Pastel Pink Time(薄紅梅色の時間)
くいっくいっ
ある日ご主人様は誰かに服を引っ張られて目を覚ました。つばさかなと思って起きてみるとご主人様の隣にはももの姿があった。
「あれ?どうしたのもも」
「え…あ…なんでもないです…」
「そんな、何かあるから僕を起こしたんだろ、もも」
「はい…」
「じゃあ、何だい?」
「あ…はい…。もも…もも…今日誕生日なんです」
「あ、そうだったよね」
「それで、もも…一緒に出かけてほしいんです…きゃっ、恥ずかしいです…」
「そんなに恥ずかしがることないよ。いいよ、そうしよう」
「あ…ありがとうございます…」
その後朝食の時にその旨をみんなに伝えると
「あー、ななも行きたいー」
「るるたんもいきたいぉ〜」
「るるちゃん、ななちゃん、今日はももちゃんの誕生日なのよ。だから…ね」
とらんがなだめるように言うと
「う〜、わかったぉ」 「うん、我慢する」
また別の方では
「今日はももに譲ってあげるわ。でもこれだけは覚えておきなさい。ご主人様はみかのも・の・だ・か・ら!」
スパーン
「みぃぃかぁぁちゃん!」
「いったいわねー、何でハリセンなんて持ってるのよ」
「だいたいみかちゃん、ご主人様はみんなの物ですわ」
「………………………………」
「………………………………」
「やれやれ。ご主人さま、今のうちに出たほうがいいよ、多分しばらく終わんないだろうしね」
と、つばさに言われようやく我に返ったご主人様は、
「う、うん。そうだね、じゃぁもも行こうか」
「は…はい」
そうして二人は玄関を出て行った。
「で、どこ行きたいの?もも」
「…………」
ももは無言になってしまった。さっきの光景がよほどショックだったのだろうか。
「もも、もも」
「あ、は、はい…ももどうしてもご主人様と行きたいところがあったんです」
「どこなの?」
「ど…動物園に行ってみたいんです」
「うん、いいよ。じゃぁ行こうか」
「はい!」
ももがようやく笑顔を取り戻したところで、二人は動物園へと向かっていった。
動物園に着くとももはいつもと違ってご主人様を引っ張っていった。よっぽどご主人様を独り占めしていることがうれしいのであろう。そしてサルの檻に着いたとき、
「ご主人さま…これがももの前世なんですね…」
「あ、うん、そう…だね」
「か…可愛いです…」
ももはしばらくサルに見とれていた、何か心に通じ合うものがあったのだろう。そしてその後の動物園の売店で、
「あ…ご、ご主人さま…、ももこれがほしいです…」
そうしてももが差し示したのはでっかい猿のぬいぐるみだった。
「うん、もちろんいいよ、だってももの誕生日だしね」
ぬいぐるみを買ってもらったももは、とても大事そうにそれを抱えていた。しかしそれも長い間は続かず、ももは疲れをみせ始めていた。
「もも、持とうか?」
「い…いいです」
そして10分後
「もも、もも?」
「…………」
クー スー
ももは何と寝たまま歩いていた。
ひょい チュッ
ご主人様はそんなももの体をおんぶし、ぬいぐるみをももと自分の間にはさんだあとにももの唇にそっとキスをした。
「ご主人さま…大好きです…」
ももはご主人様の背中の上でそんな寝言を呟いていた…
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2002・07・01MON 初版公開
2002・09・08SUN 修正第1版(改題)公開
雅