You are in the Pantoscope(広角レンズに入るキミ)
「ご主人たまーっ!これ何らお?」
6月も頭のある日のこと、るるは黒い少し大きめな箱をご主人さまの許へと持ってきた。
「あ…これかい?懐かしいものが出てきたなあ」
「それで、ご主人たま。いったい何が入ってるんらお?」
「これはね…とても大切なものが入ってるんだよ」
パカッ
と、その箱の中から出てきたものは…
「うわあ…カメラだおーっ!」
「うん、僕のお祖父ちゃんから貰ったやつだよ。多分一式全部あったと思うけど…」
「このカメラ、まだつかえる物なんらお?」
「たぶん大丈夫だと思うよ、フィルムと電池だけ買えば使えるはずだな」
「ご主人たま、これは何らお?」
「これはこれ用のレンズだね、望遠レンズと広角レンズだったな」
「あ、そうら。ご主人たま、お願いがあるんらお」
「ん、何だい?るる」
「るるたんの誕生日、それでるるたんの写真を撮ってらお」
「そっか…もうるるの誕生日だったっけ。うん、いいよ」
「わーい、やったおーっ!」
「それじゃあちょっと買い物に行こうか、これに必要なものをね」
「うん、行こうらおっ」
「それじゃあ行ける準備してきてね、自転車で行くからあのヘルメットもね」
「分かったお、すぐに準備してくるおー」
………
「ご主人たま、これにすわらなきゃダメらお?」
「うん、最近結構厳しいからさ。ヘルメットは持ってきたかな?」
「持ってきたお、ご主人たまこれ持っていてほしいお」
「いいよ、降りたらまたこっちを被りなおしてね」
「うん、あ…ご主人たま、これがちょっと高くてのりにくいお…」
「あ、そうだね。はい、つかまってるる」
「はいらおっ」
ぎゅっ すぽっ
ご主人さまの腕で子供用のシートへと座ったるる。
カチャンッ ガタンッ
「よし、行くからしっかり僕に掴まっててね」
「うん、分かったおー。それじゃあ、れっつごーらおっ!」
二人の乗った自転車は街中に向かってスピードを上げていった…
「よし、これで大丈夫だな。フィルムは…どうしようかな」
「ご主人たま、どうしたんらお?」
「ん?どのフィルムにしようかなって、せっかくのるるの誕生日だしさ」
「るるたんはご主人たまが撮ってくれるなら、どんな写真でもいいお」
「そっか…それならこれにしようかな、あとはこれっと。よし、それじゃあこれを買って帰るよるる」
「はいらおっ、ご主人たま楽しみにしてるお〜」
二人はそれらを購入して家への帰路へとついた…
………
その家への自転車で…
「あ、そうだ。るるは今度の誕生日はどこに行きたい?」
「んー、るるたんはどこでもいいお」
「どこでもいい…か。それじゃあちょっと早いけどあそこにしようかな」
「え?どこらお?ご主人たま」
「それは当日着くまでのお楽しみだよ、そういえばるるとは一緒に行ったことがなかった場所だからさ」
「うー、どこらお…分からないから楽しみにしているお」
「うん。あ、坂道だからしっかり掴まっててね」
「はいらおっ、ぎゅーってしてるおっ」
そのまま二人は夕方となった家路を帰っていった…
そしてその当日…
「ご主人たまーっ、朝らおーっ!」
ぼふんっ
るるはご主人さまの蒲団へと思いきりダイビングした。
「う…ううっ、いきなりはきついって、るる…」
「どうしたお?ご主人たま」
「いや、何でもないけど…ちょっと起きられないからどいてくれるかな?るる」
「はいらお、ごめんなさいらおご主人さま」
ガバッ
「おはようるる、今日は良い天気になったね」
「そうらお、今日は29度まで上がるって言ってたお」
「29度か…ならちょうどいいかな。暑い方が良い場所だしさ」
「どこなんらお?ご主人たま」
「だからそれは着くまでの秘密だよ、それじゃあお弁当が出来たら行こうか」
「んー、うん。早く作って行くおー」
カチャンッ ガタンッ
ご主人さまの自転車の鍵が外され、スタンドが上げられる。
「るる、OKだね?」
「るるたんはオッケーらお、ご主人たま」
「よーし、出発進行!」
「しんこーっ、らおっ!」
二人を乗せた自転車は、ある場所へと向かって走り始めた…
………
ザーーーー ザザン…
「ついたおー!」
「うん、着いたねるる」
そう、ご主人さまがるると来たのは海岸である。
「ご主人たまー、とってとってらおー」
「うーん、分かったー。準備するからちょっと待ってー」
………
カシャッ カシャカシャッ
「ご主人たまー、次はどうすればいいおー?」
「次はそこでしゃがんでてくれるー?」
「んー、分かったおー」
カシャッ カシャカシャッ
「あ、フィルムが無くなっちゃった。ちょっと待ってて、今交換するから」
「ご主人たまー、砂でお城を作ってていいおー?」
「うーん、ちょっと時間掛かるからその間に作ってていいよー」
そんな二人だけの撮影会は昼食をはさんで空が赤に染まるまで続いていった…
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あとがき
2006年度BSS2本目です。
ちょっと短いです。るるはやっぱり台詞回しが難しい…
もう5月も終わりですか…本当に月日の過ぎるのは早いものですね。
今年度は本当に忙しくなりそうで、時の流れを本当に速く感じちゃいますよ。
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2006・05・28SUN
雅