Ruby's Eyes(紅玉の瞳)

ガチャッ
「お帰りなさいませ、ご主人様」
トントントントントン
「ただいま、ラン。あ、夕食作ってるの?」
「はい、今日は暑いので、素麺にでもしようかと」
「うん、確かに今日は暑かったからね」
「あ、何か飲み物でもお入れしましょうか?」
「いいよ自分でいれるから、ランは料理しててよ」
そうして悟郎はランの料理している姿をゆっくりと眺めていた。
「そういえばラン、ほかのみんなは?」
「えっと…ルルちゃん・ナナちゃん・モモちゃんは遊びにいってますしアユミさんとミドリちゃんと…あ、クルミちゃんはお買い物です」
「じゃ、ランが一人で留守番してたのね」
「はい、そうですけど。それがどうかなさいましたか?ご主人様」
「いや、何でもないんだ。ただ…」
「ただ…何です?イタッ!」
「ど、どうしたの?らん」
「いえ、ちょっと指を切ってしまって」
「大丈夫?ちょっとその手出して」
チュプッ
「えっ!?ご、ご主人様」
悟郎は怪我をしたランの指を自分の口にいれた。そして止血したのを見計らって絆創膏で巻いてやった。
「あ…ありがとうございます」
「いや、いいんだよ。だって僕の大切な『天使』だもん」
悟郎もランももう顔が赤くなっていた。
「好きだよ、ラン」
「えっ!?」
チュッ
もうこの衝動を止めるものなどこの世には無かったであろう。悟郎はランに口付けをした。それは汗ばむくらいの7月の夕刻の話であった…
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2002・03・05TUE 初版公開
2002・08・13TUE 修正第1版公開
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