Staccato Voice(スタッカートのような声)

「るる?るる?」
るるはご主人さまの背中で寝息を立てていた。
「凄くはしゃいでたからな」
傘を肩にかけ、るるを背負いながらご主人さまは家路を急いでいた。
………
それは数日前のこと…
「ご主人たまーっ!」
「ん?どうしたのるる」
「るるたんの誕生日は何か予定はあるお?」
「え?あ、もうるるの誕生日か…んー、特に何も無いよ」
「本当に何も無いお?」
「うん。るるはどっか連れてって欲しいとかはある?」
「んー…思いつかないお…」
「もう6回目だから、思いつかないのもしょうがないかもね」
「そうなんらお…」
「んー、難しいな…ん?」
ガサガサガサガサ
ご主人さまは何かを思いついたのか広告の束に探りを入れた。
「んーと、あったあった」
「ご主人たま、それは何らお?」
と、その広告には…
「うわぁ、何だかいっぱい面白そうな物があるおっ!」
「この前まで建ててたのは見てたからそろそろかなって。今日広告入ってたしさ」
「ご主人たま、もちろん…らお?」
「うん、るるがそこでいいのなら連れてってあげるよ」
「うわーい、ご主人たま大好きらおっ」
チュッ
るるはご主人様の頬へとキスをした。と…
「うわっ!」
座っていたご主人さまはるるの勢いに押されて、そのままるるが馬乗りになる形で倒れこんだ。
「あ、ご主人たま」
「ん?どうしたの?」
「ここに何か書いてあるお」
「ん?なになに…運動しやすい格好でご来場ください…か」
「それって何らお?」
「つまり、動きやすい服で着てくださいってこと。るるは…まあ下はスパッツだから良いとして…」
「この服は少し動きにくいお」
「他に服ってあったっけ?」
「これと似ている服しか無いお…」
「そっか、半袖のシャツとかはある?」
「それなら何枚かあったと思うお」
「それで大丈夫かな。スパッツの方は?」
「それはお気に入りだからいーっぱいあるお」
「一応さ、汗をかくと困るし、何枚か持っていかないとダメでしょ?」
「そうらおっ」
「あとはんー、タオルとか色々用意したほうがいいのかな」
「でも今から用意したら早すぎるお」
「そうだね、じゃあ足りない物がないか確かめよっか」
「うん、足りない物は買いに行くおーっ」
………
そして当日…
「忘れ物は無いよね?るる」
「んー、着替えもバッチリらお。ご主人たまは?」
「こっちも…財布は持ったし大丈夫だな」
「ご主人たま、お昼はどうするお?」
「ん?そっか。施設の中にもお店があるけど買ってから行こうか、食事用の場所もあるみたいだしさ」
「それでいいおー、ご主人たま早く行くおーっ」
「あ、あと…これを持って行かないと、天気予報が確か…」
と、ご主人さまは大小二本の折りたたみ傘をカバンに入れた。
「ご主人たま、今は晴れてるお?」
「いや、確か午後から急に天気が変わるって言ってたよ」
「ん、分かったお。じゃあ今度こそらお」
「うん」
「「いってきまーす!」」
二人は仲良く手を繋いで街の方へと歩いていった…
………
と、二人が来た場所というのは…
「着いたおーっ」
「うん、今日はさすがに平日だからけっこう空いてるみたいだね」
屋内型の子供用の遊具がたくさん集まった施設である。
「ご主人たま、早く入りたいおー」
「ちょっと待って、今お金を払ってくるよ」
「早くらおー」
と、ご主人さまは受付にお金を払って戻ってきた。その手には二つの腕輪が…
「るる、これをつけてくれる?」
「これって何らお?」
「これを着けないと、中の遊具が遊べないんだよ」
「そうなんら、了解らおっ」
カチッ カチャッ
「これで大丈夫らお?」
「うん、大丈夫だね。それじゃあこっち来て、荷物を置いてからいっぱい遊ぼう」
「はいらおっ!」
………
「ご主人たまー、行っくおーっ!」
「うーん!」
それは長い長い滑り台、るるは一気に滑り降りていく…
シャーーーーーーー ズドドドド
そのままボールプールの中へと滑り込んでいくるる
「どうだった?るる」
「凄い速かったおー、とってもとってもらおっ」
「そっか、もう一回やってくる?」
「んー、また後でにするお。次は…」
………
遊び終わり施設から出てきた二人。
「今日はどうだった?楽しかったかな?」
「楽しかったけど…ご主人たま…るるたん疲れちゃったお…」
「しょうがないか、よしおんぶしてあげるよ」
「わーい、おんぶだおー」
「それじゃあつかまってね、よいしょっと」
ぎゅうっ
ご主人さまはるるをおんぶしたまま、帰り道を歩んでいった…
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あとがき
まずはお詫びを。
るる、遅れてごめんなさい。
体調不良が誕生日前後に重なってしまって…本当にお詫びし切れません。
自分としては初の遅れ掲載…ああ、やっちゃったなあ…。不甲斐ないな…。
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2007・06・14THU
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