Healing Forte Technique(癒しの十八番技)
残暑が厳しくも少し和らいできた頃のこと…
「どうしたの?ご主人さま、元気ないわね」
「え?あ、みかか。ちょっとさ、夏の疲れが今頃どっと来てさ」
「どのへんかしら?みかが癒してあ・げ・る」
「あ…うん、お願いするよ」
「それでどのへんなの?ご主人さま」
「まずは寝転がるからさ、腰をお願いできるかな?」
「分かったわ、それじゃあ…えいっ!」
「うわあっ!」
みかはご主人さまを後ろから押し倒した。
「どのへんか・し・ら?」
「え…えっと、腰の…あ、もう少し右の下の方…そうそのへん…」
「ここね…んー……どう?」
「もう少し強く出来るかな?ちょっと弱いからさ」
「えっと…こう…かしら?」
ぎゅうっ むにゅうっ
みかは身体全体で押し付けた。
「み…みか?」
「何かしら?ご主人さま、そんなに顔を紅くするなんて」
「あのさ、当たってる気がするんだけど、何かが」
「しょうがないじゃない、それくらいしないと力が入らないのよ」
「気持ちいいからいいんだけどさ…」
「それは…どういう意味かしら?ご・しゅ・じ・ん・さ・ま?」
「い…言っていいなら言ってあげるけど?」
「みかはどっちでも構わないわよ、それがみかの強みだもん」
「も・もう腰はいいから、次は肩をお願い」
「肩ね、叩くのがいい?それとも揉む?押すのでもいいわよ」
「そうだなあ…だったら揉んでくれるかな?」
「分かったわ、あ、起きてねご主人さま」
「うん」
「いくわよ、えいっ!」
むにゅっ むにゅ むにゅうっ むにっ
明らかに揉んでいる以外の音も混ざっている。
「今度は押し付けてるでしょ、みか」
「そうよ、どう?みかの胸の感触は」
「確かに気持ちはいいんだけどさ…」
「だけど、何かしら?」
「そんなにやるなってば、そんなにされたら僕…」
「…フフフ、分かってるわ。そんなに前屈みになってるんだから」
「あんまりそういうことはやるもんじゃないよ、みか」
「そんな、せっかくご主人さまのことを思ってやってたのに…」
「そういう意味じゃなくて、僕以外にはやるなってことだよ」
「え…ご主人さま。いくらみかでもご主人さま以外にやるわけないじゃない!」
「そうだよな…でも、本当にみかのって大きいな」
「そ…そうかしら?確かに12人の中では一番大きいわよ」
「あれ?ゆきさんよりも?」
「そうよ、ゆきよりも大きいわ」
「たまに他の人にも肩揉みとかやってもらってるけどさ、やっぱり感触が違うな」
「みかの胸がどうなの?他のみんなと比べると」
「柔らかいとはちょっと違うな…んー、気持ちいいって感じかな」
「それはたぶん、このブラジャーのせいかもしれないわ」
「そういうことか…」
「あ、ご主人さま。もうマッサージはいいの?」
「うん、だいぶ良くなったよ。ありがとう、みか」
「どういたしまして…ってこんなことをしに来たんじゃないのよ、みかは」
「え?ああそういえばこっちが勝手にマッサージさせちゃったんだっけか」
「みかの誕生日のこと…なんだけど」
「あ、そうか…もうそんな時期か。えっと、何かして欲しいの?」
「もちろんよ。今年はここに連れてって欲しいの」
と、みかは一枚のチラシを差し出した。
「ここって…この前移転したところだっけ」
「そうなの。みか、この夜のに行ってみたいの…ダ・メ?」
「ダメも何も20歳未満はダメって書いてあるじゃないか、ここに」
「えー、行きたかったのに…この昼のならいいわよね」
「うん、それは構わないよ。それにしても20歳未満はダメっていうこととは…」
「ワインが付いてくるみたいね。あーん、飲んでみたかったのに」
「こらこら、カンベンしてくれよ。酔った時どうなるか分かってる?」
「え?みか、お酒飲んだことは無いわよ」
「それはね、覚えてないだけだから。まったく僕が悪いとは言えゆきさんに飲ませたら…」
「そういうことね、みかはどうだったの?」
「甘え上戸だったかな、確か僕にべったりになっちゃってたよ」
「そんな…でもそれは普段でも一緒よね」
「それはそうだけど、普段以上だったよ。一段と僕に甘えてたなあ…」
「それがみかの本性なのかしらね?」
「そうかも…でももう絶対に飲ませないから」
「そうね、みかもそんなのでご主人さまに甘えたくないもの」
「じゃあこれの昼のやつ、予約しておくよ」
「お願いね、ご主人さま」
「さて、また続きをしてもらえるとありがたいんだけど…」
「え?またどこか凝っちゃったの?」
「うん、脚のことすっかり忘れててさ。お願いできるかな?」
「それならまず、お風呂に入ったらどう?」
「そうだね…ってこんな時間にもう沸かしてるの?」
「うん、もうすぐ沸く頃よ。だってもう、るる達が帰ってくる時間じゃない」
「そっか、あ…みか」
「何かしら?ご主人さま」
「たまには一緒に入る?どうせ他に誰か居るわけじゃないし、たまにはね」
「え…ご主人さま…本気なの?」
「いや、半分冗談だよ。半分だけね」
「ご主人さまが良いって言うなら、みかは構わないわ」
「よし、じゃあ入るか」
「そうね、みんなが帰ってくる前に入っちゃいましょ」
………
「ご主人さまってやっぱり逞しいわね」
「そうかな…そう言ってもらえると嬉しいよ」
「でも、優しい感じも持ってるわ…とっても」
「そういうみかこそ、身体のラインがとっても綺麗だよ」
「え?そ…そうかしら…でも、そう言ってくれて嬉しいわ」
「みんなの中で一番プロポーションも良いんじゃないの?」
「そうね、それには自信はあるわ」
二人は狭いながらも一緒の湯船の中に居た。
「疲れは取れたかしら?ご主人さま」
「うーん、もう少しかな。みかのエキスで大分取れた気がするけどね」
「エキスじゃなくて、フェ・ロ・モ・ン・よ」
「言われてみればそうだな、でも癒されてる感じはする」
「みかだって、ご主人さまのフェロモンで何だかリラックスしてきちゃったわ」
「そっか、お互いさまってわけか」
「そうね、こうして癒してあげるのは得意だから」
「…うん」
ちゅっ…
二人はどちらとも無く口付けを交わしていた。
「そろそろ上がって身体を流そう。みんなが帰ってきたら何言われるかわかんないし」
「そ・そうね。みかが背中を流すわね」
「うん、お願いするよ」
そんなみかに心も身体も癒され…誕生日は二人の仲睦まじい姿が見られたと言う…
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あとがき
一挙掲載3作目はこちら、雅です。
もはや誕生日ネタではないということは気にしないで下さい。
(こんなにやってたらネタが尽きてるに決まってるじゃないですか)
いつの間にかこんな展開に…「誕生日」に関するSSってことで(汗)
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2007・08・26SUN
雅