I will...(私の望みは…)
それは、巷ではゴールデンウィーク真っ只中な頃のこと…
「ご主人さま〜」
「ん、何だい?杏珠」
「ご主人さまって明日は休みなの?」
「え?明日かい?」
今日は5月1日の日曜日、明日2日は…
「はい、明日はご主人さまの誕生日でしたよね」
「あ、そっか…そういえばそうだったっけ」
「だから…明日はどうなの…?」
「明日は確か…授業が入ってたかな」
「えー、ご主人さま休みじゃないの?」
「先週休講だった授業があって、今週必ずあるって言ってたからさ」
「そうですか、ゴールデンウィークなのに大変ですね、ご主人さま」
「まあしょうがないさ、大学って特に総合大学だとそう関単に全体でってわけにはいかないしさ」
「そっか…編入だし忙しいんだよね…ご主人さまって…」
「え、うんまあ自分で選んだ道だしさ」
「ご主人さま、おつかれさまだよっ」
「うん、ありがと杏珠」
「それなら、ご主人さまが帰って来るまでに準備しておきますね」
「あ、うん」
「それで…何時くらいに帰って来るんだい…?」
「確か4限だから…5時くらいになると思うよ」
「そうですか…分かりました、じゃあ明日は腕によりをかけて作りますね」
「うん、期待してるよ、みんな」
「うん…楽しみにしてて…」
こうしてその夜は更けていった…
そして翌日…
「それじゃあ行ってくるから」
「「「行ってらっしゃ〜い!」」」
三人の声に見送られ、私は家をあとにした。
「ご主人さま、行っちゃったね」
「そうね、杏珠。じゃあ準備始めましょう」
「そうだな…」
「お酒はどうしましょうか?」
「う…去年みたいな事は…避けないとな…」
「え?去年って?」
「杏珠、覚えてないのか…?去年…ご主人さまに迷惑をかけた…」
「あっ…」
その光景を思い出し、少し顔を紅くする杏珠。
「だから、どうしようかって思うんですけど」
「うーん…それはご主人さまに任せた方が…良いような気がするけど…」
「杏珠もそう思うよっ」
「それじゃあお酒の件は、ご主人さまに任せることにしましょう。あ、でも…」
「でも、なあに?愛緒美お姉ちゃん」
「紅玲菜姉さんも杏珠も、本当は飲んじゃいけないんだからね」
「…うん…」
紅玲菜も少しだけ顔を紅く染めた。
「それじゃあ準備始めましょうか」
「うんっ!」
「そうだな…」
三人はめいめいに私を迎えるための準備を開始した…
ガチャッ
「ただいまー」
「「「おかえりなさーい」」」
三人の天使が私を笑顔で出迎えてくれた。
「ご主人さま、かばん持つね」
「あ、ありがと杏珠」
「ご主人さま、お風呂が用意できてますけど入られます?」
「んー、そうだね。先に入らせてもらうよ」
「じゃあアタシが着替え持っていくから…ご主人さまはお風呂場に行ってて…」
「うん、そうさせてもらうね」
そのまま私は風呂場へと向かっていった。
「ご主人さま…ここに置いておくから…」
「ありがとう、紅玲菜。もうすぐあがるからね」
ガラス戸越しに会話する私と紅玲菜。
「うん…みんなに伝えておくよ…」
スーー
と、洗面所の引き戸を閉める紅玲菜。
ジャーーー キュッキュッキュッ ガラガラガラ
「ふー、気持ちよかった…」
それを受けて私は風呂場から出た。
きゅっきゅっきゅきゅっ ススススススス つつつつつつつ
私は髪と身体を拭いて、服を着て洗面所を出ていった。
リビングに行くと、すでに三人の天使が私のことを待っていてくれていた。
「ご主人さま早く早くっ!」
「うん、杏珠」
私は食卓の椅子へと着いた。
「「「ご主人さま、お誕生日おめでと〜!」」」
三人のこの言葉…何よりも嬉しい言葉であった。実に愛緒美・紅玲菜にとっては4回目の、杏珠にとっては3回目の私の誕生日になるのだ。
「ありがとう…みんな…」
カチッ ポッ…ポッ…ポッ…
紅玲菜の手で大きな二本の蝋燭と小さい一本の蝋燭に火が灯された。
「ご主人さま」 「ご主人さまっ」 「ご主人さま…」
三人の視線が私へと注がれた。
「うん」
フーーーー
私は3本の蝋燭を吹き消した。
「「「ご主人さま、お誕生日おめでと〜!」」」
「ありがとう、みんな。それじゃあ食べよっか」
「うんっ!」 「はい」 「そうだね…」
「それじゃあ…」
「「「「いただきま〜す!」」」」
………
食事も終わり…まあいつもの如く紅玲菜と杏珠はお酒の毒牙に飲まれてしまったわけで…。
「ご主人さま」
「何だい?愛緒美」
「これ、私たちからのプレゼントです」
「え…あ、ありがとう…。開けてみて良いかな?」
「どうぞ、ご主人さま」
ペリッ ガサガサガサ
紙袋から出てきたのは…
「私の好きな色、覚えててくれてたんだね」
「はい、なかなか見つからなくていっぱい探しました」
それは薄紫色と薄翡翠色のシャツであった。
「ありがとう…紅玲菜…」
チュッ
寝ている紅玲菜の頬へと…
「そして杏珠…」
チュッ
そしてこちらも寝ている杏珠の頬へと…
「それから愛緒美…愛緒美だけ、起きてるから特別だよ」
チュゥッ
愛緒美だけは特別に唇へと口付けをしてあげた。
「ご主人さま…」
「いいんだよ、愛緒美。じゃあ片付けよっか」
「はい、手伝って…もらえますか?」
「うん、いいさ」
私と愛緒美は片づけをするために立ち上がった…
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あとがき
Happy Birthday to meです。
20日ぶりのSS…どーもサボり癖が治りません
私ももう21…21歳ですよ。子供の頃はこんなの遠い事だと思ってましたけど…
時が過ぎるのは速いものです、本当に。
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2005・04・22SUN 初版
2005・07・09SAT タイトル差し替え
雅