Pearl's Hand(真珠の手)

ザーーーーーーーーー
雨の日、仕事が休みの悟郎はある守護天使の悩みの相談を受けた。
「ご、ご主人さま…」
「何だい?モモ」
「モ、モモ、ご主人様に相談してもいいですか…?」
「うん、いいよ。何についてだい?」
「…はい。あ…あの、モモ、モモは電化製品が苦手なんです」
「うん、知ってるよ」
「克服しなきゃだめって分かってるんです…、で…でも…やろうと思っても…その…体が…拒否しちゃって…」
「え…そんなこと…克服しなくてもいいじゃない、それがモモらしさじゃない」
「ダ‥ダメです。そんなことじゃご主人さまをきちんと守れないです…」
「…………そっか、でも無理に克服しなくてもいいんだよ。だって誰でも弱点はもってるんだしさ」
「で…でも……」 悟郎はしばらく考えて、
「じゃ、ちょっと待ってて」
「はい…」
そうして悟郎が持ってきたのはいろんな小型の電化製品。
「モモ、これ触れる?」
「…だめ…です…」
「じゃ、これは?」
「…これも…」
そして1時間後
「う〜ん、これもダメか…」
「(はぁ…、今日もダメでした)」
「あ、モモ、ここの灯りつけてきて」
「はい…」
カチッ
「あれっ?モモ出来たじゃない、それだって電気だよ」
「…あ…は…はい、出来ました」
「よくがんばったね、これごほうびだよ」
チュッ
悟郎はモモの唇にそっとキスをした。
「ご…ご主人さま、ありがとうございます…」
チュンチュン
「あ…ご主人さま、虹です…」
「ほんとだ…、虹なんて久しぶりに見たなぁ」
「ご主人さま、明日もモモ、頑張ります」
「うん、頑張ってね」
こうして梅雨の晴れ間に虹がきれいに輝いた6月の一日が終わっていった…
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2002・03・20WED 初版公開
2002・05・31FRI 修正第1版公開
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