Food Ronde(食の輪舞曲)

夏も盛りの立秋の頃…。
トントントントン
「ん…くるみ…もう食べられないの〜…」
くるみはまだ微睡んでいた、するとそこに…
「くるみー、朝ご飯だぞー」
がばっ
「ん〜?ご主人さまおはようなの〜。残念なの、さっきのは夢だったの…」
「ん?何だったんだい?その夢って。とても幸せそうな顔をしてたけどさ」
「えっとね、くるみの前にい〜っぱいの食べ物がある夢だったの。それもご主人さまが作ってくれたのなの」
ご主人さまの顔が一瞬止まった。
「どうしたの?ご主人さま」
「えっと…多分それは正夢だよ」
くるみがよくよくご主人さまの姿を見てみると、ご主人さまはエプロン姿であった。
「ん〜?どうしてご主人さまがエプロンを着てるの?それにらんちゃん達はどうしたの?」
「今日は特別にみんなには休んでもらったんだ、くるみのためにね」
「くるみのためなの?」
「だって今日はくるみの誕生日でしょ」
「あ、そうなの。今日はくるみの誕生日なの」
「だから今日は一日、僕の手料理を食べさせてあげようと思ってね」
「ご主人さまの料理…くるみ、前から食べてみたかったの〜」
「うん、いっぱい作ったから冷めないうちに食べようよ」
「はいなの〜」
くるみは満面の笑みで応えた。
 
「いっただっきま〜すなの」
「どうぞ召し上がれ」
食卓には卵焼きやほうれん草のおひたしなど、和食の朝ご飯が並んでいた。
「ぱくぱく…んぐんぐ…うんっ、美味しいのご主人さま」
「そう言ってくれると嬉しいよ、くるみのために頑張って作ったからさ」
「ご主人さま、ご飯おかわりなの〜」
「うん、いっぱいあるからどんどん食べてね」
こうして1時間程かけて作られた、ご主人さまの朝ご飯は15分程でくるみの胃に吸い込まれていった。
「ごちそうさまなの、ご主人さま」
「どういたしまして、くるみ」
くるみの食べっぷりに少しだけ苦笑しつつ、ご主人さまはそう応えた。
 
「あ、そうだくるみ。昼ご飯はどんなのがいい?」
「う〜ん、くるみね、ご主人さまが作ってくれるのなら何でもいいの」
「それじゃあ一緒に買い物に行こうか」
「はいなの〜!」
「じゃあその時に昼ご飯と夕ご飯を決めちゃおうよ」
「うん、それでいいの」
…二人は買い物へと出掛けていった。
 
商店街へと来た二人…
「う〜ん、昼ご飯は何にしようかな?くるみ」
「くるみね、朝は和食だったからお昼は洋食がいいの」
「洋食かぁ…あ、そうだ!スパゲッティでいい?」
「それでいいの〜。くるみ、スパゲッティ大好きなの」
「それじゃあスパゲッティと何種類か分の材料を買うとして…夕食は中華料理にでもしようか?」
「中華料理ってラーメンなの?」
「うん、ラーメンも作ろっか」
「うわ〜い、くるみ大賛成なの」
「じゃ、まずはスーパーからだね、行くよくるみ」
「はいなの」
二人は沢山の食材を急いで買い込んで、家へと帰っていった。無論、ケーキの材料も忘れずに。
 
時はそれでもまだお昼前…
「じゃあ、昼ごはんを作ろうか」
「ご主人さま、くるみも手伝うの」
「え、いいのに。せっかくのくるみの誕生日なんだしさ」
「一度、ご主人さまと一緒に料理をしてみたかったの、だめなの?ご主人さま」
少し涙目になるくるみ
「くるみだって、めいどの世界でいっぱい修行してきたの…らんちゃんほどじゃないけど、料理だってちゃんとできるの…」
「…いいよ、くるみ。一緒に料理しよ」
「くるみは何をすればいいの?」
「えっとそれじゃぁ、その鍋に水をたっぷり入れてお湯を沸かしてくれる?」
「はいなの〜」
こうして二人は山のような昼ご飯を作っていった。
 
「「いただきま〜す」」
食卓には二人で作られたカルボナーラ、ミートソース、ペペロンチーノなど、さまざまなスパゲッティが並んでいた。
「ぱくぱく…ちゅるるる…んぐっ…とっても美味しいの〜」
「うん、本当だ。二人で作ったかいがあったね、くるみ」
「そうなの、ご主人さまの味とくるみの味の合作なの」
「そうだ、くるみ」
「何なの?ご主人さま」
「ソースが付いてるよ、鼻の先に」
「え、どこなの?」
「ほらここだよ、取ってあげるから」
つん ちゅぷ
当然のことながらご主人さまは、それを指で掬って取ってあげた。
「ありがとうなの、ご主人さま」
くるみは少しだけ顔を紅くしてそう答えた…。
 
それからケーキを作ったり、夕食を作ったりして迎えた夜。
「それじゃぁ、食べようか」
「うん、いただきますなの、ご主人さま」
「どうぞ召し上がれ、くるみ」
食卓にはラーメンのほかに、餃子や焼売や青椒肉絲などの中華料理が並べられていた。
「うん、みんなみ〜んな美味しいの〜」
「良かった、くるみに喜んでもらえて」
「ご主人さま、ラーメンおかわりなの」
「うん、いっぱいあるからどんどん食べて」
………こうしていっぱいあった料理もすべて無くなり…
「ふ〜、満腹満腹なの〜」
「あれ?ケーキは食べないの?くるみ」
「むー、ご主人さま。それとこれとは話が別なの、ケーキは別腹なの」
「それじゃぁ、はい」
「ありがとうなの、ご主人さま」
くるみの皿には7/8ホールものケーキが乗っていた。
「いただきま〜すなの」
「僕も、いただきます」
ぱくぱく むぐむぐ んぐんぐ ガキッ
「ん?ご主人さま、これは何なの?」
くるみが噛んだのは、小さな金属の容器だった。実はケーキを作っていたときにご主人さまがケーキの中に忍ばせておいたのだ。
「あ、それかい?それは誕生日プレゼントだよ、開けてみて」
パカッ
「イヤリング…これ…くるみが貰ってもいいの?」
それは黄色の珠が付いているイヤリングであった。
「いいよ、だってそれはくるみのためのものだからさ」
ぱちん ぱちん
「うん、よく似合ってるよ、くるみ」
「そう言われると…ちょっと恥ずかしいの」
「ま、本当の事だからさ」
「でもでも、ご主人さまありがとうなの。これはお礼なの」
チュゥッ
くるみはご主人さまにクリームで甘くなった唇でとっても甘いキスをした…
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あとがき
…スランプですよ、完全な…。
くるみは好きなキャラなのに内容が全然出てこなかったです。
ちょっとやばいなぁ…次は…みか、あかねの連荘か…何とか克服しないとなぁ…。
アイディアが出れば、なんとかなるかな(自信寡少)…。
ちなみに今回のSSは68日前です。もう少し早く仕上げたかったなぁ…。
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2003・05・30FRI
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