Opposite side of Rainbow(虹の向こう)
それは水無月も六日を経った朝…
「ご主人たま、おっはようらお〜」
ぽふんっ
るるはご主人さまの布団の上へと飛び乗った。
「うくっ…お・おはようるる」
「おはようらお、ご主人たま」
ご主人さまが眼を開けると、そこには笑顔の守護天使がちょこんと座っていた。
「ちょ・ちょっと起きるからさ、降りてくれるかな?」
「うんっ!」
ぽんっ
るるはご主人さまの横へと降りた。
ぱさっ
「んんーっ!おはようるる」
ご主人さまは一つ伸びをしながらそう言った。
「ご主人たま、今日はるるたんの…」
「分かってるさ、るる。誕生日だよね?」
「そうらおっ!ご主人たま」
「今日は何をしたい?るる」
「んー、るるたん…ご主人たまと一緒にお出かけしたいお」
「うん、じゃあどこに行きたい?」
「うー…るるたんはご主人たまが一緒ならどこでもいいお」
「そっか、それならあそこにしようかな」
「どこらお?ご主人たま」
「行ってみればわかるよ。それじゃあそろそろ朝ご飯にしよ」
「うんっ」
ご主人さまは布団から出て、るると共に食卓へと向かっていった。
「行ってくるお〜っ!」
「じゃあ行ってくるね、みんな」
「「「「「「「「「「「いってらっしゃーい」」」」」」」」」」」
ばたんっ
ご主人さまとるるの二人は家を出た。
「それでどこに行くお?ご主人たま」
「まあ行けば分かるさ、とりあえず自転車に乗ってよ、るる」
「え?自転車で行くお?」
「うん。はい、いつものヘルメットだよ」
「ありがとらお、ご主人たま」
かちゃっ
るるはいつもの帽子を脱いで、ヘルメットを被った。
「よしっ、じゃあ乗って」
「うんっ」
かちゃんっ ばたんっ ぽふっ
ご主人さまは鍵を開き、スタンドを下ろし、るるを後ろへと乗せた。
「うん、じゃあ僕に掴まっててね」
「分かったお〜っ!」
ぎゅっ
るるはご主人さまの背中に抱きついた。
チリンチリン
ご主人さまの運転する自転車が街へと向けて走り出した。向かう方には雨上がりの虹が、まるでゲートのように架かっていた。
「ご主人さま、ここらお?」
「うん、そうだよ」
そこは街の中で一番高い建物である。
「るるは確か、来た事なかったよね?」
「うん、来たことはないお」
「ここからの景色を一度見せてあげたいなと思ってたんだ」
「んー、じゃあ早く行くお〜っ!」
ぎゅっ
るるはご主人さまの服の裾を引っ張った。そのままご主人さまとるるは建物の中へと入っていった。
………
ウィーン
エレベータは二人を最上階へと導いていく。
「ん?どうしたんだい?るる」
「ちょっと、ちょっとだけ怖いお…」
「そっか、じゃあおまじないしてあげようか?」
「何らお?」
ぎゅっ ひょいっ チュッ
ご主人さまはるるを持ち上げて頬にそっとキスをしてあげた。
「ご・ご主人たま…」
「これで大丈夫だね?」
「うんっ!」
るるは少し頬を紅く染めながら笑顔で答えた。
………
「ほら着いたよ、一番上の階に」
トテテテテ
言うより早く窓際へと向かったるる。
「うわあ…すごいおーっ」
市一番の高さのビル、市中どころか遠くの山々も一望であった。
「ご主人たま、うちはどのへんらお?」
「んー、そうだなあ…あのスーパーがそこだからあの屋根じゃないかな」
「あー、ほんとらー」
と、ご主人さまはある物を見つけた。
「あ!ほら、るる」
「何らお?ご主人たま」
「ほらあそこ、飛行船だよ」
「ほんとらあ…大きいお」
ご主人さまの指差した方角には、黄色い飛行船がぽっかりと進んでいた。
………
空もすっかり夕焼けになった頃…
「今日は楽しかったかい?」
「とっても楽しかったお」
「それは良かった、でもまだ帰ってからのお楽しみがあるからね」
「何かまだあるお?」
「だって、プレゼント渡してないでしょ?」
「あー、忘れてたお」
「それは帰ったら渡してあげるからさ、まずは後ろに乗って」
「うんっ」
ご主人さまとるるを乗せた自転車は夕日の中、家へと進んでいった。
そして家に着き…
「「ただいまー」」
「「「「「「「「「「「おかえりなさーい」」」」」」」」」」」
「るる、ちょっとこっちに来て」
「何らお?ご主人たま」
るるはご主人さまに着いていった。
「はい、これ。プレゼントだよ」
「あ・ありがとうらお」
と、ご主人さまは紙袋を取り出した。その中身は…
「ご主人たま、これすっごくかわいいお〜」
水色の地に五線譜と音符や星が刺繍されたパジャマであった。
「あらあら、るるちゃん。良い物を貰いましたわね」
そこにあゆみと…
「るるちゃん、すごく…可愛いです…」
ももがやってきた。
「あ、そうですわ!るるちゃんのプレゼントもありますし、今日のお誕生日会はみんなパジャマにしましょう」
「もも…ちょっぴり恥ずかしいです…。でも…ももはそれでもいいです…」
「うん。たまにはそういうのも、いいかもしれないね」
「わーい、パジャマパーティーらおー!」
数十分後、いつもとちょっぴり違った雰囲気の誕生日会が幕を開けた…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
今年度はゆっくりじっくり、雅です。
と言うわけで、守護天使BSS2005の2人目、るるのBSSです。
今回は行く場所がなかなか決まらなくて、授業中も色々と悩みました(悩む時間が違う)
次はいよいよ…ああ大丈夫かなぁ…。
次はオリジナル守護天使SSを予定しています。
タイトルの共通点、今回も曲名であると言っておきましょう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2005・05・14SAT
雅