Jade's Mind(翡翠の気持ち)
「なぁなぁご主人さま、ちょっとえぇ?」
と、ご主人さまに話しかけたのは見習い守護天使のピピであった。
「うん、いいよ。どうしたの?ピピ」
「ちょっとな、一緒に買い物に付きおうてほしいんや」
「え、うん、いいよ」
時は酉の刻の夜7時、もう5月とはいえもう道は暗いのだ。ピピにはちょっと酷だろう。
「ありがとな」
「え、でも何を買いにいくの?」
「秘密や、それは着いてからのお楽しみや」
「あ、うんわかった」
ガチャッ
二人は商店街へと向かっていった。
ぶるるるっ
いくら5月とはいえどももう時間は花冷えの日の夜、ちょっとご主人さまには寒いであろう。一方のピピは元気にしている。
「ねぇ、ピピ」
「何や?ご主人さま」
「やっぱり、寒いところに住んでたから寒いの平気なわけ?」
「せやけど、あ、ここやなここ」
「あれ?そういえばさっきタマミ達が行って買い物は済んだんじゃなかったの?」
「いや、うちが欲しいものを言うたらクルミ姉ちゃん以外の全員に反対されてしもうてな」
「あ〜、それなら入ろうか」
そうして二人はスーパーに入った。ピピは一目散にあるコーナーに向かって行った。
「これやこれ、うちが欲しかったん」
「え、こんな寒い日にこれ買うの?」
それはアイスであった。
「せや、うち冷たいの大好きなんや」
「……うん、じゃぁ買ってこうか。(こりゃみんなが反対するわけだ。)」
レジで会計を済ませ
「じゃ、帰ろう」
「せやな、もう夜も遅いしな」
そしてその帰り道ピピはアイスを頬張りながら道を歩いていた。ふとご主人さまが、
「あ、ピピ、ほっぺにアイス付けてるよ」
「え、どこやどこ、取ってくれや」
「嘘だよ、可愛い唇だね」
チュッ
ご主人さまはいきなりピピにキスをした。
「ご、ご主人さま、いきなり何するんや」
「いや、あまりにも美味しそうに食べてるから、ちょっとからかってみようかなって思ったんだ」
こうしてピピは暗い夜道をご主人さまの心遣いのおかげで気分良く通ることとなった。それは新緑が出始めた5月の夜のお話であった…
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2002・03・23SAT 初版公開
2002・05・31FRI 修正第1版公開
2002・08・13TUE 修正第2版公開
雅