Until Strawberry Sherbet(苺シャーベットになるまで)

梅雨も終わり、夏真っ盛りのある日…
「♪〜らんらんら らららららんららん ららららんらんららららん〜♪」
「楽しそうだね、くるみ」
「そうなの、ご主人さまと出かけられてとーっても楽しいの〜」
「ま、それもそうか」
「ご主人さま〜、次はどこに連れてってくれるの〜?」
「んー…そうだなあ…くるみは何がやりたいかな?」
今日はくるみの誕生日である、二人は一緒にちょっと出ていた。
「くるみはね、ご主人さまと一緒でいーっぱい食べられるところならどこでもいいの〜」
「んーとじゃあ…あそこのラーメン屋にしようか」
「ん〜涎がじゅるりと出ちゃうの、ご主人さま突撃なの〜」
「…(お店の方、ご愁傷様でした…)」
 
それは出かける1時間程前の事…
「ご主人さま〜」
「ん、何だい?くるみ」
「ご主人さま、くるみと一緒に出掛けるの〜」
「え、どうしたんだい?いきなり」
「らんちゃんたちが『今日はくるみの誕生日だから一緒に出掛けたら』って言ってくれたの〜」
「あ、そういうことね」
「らんちゃん、昨日い〜っぱい苺のソースを買ってたの〜。今日の料理も今日のデザートも、と〜っても楽しみなの〜」
「あ、そうだったんだ」
「きっとデザートは苺味のデザートなの、今から考えるだけで涎がじゅるりなの」
「うん、じゃあ邪魔にならないうちに出ちゃおうか」
「はいなの〜」
………
「「行ってきまーす」」
「「「「「「「「「「「行ってらっしゃーい」」」」」」」」」」」
「くるみ、どこに行きたい?」
「もちろんご飯の前の腹ごなしに食べるの〜」
「…それって腹ごなしにならないような…」
「う〜ご主人さま、とにかく行くの〜」
「うん、分かったよ」
 
ということで二人は外にいたわけである。
「いらっしゃいませー」
「ご主人さまは何を食べるの?」
「え、僕かい?じゃあ僕は冷やし中華にしようかな」
「くるみはー、あれにするの」
と、くるみが指したのはジャンボラーメン(5人前)のポスターであった。
「…分かったよ。すいませーん、ジャンボラーメンと冷やし中華一つずつお願いしますー」
「あいよー」
…10分後、ご主人さまが見たのは店主の青ざめた顔と賞金の1万円が入った封筒であったという…。
「あ・ありがとうございやしたー…」
ガラガラガラ
「次はどうする?くるみ」
「次は〜、甘いものが食べたいの〜」
「甘いものかぁ…でもさ、もしかしてらん達が作ってくれてるんじゃないかな?」
「ん〜そうなのかなぁ…?」
「そうだよきっと。次は色んな店を見てまわらない?デートらしくさ」
「え!?これってデートだったの?」
「そうだよ、だって僕たち二人で出かけてるんだからさ」
「あ…そうだったの…。む〜…でも…それだとお腹が空いちゃうの〜」
「だけどさお腹が空けばさ、らん達の作ったものも美味しく食べられるでしょ?」
「それもそうなの、それじゃあくるみそうするの」
「よし決まりだね。じゃあ行こうか」
「はいなの」
二人は一緒にデパートへ向かっていった。
 
そのころ家では…
「くるみちゃん、これで喜んでくれるでしょうか?」
「うん、大丈夫だと思うよらん」
「そうね。あゆみさん、シャーベットの出来具合はどうです?」
「んー、もう少しというところですわね」
「まったく、困ったものね。この夏の最中に苺っていう作者の考えも」
「え?みかさん、何か言われましたか?」
「え・あ・な・何でもないわ、な・ん・で・も」
「???」
らんの頭の上には疑問符が沢山並んだようであった。
 
デパートに着いた二人…
「ご主人さま、くるみに何か買ってくれるの?」
「そうだなあ…何が欲しい?」
「くるみはねえ…う〜ん何なのかなぁ…」
「そうだなあ…あ!そうだ、あの店に入ろうか」
「え?あの店って…ハンカチとかが売ってる店?」
「うん。そのさ、髪のボンボンに使うやつを買ってあげようかなと思ってさ」
「ご主人さま…あ・ありがとう…なの…」
少し顔を紅らめながら言うくるみ。
「ん、どうしたんだい?くるみ」
「何だか少し恥ずかしかったの…ご主人さまがくるみの事気にしてくれてるのが嬉しかったの…」
「あ、そういうことだったんだね(くるみも…やっぱり女の子なんだな…)」
「それじゃあ…お店に行くの〜」
「うん、行こっ」
二人はその店へと入っていった。
………
「ありがとうございましたー」
そして店を出てきた二人…
「ご主人さまありがとうなの、とっても気に入ったの」
くるみの頭のボンボンが入ってきたときの黄色から…苺模様のピンク色へと変化していた。
「うん、喜んでくれて嬉しいよ。それにとっても似合ってるよ。あ、電話だ」
ピッ
『ご主人さま、くるみちゃんの誕生日料理の準備が出来たので、帰ってきていただいて結構です。』
「うん、分かった。20分くらいで戻るから」
『はい、分かりました。』
ピッ
「くるみ、料理の準備が出来たって。じゃあ帰ろっか」
「あ、その前に…ちょっとだけ屈んでなの」
「えっと…こうかい?」
チュッ
くるみはご主人さまにキスをした
「今日はとってもありがとうなの。コレ、大切にするの〜」
「どういたしまして。じゃ、帰ろ」
「はいなの〜」
二人は仲良く家へと戻っていった。
 
そして…家に戻ったくるみが見たものは、アイスが山のように積まれた周りに、甘酸っぱい苺のシャーベットが付けられた大きなパフェであったという…
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あとがき
2004年度誕生日SSの4作目です。
わが高専も後期に入りまして…いよいよ忙しくなってきました。
今回のタイトルで共通点、いいかげん分かったでしょう。
今年中に来年度のBSSを終わらそうという魂胆なのですが…駄目ですかね?
意外とくるみは難しいです、やっぱり。
ちなみに今作品で300日越え完了しました(309日前)…いいのか悪いのか…。
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2003・10・02THU
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