Fuchsia's Kiss(牡丹色のキス)
「ご主人さまー、起・き・て!」
「ん…んあぁ…」
とご主人さまが体を起こした瞬間、
チュッ
ちょうど座標を合わせたかのようにみかの唇がそこにあった。
「もうご主人さまったら、朝からダ・イ・タ・ン!」
自分でやっといて何を言ってるんだか…
「え、あ、お…おはようみか」
そこには笑顔のみかと、じと目のあゆみ達がいた。
「ご…誤解だよ、あゆみ…それにみんな」
と一応弁解をするご主人さま。するとあゆみが、
「え、私が何かおっしゃいましたか?別に気にしてはいませんわよ」
いつもならハリセンの一つや二つが飛んできてもおかしくない状況なのに、今日のあゆみはいつもと違っていた。
「ご主人さま〜」
少し媚を入れるみか。
「今日、何の日だか覚えてる?」
「うーん…9月…12日かぁ…。燃えるゴミの日だっけ?」
「そうよね、誰かゴミ捨てに行かなくちゃね…じゃなくて、忘れたの?ご主人さま」
「うぅん分かってたよ、みか。それで何をして欲しいの?」
「もちろん、デ・ェ・ト!いい?ご主人さま」
「それを姫様が望むのなら…ね」
「えっ…ご主人さま、みかがお姫様だなんて…」
みかはおもいきり顔を赤くした。
「それじゃぁ準備するからちょっと待ってて、ご飯も食べてないしさ」
「あ、そういえばみかもまだ朝ごはん食べてなかった。ご主人さま、一緒に食べましょ」
「そうだね、みか」
その朝ごはん…今度はご主人さまの方が顔を赤くしていた。それは…
「ご主人さま、あ〜ん」
「え、みか、みんなが見てるって」
他の守護天使がみんなじと目でこっちを見ていた。
「そんなのいいじゃない、あ〜ん」
「…しょうがないなぁ…あーん」
パクッ
「ご主人さま、おいしい?」
「え、あ、うん」
…そんなやり取りをしているものだから、ご主人さまは終始赤い顔のままだった…。
その後
「みかー、まだかーい?」
「待ってよご主人さま、女の子には身だしなみってものがあるんだから」
「だってもう30分以上待ってるんだよ」
「あぁっ、もう少しだからぁ」
「そんなさぁ、みかは化粧しなくたって綺麗なんだから」
「え…ほんと?ご主人さま」
「うん、いつだって綺麗じゃないか、みかは」
「よしっ!これでいいわ、ご主人さま。それじゃぁ行きましょ」
「うん。(財布の中身が軽くなる事を覚悟しておかないと…。)」
ご主人さまはくるみの誕生日の日以上に憂鬱な顔をして家を出た。
数時間後
「次はこっちよ、ご主人さま」
「み…みか…まだ買うの?」
すでにご主人さまの両腕にはかなりの量の買い物があった。
「もぉ〜体力ないんだからぁ…、じゃぁあそこのベンチで休も」
「そ…そうしよう」
どんっ とんっ
二人は近くにあったベンチに腰掛けた。
「でもずいぶんと色々買ったね、おかげで財布がずいぶんと軽くなっちゃったけど…」
「そうね、結構いっぱい買ったわよね」
「おかげで疲れちゃった」
「みかがいっぱい荷物を持たせちゃったからね。ごめんなさい、ご主人さま」
「いいよ、だってみかのためだしさ」
「そんな、みかのためだな…」
みかが「なんて」と言おうとしたその時、
グラグラグラッ
地面が突然揺れだした。
「「えっ!?」」
ガタッ
その時ベンチの上に載せておいた荷物が、二人に向かって突然倒れ掛かってきた。
「危ないっ、みかっ!!」
ぎゅっ ドガガッ
「ん…あれ…痛くない…」
ご主人さまは倒れ掛かりながらも、みかを守るようにその体を抱きしめていた。
「ご…ご主人さま…、大丈夫?」
「う…うん、何とかね。そう言うみかこそ怪我はない?」
「みかは大丈夫だけど、そんな事よりご主人さま、大丈夫?痛くなかった?こんなに荷物が当たって」
「何とか大丈夫…だよ…」
「(あ…ご主人さまの顔がこんなに近くに…)」
「ど…どうしたのみか、ずいぶんと顔が赤いけど…」
「え…な…なんでも…ないわよ…」
「(どうしたんだろう、みか…。)」
「ね…ねぇ、ご主人さま?」
「なんだい?みか」
「もう少しだけ…このままで…いたいの…」
「えっ!?」
「駄目?ご主人さま」
「しょうがないなぁ、姫様がそうしたいなら…いいよ」
「ありがとっ!」
チュッ
みかは周りの目を気にせずにその体勢のまま口付けをして、しばらくそのまま抱き合っていた…。
「そろそろ帰ろっか、みんなが準備して待っててくれてるだろうしさ」
「そうね、ご主人さま」
二人は家路を仲良く歩いていった…
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あとがき(白状)
この小説の後半を見て「あら?」と思ったあなた。
そう思うのも無理はないかと思います。
この小説の後半は第3回ひなコンに出した小説の内容を引用したからです。
まぁそれを気にせず読んでください。
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2002・09・10TUE 初版公開
2002・09・11WED 修正第1版公開
雅