Tourmaline's Hair(電気石の髪)

「ねぇねぇご主人さま〜」
「ん?何だい杏珠」
「ほら、髪がサラサラになったよっ」
「え?」
サラララララ
と、私は杏珠の髪を一浚いした。
「あ、本当だ」
「ご主人さまが買ってきてくれたシャンプー、凄く良いみたいだよ」
「まあ…ってもうシャンプーが切れてたのかい?」
「うん、だから詰め替えておいたよ」
「あ、ありがとう杏珠」
「どういたしましてっ」
「でもご主人さまの髪も綺麗だよね」
「ん、そうかい?」
「杏珠みたいに茶色じゃなくて、綺麗な黒だもん」
「んー、まあね。髪の色は変えたことが無いからね」
「そうなんだぁ」
「でもちょっと寝癖が出来やすい髪だからね…」
「そうだよね、ご主人さま。朝になるといっつも髪の毛がおかしいよ」
「ま、しょうがないさ。でもそんなにサラサラになるシャンプーなら大丈夫かな」
「うん」
「じゃあ私もお風呂に入ってこようかな」
「あ、じゃあ杏珠が着替えを用意するね」
「え、いいのかい?」
「うんっ!」
「ありがと、杏珠」
チュッ
私は杏珠にお礼とお願いの意味を込めて、キスをした。
「ご…ご主人さま…」
「じゃあ脱衣所に着替え持ってきておいて」
「うん」
それは木々の葉が落ち始めた10月の夜の話であった…
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2004・04・15THU
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