At The Cherry-blossom Viewing(花見の頃)

それは四月のある休日のこと…
「ご主人さまーっ!」
「ん、何だい杏…」
ぼふっ
突然、私の胸に杏珠が飛び込んできた。
「うわっ、杏珠どうしたの?」
「ご主人さま、今日は暇なんだよね?」
「あ、うん。でもそれがどうかしたの?」
きゅっきゅっ
「ご主人さま、今日はみんなでお花見にでも行きたいなって、さっき話してたんです」
「愛緒美、洗い物ごくろうさま。あ、そういうことだったんだ」
「行こうよ…ご主人さま」
「あ、紅玲菜も洗濯おつかれ。そうだね、たまにはそういうのもいいかもね」
「うわぁーい、おっ花見だぁいっ!」
「こら杏珠…そんなにご主人さまの上で騒ぐんじゃないよ…」
「あ…ごめんなさい、ご主人さま」
「いいよいいよ杏珠。愛緒美、お弁当って作れるかな?」
「あ、はい。どれくらいでしょう?」
「そんなに多くなくていいけどね。まぁ5人分くらいあればいいと思うよ」
「え、何で一人分多いのですか?」
「だって…杏珠がいるじゃないか…」
「あ、そうですね紅玲菜姉さん」
「じゃあ愛緒美、用意できるかい?」
「はい、それくらいならなんとか…」
「それじゃあみんなで準備しよっか」
「「「は〜い」」」
 
一時間後
「紅玲菜、愛緒美、杏珠、準備は出来た?」
「うん、いいよー」
「いいですよ、ご主人さま」
「はい…大丈夫…」
「じゃあ行こっか」
「「「はーい」」」
ガチャ
4人は花見の場所へと向かっていった。
 
「う〜ん、よかった。まだ空いてるよ」
その場所は「有久山」という、その県内ではかなり有名な花見の場所であった。
「ご主…じゃなかった…お兄ちゃん、あの辺にしようよ〜」
「うん、そうだね杏珠」
ぱんぱんっ
私は手際よくシートを敷いた。
「みんな、いいよー」
「ありがとうございます、雅裕兄さん」
「ありがとう…雅兄…」
ぽふっ
「あー、ようやく落ち着いたなぁ」
「そうですね、ゆっくりと休みましょう」
「雅兄…何か飲む?」
「うん、じゃあ貰えるかな」
コポコポコポコポ
「はい、お兄ちゃん」
「ありがとう杏珠」
ゴクッゴクッゴクッ
「あー美味しいよ、みんなも飲みなよ」
「はい」
コポコポコポコポコポコポ
3人のコップと私のコップに飲物が注がれた。
「それじゃあ…」
「「「「かんぱ〜い」」」」
「ゴクッゴクッ、あーおいしー」
「ゴクッゴクッ、うん、美味しいわね」
「ゴクッゴクッ、うん…美味し…」
「花はちょっと少ないけれど…この雰囲気はいいね…みんな」
この日の花はまだ八分咲きであったが、花を楽しむには充分であった。
 
時はお昼になり…
「ね〜お兄ちゃん、お腹すいたよぉ」
「あ、もうお昼なんだっけ杏珠」
「雅裕兄さん、そろそろお昼ご飯にしましょうよ」
「雅兄…はい…お弁当…」
「ありがとう紅玲菜、それじゃあ昼ご飯にしようか」
「あ、ご飯の前に…はい、雅裕兄さん」
「おしぼりかぁ…準備がいいね、愛緒美」
「ありがと〜愛緒美お姉ちゃん」
「ありがと…愛緒美…」
「どういたしまして、それではいただきましょう」
とんとんっ
4人の真ん中に重箱が置かれた。
「「「「いただきま〜す」」」」
「ぱくぱくっ…んぐっんぐっ、おいし〜」
「まあ、杏珠ったら」
「ぱくっ…あ、このおにぎり美味しい」
「雅兄…それ、あたしが作ったやつ…」
「あ、これは紅玲菜が作ったんだ…うん、塩加減もちょうどよくて美味しいよ」
ぽっ
いつもは冷静な紅玲菜の頬が紅く染まった。
「お兄ちゃん、杏珠が作った卵焼きも食べてよ〜」
「雅裕兄さん、私が作った唐揚げも食べてね」
「もちろんだよ、それじゃあまず卵焼きからっと」
「どおどお?ご主人さま〜」
「うん、甘くて美味しいよ。上手に出来たね杏珠」
なでなで
私は杏珠の頭をやさしく撫でてあげた。
ぽっ
そんな杏珠も顔を紅く染めてしまった。
「それじゃあ今度は、愛緒美の唐揚げをもらおうかな」
「はい、雅裕兄さん」
「ありがとう愛緒美」
「お味はどうですか?」
「中はジューシーで皮はパリパリ、美味しいの一言だよ」
「あ…ありがとうございます。そこまで言ってもらえると、嬉しいです」
ぽっ
愛緒美も頬を紅くしてしまった。3人の紅い頬は桜の色によく映えていた。
「何だかみんな、顔が紅いね」
「それは…雅兄が美味しいって言ってくれて…嬉しかったから…」
「あ、そうだ。ちょっといい?紅玲菜姉さん、杏珠」
「なぁに?愛緒美お姉ちゃん」
「どうしたんだい…愛緒美」
そこで愛緒美は小声になって…
………をしてご主人さまの顔も紅くしましょ
うん…そうだな
杏珠も賛成だよっ
「それじゃあ、せーのっ!」
「えっ!?えっ!?」
チュッチュッチュッ
杏珠は私の唇に、愛緒美と紅玲菜は私の頬にそれぞれキスをした。私もこの攻撃には顔を紅くするしかなかった。
「雅兄…これでおあいこだね」
「う…うん」
「さぁ、雅裕兄さんも紅玲菜姉さんも、お昼の続きを食べましょうよ」
「そうだね」
 
時は夕刻になり…
クー スー
「あ、杏珠は寝ちゃったんだ」
「そうですね、可愛い寝顔ですね」
「じゃあ私が杏珠をおぶっていくから、愛緒美と紅玲菜は荷物をお願い」
「はい、雅裕兄さん」
「うん…雅兄」
こうして私達4人は家路へと戻った。その顔は夕日でさっきとは違う朱に染まっていた。
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あとがき
ふ〜、初となったオリジナル守護天使のSS、いかがだったでしょうか?
ま、いずれ出会いと別れについても書きますがね…。
あ、ちなみに読めば分かると思いますが、私こと作者は「雅裕」という名前です。
まぁそれはあゆみのBSSを読んでいる人はご承知でしょうが…。
ではでは〜。
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2003・03・24MON
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