Inebriety Birthday(酔いの誕生日)

「…どうしよう…これ…」
私はこの状況を目の当たりにして、茫然自失していた。その状況を作り上げた3人の天使たちは…
「くぅ…ご主人さまぁ…」
「くすくす…ご主人さま…」
「ふふふっ…ご主人さま…」
3人とも顔を紅くして、横になっていた。
「しょうがない、一人で片付けるか…」
私は少し苦笑をして、そこを片付け始めた。
………
「「「ご主人さまお誕生日おめでと〜!!!」」」
「…ありがとう…みんな…」
今日は5月2日、私の誕生日である。
「ご主人さま〜、ろうそく消そうよ〜」
「うん、そうだね。じゃあみんなで消そうか」
「「「は〜い」」」
フーーーー
「「「おめでとう、ご主人さま」」」
「ありがとう、みんな。じゃあ食べようか」
「そうですね」
「うん…」
「「「「いただきまーす」」」」
と、食べ始めたのまでは良かったのだが…。
プシュッ
「あれ?ご主人さま、そのチューハイどうしたんです?」
「いや、どうせ20歳の誕生日だからさ、記念に飲んでおこうかと思ってね」
「あ〜、ご主人さまばっかりずるーい」
「杏珠…アタシたちの飲むものじゃない…あれは」
「えー、どうして?」
「あれは…20歳を越えてからなんだ…」
「しょうがないな…愛緒美、コップを3つ持ってきて」
「え…はい」
トンットンットンッ
私の前へと3つのコップが置かれた。
プシュッ
私はもう一缶のチューハイを開けて…
シュワーー  シュワーー  シュワーー
3つのコップへと注いだ。
「はい、紅玲菜」
「え…うん」
「はい、愛緒美」
「…はい…」
「はい、杏珠」
「わ〜い」
「…いいのかい?ご主人さま」
「うん。本当はダメだけど、今日は特別だからね」
「ありがとっ、ご主人さま」
「それじゃあ…」
「「「「カンパーイ!」」」」
カン チン キーン カン チャン カン
ごくっごくっ ごくっごきゅっ んくっごくんっ
コップの中の液体を飲む三人…そうして事態は急変を見せた。
「ご主人さま〜…このジュースもっと飲むぅ…」
「え…杏珠…ダメだよ、今飲んだ分だけだからね」
「えー…もっと飲むぅ」
「ダメって言ったらダメだよ」
ひょいっ
そんな中私の手から缶を奪っていく手。そして…
ごくんごくんっ
「んー…美味しいです…ご主人さまぁ…」
「こーら、愛緒美っ!」
ひょい
再び缶を奪い返す私。
「いいじゃないですかぁ…もっと飲ませてくれたって…」
「ダメなものはダメだよ、紅玲菜…二人を止めてっ…って紅玲菜ぁぁ…」
ひょいっ
今度は紅玲菜が私の缶を奪っていった。
ごくっごくっごくっ
「はー…美味し…」
「こーら、紅玲菜も」
「ご主人さまと…間接キス…」
ぽっ
少しだけ顔を紅く染める紅玲菜。
「ダメだ…自分の世界に入っちゃってるよ…」
「間接キスいいなぁ、杏珠もっ!」
パッ
紅玲菜から缶を奪う杏珠。
ごくっごきゅんごきゅんっ
「みんな…いいかげんにしてくれよぉ…」
もうこの状況は止まりそうにないようであった。
「杏…んむうっ!?」
杏珠に注意しようとした瞬間に唇に別の唇の感触が乗っかってきた。
ちゅっぷちゅっくちゅぅっちゅっちゅっちゅぅっ
「はぁ…ごちそうさま…ご主人さま…」
「ぷはっ…く…紅玲菜…」
「あー、ずるいです紅玲菜姉さん、私もっ!」
「えっ!?えっ!?愛緒美っ!?」
ちゅうっちゅっれろれろちゅくっちゅぷっちゅうっ
「んはぁっ…ごちそうさまです、ご主人さまぁ」
「んふうっ…愛緒美っ…」
「お姉ちゃんたちずるいぃ、杏珠も〜」
「うっ!杏珠っ!?」
ちゅうっちゅっちゅっちゅぅぅぅちゅっちゅうぅぅ
「ぷはあっ…ご主人さま美味しかったよ〜」
「杏珠まで…」
ぱたんっ どたんっ ばたんっ
と、お酒がすっかり回ってしまったのか、3人の身体が床へと倒れた。
「ふう…やっと落ち着いたみたいだな…」
あれだけ騒いでいた3人も…
「すぅ…すぅ…」 「くぅ…くぅ…」 「ぐぅ…ぐぅ…」
「(やっぱり可愛いな…)」
この少し紅くなっている天使の寝顔を見ると、怒れないなと感じる私であった。
………
「さて、そろそろこの天使たちを蒲団に寝かせてあげるとするか」
片付けもあらかた終わり、やっと寝られる体勢になった。
「よし、まずは杏珠だな」
ひょいっ
杏珠をお姫様抱っこして…
ぽふっ
隣の部屋に3枚敷いておいたうちの奥の蒲団と降ろした。
「それから、愛緒美っと」
ひょいっ
愛緒美もお姫様抱っこして…
ぽんっ
隣の部屋に3枚敷いておいたうちの真ん中の蒲団へと降ろした。
「最後に、紅玲菜だな」
ひょいっ
紅玲菜もお姫様抱っこして…
ぱふっ
隣の部屋に3枚敷いておいたうちの手前の蒲団へと降ろした。
ぱたんっ ぱさっ ふぁさっ
それから3枚の蒲団をそれぞれに掛けてあげて…
「おやすみ…私の可愛いみんな…」
パチっ
部屋の電気を落とした。
「さーて、私も寝るとするかな」
そしてこの日の夜は更けていった…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
Happy Birthday to meです。
ひさしぶりだなぁ…BirthdaySSを当日に出すっていうのも(2002ももBSS以来)
今回、私が二十歳になりましたので、こんな感じのSSになりました。
はぁ…もう二十歳かぁ…感慨深いです、あらためて考えると。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2003・05・02SUN
短編小説に戻る