Pearl green novia (パールグリーンの花嫁さん)
「ふえ…」
みどりはお散歩の途中、ある店の前で立ち止まった。そこはとある小さな貸衣装店であった。
「きれいれす…」
その中でも特にみどりが注目したもの、それは…
「あれって…結婚式の時に着る服れすよね…」
そう、ウェディングドレスであった。
「れも…みどりさんにはまだ早いれすよね…」
と、みどりがそこを去ろうとした時…
ウィーン
自動ドアが開いた、そして…
「そこのあなた?」
中から店員さんらしき人が出てきた。
「ほえ?みどりさんのことですか?」
「そうよ、何か見ていたみたいだけど?」
「ちょっとお店の中のウェディングドレスを見ていたのれす」
「そう…綺麗でしょう?」
「はいれす…とってもきれいれす…」
「んー…そうね…ちょっとお店の中にいらっしゃい」
「え?いいんれすか?」
「いいわよ、いらっしゃい」
ウィーン
二人は店の中へと入っていった。
「ふえ…いっぱい色んな服があるれすね…」
左を見ても衣装、右を見ても衣装、それに見入るみどりであった。
「そうね、でもこれくらいないとやっていけないもの」
「ほえ?もしかして、お姉さんは店長さんれすか?」
「そうよ、小さいお店だけどね」
「凄いれすお姉さん…こんなお店を開いているなんて」
「そうでもないわよ。あ、そうだ…あなたのお名前は?」
「えっと、みどりさんはみどりさんれすよ」
「え…みどりちゃん?実は…私の名前も『みどり』なのよね」
「ほえ、そうなのれすか?」
「そうよ、私の名前は三奈純碧莉〈みなすみみどり〉なの」
「それじゃあ碧莉お姉さん…れすね」
「ん…そうね」
「アハハっ…何らか嬉しいれす、みどりさんと同じ名前のお姉さんだなんて」
「フフフ…そうね、みどりちゃん」
みどりと碧莉は嬉しそうに微笑んだ。
「えっとみどりちゃん、身長と胸囲はどれくらいかしら?」
「んー、身長は153cmれすけど、胸囲は分からないれす…」
「それならちょっと、そこに座って待ってて」
「はい、待ってるれすよ」
しばらくすると…
「おまたせ、みどりちゃん。ちょっと立ってくれる?」
「こうれすか?」
「そう、それでいいわ」
しゅしゅしゅしゅしゅ きゅっきゅっ
「ん、何らかくすぐったいれす…」
「ちょっと我慢しててね。うん、胸囲はこれくらいね。あ、ちょっと胴囲も測らせてね」
「いいれすよ」
しゅしゅしゅしゅしゅ きゅっきゅっ
「はい、いいわよ。それじゃあまた待っててね」
そして店の奥では…
「えっと…ここらへんに155cm用の衣装が…あ、あったわ」
ススススス
碧莉はクローゼットを開いた。
「んー、どの色にしようかしら…あっ!」
かたん
そして碧莉はとある色のドレスを手に取った。
「うん、これでいいわね」
そのドレスを近くに掛けて、店の奥から戻っていった。
「お待たせ、みどりちゃん」
「はい、碧莉お姉さん」
「ちょっと店の奥にいらっしゃい」
「え、いいんれすか?」
「いいわよ、今日は特別ね」
二人は店の奥へと入っていった。
…そして数十分後…
「はい、みどりちゃん。出来たわよ」
と、鏡を見るみどり。
「…これが…みどりさん…れすか…?」
みどりは少しだけ頬を紅くした。
「そうよ、可愛い花嫁さん」
「んー、何らか恥ずかしいれす…」
みどりの身体はパールグリーンのウェディングドレスに包まれていた。
「そうね…そのまま写真も撮ろうかしら?」
「ふぇぇぇ…は…恥ずかしいれすよぉ…」
「それじゃあやめる?」
「れも…みんなに見せてもあげたいれすし…」
「それじゃあ撮る?」
「れも…」
「でも?」
「いいんれすか?みどりさん、お金も持ってないのに…」
「いいのよ、私が好きでやっているんだから」
「それなら、お願いするれす」
「それじゃあ、こっちにいらっしゃい」
「はいれす〜」
「今日はとても楽しかったれす、どうもありがとうれす」
「どういたしまして、私もみどりちゃんみたいな可愛い花嫁さんが見れて良かったわ」
「そ…そんなことないれすよぉ…」
みどりはまた顔を紅くした。
「それじゃあ、さよなられす」
「うん、またいらっしゃい」
「はいれす、また来るれすよ」
「またね、みどりちゃん」
みどりは碧莉に手を振りながら帰り道を急いだ…。
それから数日後…
みどりとあかねは一緒におつかいに出ていた。そしてそのお店の前を通り過ぎようとした時…
「ふぇぇぇぇっ!?」
「どうしたんだ?みど…りっ!?」
まあ、二人が驚くのも無理はないだろう。あの時に撮ったみどりの写真が大判で飾られているのだから…
ウィーン
二人が驚いた顔をしていると、碧莉が店から出てきた。
「あ、みどりちゃんね。この前の写真、評判が良かったから大判にして飾ったの」
「う…何らか本当に恥ずかしいれすよ…」
「いいじゃない、みどりちゃん。あ、この写真の小さいのが出来てるわよ」
「え、あ、じゃあ貰っていくれす」
「それじゃあ取ってくるわね」
ウィーン
碧莉は店の中へと戻っていった。
「一体、どうしたんだ?みどり」
「この前、撮ってもらったんれす」
「え、ど・どうしてみどりが?」
「それは後で詳しく話すれすよ、あかねさん」
ウィーン
そんな事を言っているうちに、碧莉が二人の許へと戻ってきた。
「はい、みどりちゃん」
「ありがとうれす、碧莉お姉さん」
「それじゃあまたね、みどりちゃん」
「はいれす、また来るれすよ」
みどり達はその場をそそくさと去っていった…
あとがき
どうも、雅です。
今回はちょっと難しかったかな。私の話にしては珍しく、ご主人さまが出てこない話だったので。
テーマが“June Bride”という事で、ウェディングドレスで一作書いてみました。
それで誰に着せるか迷った挙句、やっぱり私の好きなみどりにいたしました。
話の関係上、オリキャラを出しました。名前にちょっと趣向を…凝らし過ぎかなぁ…。
兎にも角にも、読んでいただきありがとうございました。
2004/06/18 Fri Written by 雅