよ、だって一年に一回しかこういう機会はないんだしさ」
「これは今日のお礼です…」
「あ、ちょっと待ってくれるかな?」
「え?あ…はい」
「これ、誕生日プレゼント。買い物とは別だからね」
「え?いいんですか?ご主人さま」
「いいんだよ、開けてみてよ」
がさがさがさ
袋の口を開ける愛緒美。
「これって口紅…それも私の欲しかった…」
「そうだよ、愛緒美にはいつまでも綺麗でいて欲しいし。それに…」
「それに、何ですか?」
「今キスをするなら、それをつけてして欲しかったからさ」
「え…あ、はい」
かちゃっ ぬりぬるるる
唇が仄かなピンク色に染まる愛緒美。
「ご主人さま…」
「うん…」
チュゥゥッ
私と愛緒美は降りゆく雪が溶けてしまいそうなくらい、温かく…そして長き時のキスをした…
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あとがき
これが今年最後のSSかな、雅です。
愛緒美の誕生日もそろそろなので、愛緒美BSSとなりました。
今日は学校が…休みじゃないんですよ(泣)
ま、その分更新が出来たんで良しとしたいです。
ん〜…それにしても前置きが書いてたら楽しくなって長くなっちゃったなぁ…。
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2004・12・23THU/NAT
雅