Summer Flower(夏の花)
「みんなー、そろそろ行くよー」
私が玄関でそう言うと、
「「「はーい」」」
3つの揃った声が聞こえてきた。
時は夕方の5時、夏の暑さが残るこの時間帯に私達4人は、ある物を見に行くこととなっていた。
「雅兄…お待たせ…」
最初に来たのは紅玲菜。彼女は薄青地に鈴蘭柄の浴衣で、それが彼女の銀髪にとてもよく映えていた。
「うん、よく似合ってるよ紅玲菜」
「………(ぽっ)」
紅玲菜は照れて少し顔を紅くした。
そんなことをしていると…
「お兄ちゃ〜ん、お待たせだよっ」
今度は杏珠がやってきた。彼女の浴衣は黄色地に向日葵柄で茶髪によく合っていた。
「うん、杏珠もよく似合ってる」
「ありがと〜お兄ちゃんっ」
そして最後に…
「雅裕兄さん、お待たせしました」
もう一人の天使の愛緒美がやってきた。彼女は薄赤紫色地に朝顔の模様。彼女は黒に若干碧みがかった髪、よく似合っている。
「うん、いい感じじゃない愛緒美」
「ありがとうございます…」
そんな私はといえば、白地に紺の編目模様のオーソドックスなもの。
「それじゃあみんな、持ち物は持った?」
「「「はい」」」
「それじゃあ行こう」
「「「はーい」」」
今日は8月2日、偶然花火の観覧席のチケットが4枚手に入ったので、これから私達4人は花火見物をしにいくのである。
「ふー、ここだここだ」
私たち4人はようやく会場へと着いた。
「お兄ちゃん、花火ってどっちから上がるの?」
「えっと…川の方だからあっちだね」
「雅裕兄さん、その前に…夕食にしません?」
「うん、そうだね。早めに食べてゆっくり見ようか。…と私からもその前にっと…ちょっと食べ物をどけといて」
「あ、はい」
シューーー シューーー
4人の体に虫除けのスプレーがかけられた。
「あ…ありがとう…雅兄」
「ありがとうございます、雅裕兄さん」
「ありがと〜、お兄ちゃん」
「どういたしまして、それじゃあ夕ご飯を食べようか」
「「「はーい」」」
夕ご飯も食べ終わり…
「お兄ちゃ〜ん、まだぁ?」
「ん…もうそろそろのはず、5時半ってHPに載ってたしさ」
その瞬間…
ドン ピューーー パッ………
空に一輪の大きな花が咲き誇った。
「…きれーだぁ…」
「…綺麗です…」
「…綺麗…」
「…はぁ…綺麗だなぁ…」
私たち4人は炎の織り成す光のページェントに、ただただ見惚れるばかりであった。
パッ………
最後の花火も終わり、兵どもが夢の跡、周りは静寂を取り戻した。
「綺麗だったね、お兄ちゃん」
「うん、本当によかった…ね」
「雅裕兄さん」
「ん?何だい、愛緒美」
「家に帰ったら…あれやります?」
「えっと…まだ残ってたっけ?」
「確か…物置にしまってあったはず…」
「よし、家に帰ったらそれをやろうか」
「「「はい」」」
ジジジ パチパチパチ シューーー チチチチチ
「杏珠、愛緒美、紅玲菜、火には気をつけてね」
「「「はーい」」」
私たち4人は家に帰った後、物置にしまってあった花火セットの残りを取り出した。ああいう大きな花火もいいが、やっぱりこうして間近で見る花火というのもいいものである。まだまだ夏は長い、彼女たちの笑顔はそんな夏に負けないパワーを私に与えてくれるようだ…。
「「「ご主人さま」」」
「何だい?みんな」
「「「今日はありがとう、ご主人さま」」」
チュッ チュッ チュッ
3方からのキス、それは今日の花火のように心に残りゆくものであった…。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
4本目となりましたオリジナル守護天使のSSです。
長岡まつり…もうすぐです…その花火大会が今回の題材です。
企業実習等の関係で短くはなりましたが、まぁいいか。
企業実習も今日で7日目/12日、いよいよ後半戦になりました。
頑張りますっ!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2003・07・30WED
雅