Playing March(遊の行進曲)
それは秋風にたなびく雲の絶え間より、冬将軍前の太陽が出てくる頃の朝のお話。
「ご主人さまーっ」
ぽふっ むぎゅぅっ
ななはいきなり、寝ているご主人さまに抱き着いた。
「ん…うーん…ん?なんだい?なな」
「ねえねっ!お出掛けしに行こうよぉ」
〔今日は11月1日。犬の日であるとともに、ななの誕生日である。〕
「えー…もうちょっとだけ寝かせてよぉ」
「うー…じゃあ、あと5分だけだよ」
「うん…」
5分後
「ご主人さまぁ、おきてよーっ」
「ん…あと5分…」
「さっきもそう言ったよっ、よぉしこうなったら…」
ぺろれろれろっ
「うわあっ!?びっくりしたぁ」
なながどこを舐めたかというと、ご主人さまの耳たぶである。
「おはよっ!ご主人さま」
「おはよう…なな…」
「約束だよっ、おでかけだよぉ」
「う…うん。じゃあちょっと待っててね、着替えさせてね」
「うん、いいよ」
ご主人さまはとりあえず寒くないような恰好に着替えた。
「みんな、行ってくるよ」
「じゃあ、行ってくるねー」
「「「「「「「「「「「行ってらっしゃーい」」」」」」」」」」」
バタン
「それでなな、どこに行きたい?」
「ななねー、遊園地に行きたいな」
「(う…一番迷子になりそうな場所だな…)」
「どうしたの?ご主人さま」
「いや、何でもないよ。じゃあ行こうか、遊園地に」
「うんっ!」
ななは満面の笑みで応えた。
「あ、でも一つだけ約束だよ」
「なぁに?ご主人さま」
「手は離さないでね、迷子になって泣いてほしくはないからさ」
「うんっ」
ぎゅうっ
ななはおもいっきりご主人さまの腕に飛び付いた。
1時間後…
「あ、ここだねー、ご主人さま」
「うん」
二人は一番近く(それでも電車で10駅ほど)の遊園地に着いた。
「ご主人さまっ、早く中に入ろうよぉっ」
「あ、うん。ちょっと待ってね、入場券とかを買って来るからさ」
ご主人さまは入口で一日フリー券を買い、一つをななに手渡した。
「はい、なな。これを手首に付けてね」
「うん」
パチッ カチッ
二人の手首に、フリーパス用の腕輪が付けられた。
「じゃ、中に入ろうか」
「うんっ!」
二人は遊園地の中へと入っていった。
「なな、何に乗りたい?」
「えっとね、ななね、ジェットコースターに乗りたいな」
「うん、分かった…えっと、ジェットコースターは…」
と、入口で渡されたパンフレットを見るご主人さま。
「そうすると…コレとコレとコレがジェットコースターかな」
「それならなな、これにするっ!」
ななが選んだものは3つのうち、宙返り系のある「コークシンカー」であった。
「よし、じゃぁ行こうか、なな」
「うんっ!」
秋も終わりとはいえ、今日は土曜日。この遊園地もなかなかの人出である。
「次だね、ご主人さま」
「うん、そうだね」
「あ、あの戻ってくるやつかな?」
「たぶん、そうだと思うよ」
パタン ガチャン
二人のシートのバーが固定された。
カタンカタンガタンガタンガタガタガタガタガタガタガタガタ
「進み始めたね、ご主人さま」
「うん、いよいよだね」
ガーーーーーーー
「ひゃぁぁぁぁ、楽しいねっ!ご主人さまぁぁぁっ!」
「うんっ!ジェットコースターは久しぶりだけどっ!やっぱりいいね、ななっ!」
………
「次は何に乗る?なな」
「ご主人さま、どんな乗り物があるかその紙見せてよぉ」
「あ、うん」
ジー
何に乗ろうかパンフを見ながら思案しているなな。
「えっとななね、これに乗りたいな」
と、ななが指したのは「フライングバイキング」という大型船が前後に揺れるタイプの乗り物であった。
「うん、なながそう言うならそれ乗ろうか」
「わ〜いっ!」
たったったっ
「待ってよー、ななー」
だっだっだっ ぎゅっ
ご主人さまはななを後ろから抱き締めた。
「こーら、手は離さないでねって言ったでしょ」
「あう…ごめんなさい…」
「そんなにシュンとなること無いよ、それじゃぁ行こ」
「うんっ!」
………こうして色々な乗り物に乗り続ける事2時間…。
「楽しかったねー、ご主人さま」
「う…うん…」
「あれ?どうしたの?ご主人さま」
「ちょっと…体が揺れすぎたかな…よしっ!大丈夫だ」
「じゃぁ次の乗り物行こっ!」
「その前に…なな、お腹空かない?」
「えー?そんなに…」
くぅぅぅぅ
その瞬間、ななのお腹から可愛い音が発せられた。
「ううっ…恥ずかしいよぉ」
「そんなに恥ずかしがる事ないじゃない、それじゃぁご飯食べに行こうか」
「うん」
園内のレストランに入った二人
「なな、何食べる?」
「えっとななねー、オムライスとグレープジュースがいいな」
「それじゃあすみません、オムライスとスパゲッティとグレープジュースと烏龍茶でお願いします」
「はい」
………
「美味しいね、ご主人さま」
「うん。あ、なな」
「なぁに?ご主人さま」
「鼻の頭に、ケチャップが付いてるよ」
ツツッ ちゅるっ
ご主人さまは指で、ななの鼻の頭からケチャップを掬って舐めた。
「ううっ…ご主人さま…恥ずかしいよぉ」
「ま、いいじゃない。それじゃぁごちそうさまでした」
「う…うん、ごちそうさまでしたっ!」
………
「次はじゃあ、これに乗ろっか」
「うん」
それはレストランの屋上にある空中ブランコであった。
「うわぁっ!いっぱいブランコがあるね」
「うん、久しぶりだなぁ」
「それじゃぁ乗ろうか」
「うん」
シューーー
「やっふぅぅぅっ!やっぱり気持ちいいっ!」
「ご主人さまぁ…楽しいねぇぇぇっ!」
「最後はどうする?なな」
「えっと…メリーゴーラウンドがいいな」
「よし…そうすると…これかな」
「うん。行こうよ、ご主人さま」
と、二人が向かったのは「ルーセルカエルドラド」という回転木馬であった。
………
「よしっと、ななは大丈夫?」
「うん」
二人が乗ったのは向かい合わせに乗れるものであった。
その木馬はレトロな音楽とともに回転を始めた。
「そうだ、なな」
「ご主人さま、なぁに?」
「はい、誕生日プレゼント」
「ありがとーご主人さま、開けていい?」
「うん」
ぱかっ
「これって…ブレスレット?」
「そうだよ、付けてみて」
カチッ
「わぁ、ぴったりだー。ありがとっ!ご主人さま」
チュッ
ななは可愛い唇をご主人さまの唇へと重ねた。
…こうしてご主人さまとななの、楽しい遊園地遊びは幕を閉じた…
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あとがき
えー、お分かりの通り今月5本目、5/30-6/29の一ヶ月(31日)間では6本目のSSです。
今回のSS、125日前です。ちなみに4ヶ月前になりますね。
誕生日SSも後半6人に入りました。この先、どんな日程で書いていくことになるのやら…
さて、今回はある遊園地を基にしています。さてそれはどこでしょうか?
正解は…発表しません(ぉ 。ではでは〜。
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2003・06・29SUN
雅