Natural Smile(ありのままの笑顔)

「ご・ご主人さまぁ!大変なのれすーー!!」
ご主人さまが帰ってくるなり、駆け寄ってくるみどり。
「ど、どうしたんだい?みどり。何かあったの?」
「みどりさんの誕生日が…みどりさんの誕生日がぁ…」
「ん?何かあったっけかなあ…?」
「みどりの日じゃ無くなってるのれすーー!!」
「え?あ、そっか。そうだっけ、今年から昭和の日になったんだよ」
「うう…どうしてなんれすか?」
「もともとこの日って、天皇誕生日だったんだ。それでその天皇が崩御したんだけどそのまま祝日として残したんだっけかな」
「崩御…って何れすか?」
「皇族っていう偉い人が亡くなることだよ。それでこの時期は新緑の季節だから『みどりの日』になったんだったかな、確か」
「ほえー、分からないことばかりなのれす」
「でも、みどりの誕生日がみどりの日だったのは偶然だったのかな?」
「んー、みどりさんには良く分からないのれす」
「でももうみどりの誕生日なんだね」
「そうれすっ、一番に来るのれ嬉しいのれすよ」
「確かに、年度が替わってからだと一番最初だもんね」
「そうなのれす、なのれご主人さま…」
「ん?」
「ここに連れてってほしいのれすぅ〜!」
と、一枚の紙を差し出したみどり。
「…ここって…どこ?」
「ふえ?何を言ってるのれすか…あっ、裏らったのれす」
「それでどこのことなの?」
「ここ、ここなのれす」
ご主人さまへと改めて見せなおしたみどり。
「スパ?いったいどうして?」
「みどりさん、ゆっくりしたいのれす。最近はるるちゃん達が騒がしいんれす…」
「そういうことか…でもどうしてここにしたの?」
「ここ以外はここからとっても遠いんれす。ここなら歩いてでも行けるれすよ」
「んー、歩いてはちょっと遠いかもなあ…でもまあみどりが行きたいって言うならかまわないよ」
「やったのれすっ!ご主人さま、明後日はここに行くれすよ〜」
「うん、あ…水着とかって必要なの?」
「そうみたいれすね、あ…」
「ん?どうしたの?みどり」
「みどりさんの水着…去年の最後の海水浴れ…」
「え?何かあったっ…あっ…」
去年の最後の海水浴、みどりの水着は岩に引っかかり…
「ご主人さま、明日は暇なんれすか?」
「え?えっと…うん」
「それなら買いに行くれすっ!」
「いいよ、でもこの時期って水着売ってたかなあ?」
「大丈夫れす、みどりさん知ってるれすよ」
「知ってるんだ、それならいいよ行こう」
「ご主人さまは大丈夫なんれすか?」
「たぶん大丈夫だと思うよ、体型も変わってないはずだから」
「むー、みどりさんの観察によるとれすね…少し太っているれすよ」
「ええっ!?ほ・本当なの?」
「それは体重計に乗ってみれば分かるれすよ」
「う・うーん…分かった、乗ってみるよ」
………
「去年の夏かられすと…んー、4kg増えてるれすね」
「僕も買わなくちゃダメか…これは」
「そうれすっ、明日一緒に買うれす。明後日は新しい水着で行くれすよ」
「そ・そうだね…ハハハ…はぁ…」
ご主人さまは少し落ち込んだ感じでそう言った。
 
翌日…
「ご主人さま、みどりさんはどんな水着はいいれすか?」
「うーん、みどりの場合はワンピース型の方が似合ってる気がするな」
「そうれすか?うーん、みか姉さんみたいなのは…」
「ああ、ビキニか…うーん、どうだろ?」
「みどりさんも自信は無いれす…やっぱりワンピース型にするれす」
「色はどうするの?」
「やっぱりみどりさんは…これれすね」
と、取ったのは緑色のワンピースの水着であった。
「うん、似合うと思うよ。サイズはあってる?」
「んー、大丈夫みたいれすね。ご主人さまはどうするれすか?」
「僕は普通のでいいさ、黒か紺色のでさ」
「あっちの紅いのはどうれすか?」
「それだったらみどりに合わせてさ、そっちの緑色の方がいいかもなあ」
「色がお揃いれすね、んーご主人さまには…うん、似合いそうれすね」
買った水着はすぐに明日持って行く袋へと詰められたという…
 
そしてその当日…
「ご主人さまー、早く早くれすー!」
「みどり、そんなに急がなくたって温泉は逃げないって」
「れも…れもご主人さまといっぱい一緒に過ごしたいのれす」
「そっか、でも今日はゆっくりするって言ってなかったっけ?」
「それはそうれすけど…そうれすね、時間はいっぱいあるれすね」
「そうそう、ゆっくりしよう。まずは、あっちの方に一緒に入ろうよ」
「そうれすね」
………
「ここは浅いから寝ながら入るみたいだね」
「そうれすね、入るれすよ」
じゃぷんっ ざぷんっ
少し浅めのスパへと入っていく二人。
「ほら、頭ここに載せな。石だからそのままだと痛いよ」
「ふえ?いいんれすか?ご主人さま」
「もちろんだよ、ほらもっとこっちに来なよ」
「は・はいれす…」
「ん?恥ずかしいの?」
「少しだけれす…れも他のみんなが居ないれすから気にしないことにするのれす」
「そうそう、それでこそいつものみどりだよ」
「ほえ?どういう意味れすか?」
「そんなことくらいで気をもんだりしないってことだよ」
「そう…そうれすね、こうれないとみどりさんらしくないれすね」
「うん。それじゃあここにしばらく浸かったらお昼ご飯にしよう」
「はいれすっ」
二人はこの一日を、ゆっくりと自然体で過ごしていった…
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あとがき
2007年度、やっぱりやります宣言。
やることには決めていたのですが、タイトルが決まらなくて…。
今年度もゆっくりまったりやってまいりますので、よろしくお願いします。
今年は…英語のうち1単語に共通部分がありますので。
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2007・04・29NAT/SUN
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