If only you are here(君さえいれば)

朝、それは新しい匂いのする時間。
私、少しだけいつもより早起きをしてベランダに出てみました。
誕生日、今日でまた一つ自分の年齢を重ねます。
だけどもまだまだ、子供でいたいって心も有るんです…。
しかし、無常にも時間は過ぎて行くんですよね。
一番上の守護天使として…皆さんをまとめていかなくてはいけませんし…ね。
また少し、雪が降り始めてきました。
一度、中に入った方がいいのでしょうかね?
2月2日、今日はご主人さまに何をしていただきましょうか?
ちょっと今日くらい、甘えても罰は当たりませんよね。
駄目でもともとです、いつもとは違う私をみていただきましょうか?
堅実に、いつもの私でいくべきでしょうか…やっぱり…。
ドキドキして来ましたわ、何だかとても。
もう少しで皆さんが起きてくる時間ですね。
早朝の空気を味わうのもそろそろ止めにしま…
「んんーっ…」
何だかこんなところで欠伸をしてしまうなんて、はしたないですわ。
私もそろそろ着替えなければなりません。
たまみさんは蒲団の中で丸くなってますわね、可愛い姿です。
しっかりとご主人さまにくっ付いているのは、寒いのが苦手なるるちゃんですね。
日記が枕元に在るのは…あゆみさん…偉いですよね、毎日書き続けているんですから。
抱き枕にされてますねみどりさん、フフフ。あかねさんはとても幸せそうですけど…少し苦しそうですね、みどりさんは。
つばささんは…そろそろ起きるみたいですわね。蒲団の中で伸びをしてるみたいです。
天使たちの可愛い寝顔…少し微笑んでしまいます。
一番大きなお蒲団には…私の大好きなご主人さま…まだまだ夢の中のようです。
「冷たいっ!」
真っ直ぐに私の胸元に雪が落ちてきました。
ですが、もう少しこの雪を…この空気を楽しんでいましょうか…。
もう6時50分…日が昇ってきましたわね。
大きな雲も切れて…青い空も見えてきました。
もうすぐ、雪も止みそうですわね。
いつまでもこんな所にいると風邪をひいてしまいますわ、本当に中に入りましょう。
外に長い時間いたので、少し身体が冷えてしまいました。
しかたないですけど…ちょっと反省しないとです。
手袋でもしておけば、手まで冷える事はなかったと思いますけど…。
つばささんが、どうやら目を覚ましたようですね。
体力の点は、本当に見習わないとです。
「え…ゆきさん早いんだね、おはようございます」
「誕生日ですから…ウキウキしてしまって…おはようございます、つばささん」
「一番を取られるなんて…何日振りだろうかな?」
「今年は毎日ずっと、私より早いです…ね」
「ということは…ななの誕生日以来だなぁ…たぶん」
バンドエイドが一つ頬に貼ってある、そのななちゃんはまだ夢の中。
頑張りやさんだけど、ちょっとだけ自分勝手なところがある…けど私の大切な天使。
あ、ご主人さまがやっと起きられました。
るるちゃんをそっと蒲団に置いて…
「ん…んーっ!あ…おはようゆきさん、つばさ」
でも起きたとはいえ、まだまだ少し眠たそうなご主人さま。
少しあどけない表情が…フフフ可愛いです、ご主人さま。
「…あ…おはようございます…ご主人さま」
こうして私の一日は本当の始まりが告げられました。
 
コンロに火を入れて…少しまだ火が怖いですけどね。
廊下にある野菜…あ、人参にキャベツが在りましたね。
肉も入れて肉野菜炒めにでもしましょうか。
一人また起きたみたいです、らんさんですね。
めいどの世界でも料理はかなりの腕でしたからね…らんさんは。
丁寧な包丁さばきはさすがです。
一番のコツはやっぱり「ご主人さまを想うこと」なんですよね。
るるちゃんが、起きたのでしょうか?向こうの部屋が少しずつ騒がしくなってきました。
一人より、やっぱり二人の方が料理も捗りますね。
と、あ…ご主人さまがこちらに来られました。
一つ、今日の事について相談しましょうか?
ラブラブになりたいですからね、少し甘えてみちゃいましょう。
ノープロブレムと言ってもらえました。
心はもうドキドキで、爆発寸前でした。
と、言う事で私とご主人さまはデパートに行く事になりました。
バーゲンセール中なので、ご主人さまに服を買ってもらいましょう。
 
………
ご主人さまと私は今、デパートにいます。
週の真ん中の水曜日だからでしょうか?バーゲン中ですが、それ程混んではいないようです。
ゆっくりと買い物が楽しめますね、これなら。
ジーンズ…さすがに私には似合わなそうです。
ん?これは何でしょう?翡翠色のスカート…いいですね…これ…。
サーモンピンクのブラウス…試着したらご主人さまに綺麗だって言ってもらえました。
マフラーとセーターと手袋は…ご主人さまのと色違いのお揃いの物にしましょうか。
だいたいこんなところですね、さてこれを買っていって帰りましょうご主人さま。
 
一緒の帰り道…ご主人さまと並んで歩ける事が嬉しいです。
スッとご主人さまが、ポケットから箱を出しました。どうやら私へのプレゼントのようです。
黄色い石…琥珀が入ったブローチ…綺麗ですご主人さま…ありがとうございます。
でもそれ以上のプレゼントはご主人さまと一緒にいられたこの時間…ですね…。
好きです…いや、大好きです、ご主人さま。
………
チュゥゥゥゥ
ゆっくり…そして長いキス…それはもう…甘く…蕩けそうでした…。
嬉しいです…本当に…ご主人さまの温もりが私の心の奥まで伝わってきました。
 
冷たい凛とした空気の中を、ご主人さまとゆきの二人は温かく帰っていった…
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あとがき
2004年度誕生日SSの10作目です。いつもより行数は少なめ。
実にこれが初めての1人称SSです。(最後が3人称なのは許してください。)
ここまでセリフの少ないSSは初めてです…。
今回のSSは、ある事をしたために微妙に読みにくくなっています。言葉探しに苦労しました。
多分、このSSのタイトルの曲が一番有名でしょう。
あと、2作。今月中には…終われないな…色々あって。
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2003・11・14FRI
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