Liquid Sunshine(天気雨)
ピチョンっ
「んっ!」
「ふえ?どうしたんれすか?あかねさん」
「ん?ああ…ちょっと雨が頬に当たっただけさ…」
少しの曇り空の下、あかねとみどりとご主人さまはおつかいに出ていた。
「はいあかね、ハンカチ」
「あ・ありがとう…ご主人さま…」
「れも、変れすねぇ…」
「ん?何がだい?みどり」
「らって、お空はあんなに晴れてるんれすよ」
「そういえば…そうだな…」
「狐の嫁入り…かな…」
「えっ…(ぽっ)」
あかねの頬が、みるみるうちに紅くなってきた。
「狐の嫁入りって何れすか?」
「こんな風に、天気の時に雨が降ることだよ」
ピチョンピチャン
「って…雨れすよーご主人さまぁっ!」
「ふ・二人とも、あのあずまやまで行くよっ!」
「う・うん…」 「はいれすっ!」
ぎゅっ ぎゅぅっ
ご主人さまは二人の手を握った。そして、あずまやへと急いだ。
………
あずまやの中に入った三人…
「ふえ…ちょっと濡れちゃったれすねぇ…」
ぱっ
と、みどりはご主人さまから手を放した。が…
「………」
その一方で、手を握ったままなかなか放そうとはしないあかね。
「ん?どうしたんだい?あかね」
「はえ?あかねさん、顔が真っ赤れすよ〜」
「ご・ご主人さま…」
「何だい?あかね」
「私の嫁入り…なんだよね…?」
「え・あっ…」
「どんなふうなのかなって…想像してた時に…ご主人さまが握ってくれたから…」
「あかねさんの、お嫁さん姿れすかぁ」
「そういえば前に見せてもらった、みどりのウェディングドレス姿※は可愛かったな」
「うう…もうその事は言わないれくらさい、ご主人さまぁ…恥ずかしいれすよぉ」
「でも、あかねのあんな姿も見てみたいな」
「え…」
「あっ!そうれすっ!」
「どうしたんだい?みどり」
「雨があがったら、あのお店に行くれすっ!」
「みどり…」
「うん、それもそうだね」
「ご主人さままで…」
「それじゃあおつかいが終わって、一度家に帰ったら行こっか」
「はいれすぅ!」
と、乗り気なみどり。そして…
「う・うん…。私も…ご主人さまに…見てもらいたいかな…」
また少し頬を紅くしたあかねがそう言った。と…
ぴちょんっ ぴちょんっ
「あ、止んだみたいだね」
「うん…」
「そうれすね」
「それじゃあ行こうか、二人とも」
「そうだね…」
「はいれ…あ…」
「どうしたんだい?みどり」
「虹…れす…」
「え…?あ…」
3人が向いた空には、大きな弧を描く虹があった。
「綺麗だな…」
「きれい…」
「きれいれす…」
3つの心が空へと吸い込まれていった、そんな初冬の時間であった…
※みどりのウェディングドレス姿…サンクチュアリ(管理人:Osanpoさん)寄贈SS「Pearl Green Novia」を参照
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あとがき
ただ何となく、天気雨が降っているところから思いついたのがこのSSです。
ちょっと短くなってしまいましたけど、この二人とご主人さまの掛け合いはやっぱり書きやすいです。
この続き…つまりはあかねの嫁入り姿も、書けたら書いてみようかなとも思いますね。
こんなのも、たまにはいいかなって…ね。
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2004・12・03FRI
雅