Garnet's Smiling Face(石榴石の笑顔)

悟郎はこの1月の寒い夜中に突然目を覚ました。何故かといえば…あれ?何でだっけ…あ、誰かのうなされてる声が聞こえてきたからであった。
「うっ……うぅぅぅ、く、来るな!来るな!」
「何だろうこのうめき声は、あ…アカネ…」
「く、来るな…だ…誰か…」
「おい、アカネ。大丈夫か、アカネ」
もうやばいと思った悟郎はアカネを揺すって起こした。
「ハア…ハァ…あ、ご主人様…」
「大丈夫かい?アカネ。ずいぶんとうなされてたようだったけど」
「うん、大丈夫。…ちょっと昔のことを夢で見てたから。ご主人様、もしかして起こしちゃった?」
「だって僕の大事な天使の身に何かあったら心配だもの」
「ごめんねご主人様、こんな夜遅くに」
「いいよ、アカネも大丈夫だったみたいだし」
「ありがとうご主人様」
アカネはようやく笑顔を取り戻した。
「どういたしまして。アカネ、僕の布団に入らない?僕のそばのほうが安心だろ」
「いいよ、ご主人様。恥ずかしいから」
アカネはちょっとだけ顔を赤くした。
「いいって、いいって」
悟郎は半ば強引に布団にアカネを入れた。
「あ…ご主人様…温かい…」
「アカネも…温かいよ…」
「ね…ねぇ、ご主人様」
「何だい?アカネ」
「本当にありがとね」
「さっきのことかい?」
「ううん、昔のこと」
チュッ
「えっ!?」
アカネは突然悟郎にキスをした。それは本当に温かみのあるキスであった。
「じゃ、もう寝よう。明日も早いしさ」
「そうだねご主人様。おやすみなさい」
「おやすみ、アカネ」
こうしてアカネは悟郎の腕の中で雪の降りゆく一月の一夜を終えていった…
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2002・03・05TUE 初版公開
2002・08・13TUE 修正第1版公開
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