Under the Galaxy Celestial(銀河の空の下で)

「お兄ちゃーんっ!」「兄さーんっ!」「雅兄ーっ!」
私が新潟駅前のバス停に降り立つと、よく見知った顔が三人。
「三人とも来てくれたんだ」
「はい。お疲れ様です、ごしゅ…じゃなくて…兄さん」
「お兄ちゃん、杏珠が荷物を持つよっ」
「あ、ありがとう杏珠」
「どうだった…?雅兄」
「んー、出来てると思うけどな」
「どうだったって…、盛岡のことだよ…」
「あ、そっちのことかい?それは家に帰ったらゆっくり話してあげるさ、お土産もあるしね」
「わ〜い、お土産だ〜いっ」
「こらっ…杏珠っ」
「まあまあ、紅玲菜も怒ることはないさ」
「それじゃあ帰りましょうか、兄さん」
「うん、そうだね」
と、私と三人は家へのバスが出るバス停へと向かっていった。
 
そして夜…
「「「「いただきまーす」」」」
食卓を囲む私と三人の守護天使。
ぱくっんぐっもぐっ
「ああ…久し振りの味だなぁ…」
「美味しいですか?ご主人さま」
「うん」
「良かった、みんなで作ったかいがありました」
「あ…そうなんだ?」
「サラダは杏珠が作ったんだよ〜」
「あたしは…御飯とおみそ汁…」
「私はおかずです、ご主人さま」
「そっか…みんな、ありがとね」
チュッ チュッ チュッ
私は3人の頬にそっとキスをしてあげた。
「「「ご主人さま…」」」
3人とも微睡みの表情になってしまった。
「ほらほらみんな、食べようよご飯」
「あっ、そうだねご主人さま」
「うん…」
「そうですね」
 
…そうして食事も終わり…
「ご主人さま…盛岡はどうだった…?」
「あ、そうだね。盛岡はいいところだったよ。空気は良いし、食べ物は美味しかったし」
「それから、それからっ?」
「何だかのんびりできる街だったね、新潟と何かが違ってたよ」
「そうですか、私も行ってみたいです」
「まあ、みんなで行くのは難しいかもしれないけど…考えてみようかな」
「うん…」
「そうだこれ、みんなへのお土産だよ」
とんっ
「ありがと〜」 「ありがとうございます」 「ありがと…」
3人は三者三様のお礼で受け取った。
「これは、煎餅ですか?」
「うん、向こうで食べて美味しかったからさ」
「わーい、おっせんべおっせんべっ!」
「みんなへってことは…ご主人さまもしかして…一人ずつにもあるの…?」
「あ、うん」
「え、なになに?ご主人さま」
「あ、それなんだけど…後で一人一人部屋に来てくれるかな?」
「え、どうしてですか?」
「一人一人に渡したいからさ、まぁ寝る前でもいいから部屋に来てね」
「「「はーい」」」
「あ、忘れてた。これもあったんだ」
とんっ
「これって、冷麺ですか?」
「うん、冷麺とジャージャー麺とわんこ蕎麦のセットだよ」
「美味しそうだよぉ〜」
「私が居ないときに、みんなで食べてね」
「え…いいの…?ご主人さまは食べないで…」
「いいんだよ、私は向こうで食べてきたからさ」
「はい、分かりました。じゃあ、ご主人さまのいない時に戴きますね」
「あと、これも」
とんっ
「これ…なぁに?ご主人さま」
「途中で仙台にも寄ったからさ、そこで食べてきた店の牛タンの箱詰めさ」
「こんなのいいんですか?高かったですよね?」
「いいのいいの、これもみんなで食べて」
「うん…」
「じゃあ、えっと…お風呂は沸いてるかな?」
「はい」
「それじゃあ入ってくるから、誰か寝巻きを用意しておいてくれるかな?」
「杏珠が用意する〜」
「じゃあ、上がるまでにお願いね」
「うんっ!」
 
私は風呂を上がり、自室へと戻っていった。すると…
かちゃんっ
「ご主人さまぁ…」
眠そうな眼をして杏珠が部屋へと入ってきた。
「杏珠、眠たそうだね」
「ん〜、眠いよぉ…」
「あ、ちょっとこっちに来て」
「え?なになに?」
ガラガラガラ
と、私と杏珠はベランダへと出た。
「どうしてベランダなんかに出たの?ご主人さま」
「いや、なんとなく…ね。星が綺麗だしさ」
「うわぁ…本当だね」
空には満天の星…宛ら銀河のお祭りかのように…。
「はいこれ、杏珠へのプレゼントだよ」
ぽんっ
私は杏珠の手をとって、手の平の上に琥珀石の入ったブレスレットを置いてあげた。
「え?杏珠がこんな綺麗なの、もらってもいいの?」
「いいんだよ、杏珠」
「ありがと〜、ご主人さま」
チュッ
杏珠は私へと軽く口づけをした。
「どういたしまして、じゃあおやすみなさい杏珠」
「うんっ、おやすみなさいご主人さま」
かちゃんっ
と、その杏珠と入れ替わりに入ってきたのは…
「ご主人さま、今日は色々とお疲れさまでした」
「あ、愛緒美。愛緒美こそ今日はお疲れさま」
愛緒美である、どうやら彼女も眠たそうだ。
「愛緒美、こっちに来て」
「あ、はい」
私は愛緒美もベランダへと呼び寄せた。
「あ…何だか綺麗ですね、この夜空」
「うん、何だか久し振りだな…こんな星空を見るのもさ」
私と愛緒美はしばらくその空に見入ってしまっていた。
「あ、そうだ。これ、愛緒美へのプレゼントだよ」
私はポケットからそれを取り出して…
カチッ
そっと愛緒美の首の周りに腕を回して、その琥珀石入りのネックレスを付けてあげた。
「あ…ありがとうございます…」
チュッ
愛緒美は気恥ずかしさからか、私の瞳を見ないように目を閉じてキスをした。
「どういたしまして、大切にしてね」
「はい」
「それじゃあおやすみ、愛緒美」
「はい、おやすみなさいご主人さま」
かちゃっ
そうして出ていった愛緒美の次に来たのは紅玲菜である。
「ご主人さま…」
「あ、紅玲菜。紅玲菜もこっちに来て」
「うん…」
紅玲菜もベランダの方に呼び寄せた。
「ご主人さま…綺麗だね…星…」
「うん…紅玲菜も…ね」
「そんな…恥ずかしいよ…」
紅玲菜は少しだけ顔を紅くした。
「ま、ちょっと私も恥ずかしいけどね」
「そういえば、プレゼントって…?」
「あ、そうだった。んーと、ちょっと目を瞑っていてくれるかな?」
「え…うん…」
パチッ パチッ
「いいよ、紅玲菜」
「…あ…ご主人さま…」
紅玲菜は耳を触った。そう、彼女の耳に私は琥珀の入ったイヤリングが付けたのだ。
「ありがとう…ご主人さま…」
チュッ
紅玲菜も私を見ないようにキスをして、私の胸へと顔を埋めた。
ポフっ なでなで
私はそんな紅玲菜の頭に手を乗せて撫でてあげた。
「ん…ご主人さま…」
「ん、何だい?」
「何でもない…やっぱり…」
「え?」
「いいんだ…おやすみ、ご主人さま」
「あ、うん…おやすみ」
ばたんっ
「…まあいっか。それじゃあそろそろ寝ようかな」
そうして私は、琥珀の入った指輪をして眠りについた。銀河の星々はそんな私たちを穏やかに灯し続けていた…。
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あとがき
受験後初のSSになりますか、お久しぶりです…雅です。
今回はその受験先岩手のネタです。
琥珀は、岩手県久慈産が有名ということで使いました。
あと、タイトルの「銀河」は、ある岩手県出身の作家の作品名に掛けて使いました。
まだまだ、私のSS熱は冷めませんよっ!
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2004・07・16FRI
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